公務員制度改革法案への対応など当面の方針を決定/自治労中央委

(2011年6月1日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共民間労働者などで構成する自治労(徳永秀昭委員長、82万8,000人)は5月26,27の両日、奈良市内で中央委員会を開催し、 (1)賃金・労働条件改善をめぐる人勧期を中心とした取り組み (2)公務員制度改革、職場の権利と勤務条件を確立する取り組み――など14本を柱とする、当面の闘争方針等を決定した。

「公共サービスの切り捨て・市場化は全くの誤り」(徳永委員長)

徳永委員長はあいさつの中で、東日本大震災をめぐる自治労の取り組みについて、「被災地の組合員を少しでも支えるため、県本部とも協議し4月11日から、組織の総力をあげた支援を行い、これまでで全国から日数延べ1万6,000人が、現地で復興支援活動に当たってきた」などと報告。6月5日までとしていた復興支援派遣活動(注1)の期限を、7月10日まで延長するとともに、「本部として被災県本部や単組との連携を密に、復興に向けた政策制度の要求作りを早急に進める」方針を明らかにした。

そのうえで「今回の事態を前に、私たちが再確認し強調しなければならないのは、小泉・竹中構造改革路線が行った、三位一体改革という名の地方切り捨て、公共サービスの一方的な市場化・民営化が何をもたらしたか。被災現地あるいは被災地を支援しようとする自治体でも、この間のサービス削減により保健、医療、ごみ収集など、人員・設備・装備のあらゆる面で必要十分とは言えない状態に追い込まれていることが明らかになり、極限状態によってまさしく、公共サービスがセーフティネット機能を発揮できるかが問われることになった」と指摘。「私たちは事実として、公共サービスの充実強化こそが、真の『安心社会』のために必要であること、この間の公共サービスの切り捨て・市場化は全くの誤りであったことを、声を大にして訴えていかなければならない」と強調した。

「国公引き下げへの便乗は断じて許さず」(徳永委員長)

徳永委員長はまた、政府が5月13日、財政再建の一環として、国家公務員の給与の1割引き下げを提案し、公務員連絡会が組合員レベル・若年層の削減率の縮小等の修正を経て決着したことにも触れ、「闘争のあり方に疑問を投げ掛ける組合員もいるだろうが、震災後の復旧・復興の中での労使協議だっただけに、大衆行動を配せず、交渉・折衝で決着するとした公務員連絡会の判断は、自治労としてもやむを得ないと考えている」と述べた。

そのうえで、「財務省等を中心に、地方公務員にも同様の内容をとの圧力も続いているが、そもそも地方公務員の給与は各自治体が条例で決めるもの。既に地方財政の悪化に伴い、大幅に削減されてきた実態(注2)もある。国公の引き下げに便乗することは断じて許されるものではなく、今後も地方交付税のカット等により、地方公務員の給与削減を狙ってくるだろうが、協力国会議員との連携も含め不断の対策を行っていく」などと強調した。

国公と整合性ある公務員制度改革関連法案を追求

中央委員会では、労働協約締結権の回復を含めた国家公務員制度改革関連法案が、6月3日にも閣議決定される見通しになる中で、「地方公務員については、国公と整合性をもった法制度改革を行う意思表示をした段階に過ぎない」ことから、今後、臨時国会も視野に入れ、地方公務員でも確実な制度改革を求めていくことなどを含む、当面の闘争方針を決定した。

また、「第三者による勧告制度」から、「労使交渉を基礎とする賃金・労働条件の決定制度」への抜本的改革を前提にした「第3次組織強化・拡大のための推進計画」(案)をはじめ、「自治労共済と全労済の統合」(案)、「2011年度第二次補正予算」(案)なども可決。さらに、「脱原発社会の実現と再生可能な自然エネルギーへの転換を求める特別決議」を採択した。

(注1)詳細はのほか、ビジネス・レーバー・トレンド6月(5/25発行)号pp30~31を参照。

(注2)自治労調べによれば、昨年4月1日段階で、全地方公共団体(1,797団体)の約6割(58.9%)で、独自に給料・手当の削減措置が実施されており、それらの年間総額は約2,200億円にのぼる。削減率は、大阪府(14~3.5%)から神奈川県(6~3%)、愛知県(3%)や京都府(2%)まで幅がある。