金属の中堅・中小労組でも相次ぐ一時金の上積み/金属労協

(2011年3月30日 調査・解析部)

[労使]

自動車や電機、鉄鋼、造船重機などの金属産業の労組でつくる金属労協(IMF・JC)は28日、中堅・中小登録組合(158組合)の回答状況を明らかにした。要求した134組合中、同日までに回答のあった62組合で定期昇給などの賃金構造維持分を確保。このうち、9組合が賃金改善を引き出している。

27組合の平均で5,544円、9組合で賃金改善も

金属労協では07春闘から、加盟する中堅・中小組合を事前に登録させ、回答結果を企業名と合わせて開示している。各業種や地域で影響力のある企業名と回答の中味を公表することで、中小・地場への波及を狙った取り組みで、5年目となる今春闘ではエントリーした158組合のうち148組合が要求を行い、28日までに約半数の71組合が回答を引き出している。ちなみに、昨年の同時期(2010年3月25日)には、155要求組合中、111組合が回答を引き出していた(回答引き出し率71.6%)。今春闘は「親会社の回答が出ないなど、震災の影響で回答が遅れているところが結構ある」(若松英幸事務局長)ためだ。

そのうち、賃金については134要求組合のなかの55組合が定昇相当分以外の賃金改善を要求した。28日までに回答を得た63組合のうち、賃金構造維持分と改善分の包括要求を行ったために、維持分の把握ができない1組合を除く62組合で賃金構造維持分を確保。このうち、賃金改善を獲得した組合は9組合あった。定期昇給と賃金改善を合わせた回答額は、実額が把握できる27組合で平均5,544円となった。

年間一時金は、業績連動方式を採用する23社を除く58社の組合で回答を得た。48組合で昨年実績より上積みが図られ、55組合で金属労協が今季方針に盛り込んだ最低獲水準「4カ月以上」を獲得した。

年間4カ月を下回る組合が大幅減に

賃金改善分を獲得した組合を産別ごとにみると、JAM傘下では村田機械(賃金構造維持分6,000円+賃金改善分500円)、近畿車輛(同5,700円+同130円)、三社電機(同5,400円+同500円)、の3組合が改善分を確保。多くの中小労組が賃金改善分を要求している自動車総連でも、富士機械が「賃金体系維持+800円」、中庸スプリングが「賃金カーブ維持分4,400円+是正分600円」、ダイキョーニシカワが「賃金改善分100円」の回答をそれぞれ得ている。このほか、電機連合もOCC(賃金改善分500円)と理研電線(賃金カーブの見直し【高年齢層減額部分】平均2,093円)、基幹労連傘下の日本精鉱中瀬(平均【格差改善】1,000円)でも改善の回答を得たという。

こうした結果について、若松英幸事務局長は「現時点では、中堅中小登録組合の9組合で賃金是正分を獲得することができた。一時金については、大半の組合で昨年実績を上回る回答を引き出し、JCが最低獲得水準としている年間4カ月を下回る組合数は、中堅中小登録組合で昨年の25組合から2組合に大幅に減少した。まだすべての回答がでているわけではないが、恐らくこの先も改善していくだろう。各組合が業績改善に向けた組合員の協力・努力を粘り強く訴え、精一杯の交渉のなかから引き出した結果だ」などと話している。