一時金の平均月数は4.32カ月で昨年実績を上回る/金属労協の賃上げ集計

(2011年4月8日 調査・解析部)

[労使]

金属関連の5つの産業別労働組合で構成される金属労協(IMF・JC)は7日、今春闘における同日までの集計結果をまとめた。金属労協全体でみると、3,334組合のうち2,438組合が要求を提出し、1,024組合が回答を引き出した。賃金構造維持分・賃金改善分が明確に区分できる760組合のうち、726組合が賃金構造維持分を確保し、132組合が賃金改善を獲得した。一時金は、平均獲得月数が4.32ヵ月で、昨年の同時期を0.23ヵ月上回った。

大手登録組合はすべて賃金構造維持分を確保

金属労協の集約によると、今春闘で要求を提出した大手の集計登録53組合のうち、52組合が決着した。賃金は、要求し回答を得た43組合すべてで賃金構造維持分を確保。年間一時金も妥結した36組合のうち28組合で昨年実績より上積みが図られたほか、30組合で金属労協が今季方針に盛り込んだ最低獲得水準「4カ月」を上回った。基幹労連・鉄鋼総合部門の集計登録組合で、神戸製鋼とともに一時金で要求方式をとっている住友金属は、東日本大震災の影響で回答を延期したが、7日現在でも回答が出ていない。

企業内最低賃金については、産別統一闘争の柱に掲げた電機連合が13主要組合すべてで現行15万3,000円から1,000円引き上げの満額回答を得るなど、金属労協全体でも21登録組合で前進が図られた。

また、全電線加盟の登録6組合が産別統一要求の労働災害特別補償の業務上災害特別付加補償(有扶3,400万円、無扶3,200万円)と通勤途上災害特別補償(有扶1,700万円、無扶1,600万円)を獲得している。

46組合の平均で5,207円、16組合で賃金改善も

一方、金属労協では07春闘から、加盟する中堅・中小組合を事前に登録させ、回答結果を企業名と合わせて開示することで、中小・地場への波及を促している。5年目の取り組みとなる今春闘では、エントリーした158組合のうち149組合が要求を提出。今春闘は震災の影響を受けて、中堅・中小労組で交渉の遅れが目立っていたが、7日現在、117組合で回答を引き出すまでに漕ぎ着けた。

賃金については要求した134組合のうち、7日までに105組合が決着。賃金構造維持分と改善分の包括要求を行ったことなどから構造維持分の把握ができない2組合を除く103組合で賃金構造維持分を確保し、うち、16組合が賃金改善を獲得。金額が明らかな46組合の定昇込みの平均回答額は5207円となっている。

約3分の2の組合が一時金4カ月以上を獲得

金属労協全体では今季の交渉で3,334組合のうち2,438組合が要求を提出し、7日までに1,024組合が回答を得ている。賃金構造維持分と賃金改善分が明確に区分できる760組合のうち、726組合が賃金構造維持分を確保し、132組合が賃金改善を獲得した。

年間一時金は、昨年と比較できる750組合中534組合が昨年実績に上積みを果たした。約3分の2の組合が「4カ月以上」で妥結。平均獲得月数は4.32カ月で、昨年の同時期を0.23カ月上回った。

金属労協は同日、第6回戦術委員会を開き、「これまでに引き出した賃金構造維持分確保と一時金水準改善の流れを、今後回答を引き出す組合に波及させ、全体の底上げを図る」ことなどを確認した。

  • 第6回戦術委員会確認事項
  • [集計登録組合]の闘争状況(2011年4月7日現在)PDF
  • [中堅・中小登録組合]の闘争状況(2011年4月7日現在)PDF