自治労が復興支援を本格化/2,400人動員、3県に各1億円の義援金も

(2011年4月6日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共民間労働者などで構成する自治労(82万7,000人)は2日、都内で会見し、東日本大震災後の本格的な復興支援活動を行う方針を明らかにした。4月10日~6月5日を一つの区切りに、2,400人(延べ人数1万5,400人)の組合員を動員。また、4~7日にかけ徳永秀昭・委員長が岩手・宮城・福島の3県知事を訪問し、義援金各1億円を手交する予定だ。

組合員約120人が死亡・行方不明

青森から千葉までの沿岸部に隣接する自治労の加盟組織は、77単組・3万9,714人。このうち岩手、宮城、福島の3県で、少なくとも現時点で33人の死亡が判明し、91人が行方不明だという。組合の事務所も津波に流されるなど、深刻な被害にあった。

自治労は震災翌日の対策本部設置を皮切りに、災害特別カンパの呼び掛け、総務省や地方三団体等との協議、現地状況調査やニーズ等のヒアリング、西日本県本部からの緊急物資の提供などの支援を実施。また、青年部を中心に、連合の復興ボランティアへの参加(総計924人の派遣)など、精力的に支援活動を展開してきた。

こうした動向を踏まえて2日、各県本部の代表者を緊急招集して開いた会議で、当面の約8週間を一つの区切りに、より本格的な復興支援活動を実施する方針を決めた。具体的には、1チーム5人を基本単位とし、「土曜現地入り-日曜引き継ぎ・業務開始-翌・日曜に引き継ぎ帰郷」という8泊9日の活動サイクルで、3県+茨城を除く43都道府県本部から、2,400人(日数換算の延べ人数で1万5,400人)の組合員を動員・派遣。岩手・宮古市内や宮城・気仙沼市、南三陸町、石巻市、福島・新地町、いわき市等の各避難所で、運営業務や物資仕分け業務を行うほか、宮城・東松島市や名取市、岩沼市等で、義援金交付事務、罹災証明の発行事務、倒壊家屋調査といった行政支援業務を行うことにしている。

職能を活かした多様な支援

さらに自治労では、職員の専門性を活かし、「職能」グループ毎に、その特性を活かしたさまざまな支援活動も展開・検討している。

例えば、上下水道・ガス等の職員でつくる公営企業評議会では、災害発生直後より、行政と連携しながら、全国の事業体から多くの職員が応援に駆け付け、応急給水や下水処理施設の復旧作業等に当たっている。

また、阪神・淡路大震災において、家庭ごみの収集や災害廃棄物の処理等に貢献した清掃・学校給食などの職員で構成する「現業評議会」、看護師・保健師が巡回訪問や介護医療等を行った病院職員関係でつくる「衛生医療評議会」、さらに障害者の安否・所在確認や日常生活支援、各種手続き支援等を行った介護・障害者支援に携わる「社会福祉評議会」でも、これまでの経験を活かした支援活動を計画中だ。

会見した徳永委員長は「地震、津波、原発で、自治体の機能が喪失される異例の事態となるなか、被災者の支援・救援を行っている自治体職員・組合員に過重な負担がかかっている。自治労は、こうした業務の支援を中心に、阪神・淡路大震災以来の経験を活かして本格的な復興支援活動に取り組む」と強調した。

一方、復興支援活動は、想像を絶する悲惨な災害・事故現場にさらされるだけに、不眠不休の作業や、職責を果たせなかったというストレスや放心状態に陥りかねない。このため、「参加する組合員のメンタルケアにも留意しながら、1日も早い復興に向け、出来る限りの支援を行っていきたい」と話している。