UIゼンセン同盟の妥結速報/ベア、体系是正、手当の獲得も

(2011年3月25日 調査・解析部)

[労使]

繊維や化学、流通など幅広い産業の労組で構成する民間最大産別のUIゼンセン同盟(落合清四会長、108万8,200人)は24日までの賃上げ交渉の妥結結果を明らかにした。UIゼンセン同盟では、交渉結果を中央本部が妥結承認する形式をとっている。

流通、フード・サービスは2%台が中心

UIゼンセン同盟は今季、賃上げ交渉の統一要求方針として、「格差是正を含めた労働者への分配として1%程度の賃上げをめざし、高卒35歳・勤続17年の基本賃金で26万円、大卒30歳・勤続8年で25.5万円等を到達水準とする」ことを基本にすえた。

そのうえで、(1)これを上回る場合は、賃金カーブの是正や生活・職務関連手当の引上げ等(2)下回る場合は賃金体系維持分を確保した上で、格差是正分として一人平均1,500円以上(3)賃金体系維持分が不明確な場合は一人平均6,000円――などの要求パターンを設定した。具体的な到達水準や要求基準は、繊維関連、化学、流通、フード・サービス、生活・総合産業、地方――の6部会別に定め、Aグループ=JC回答も横睨みしながら3月15~16日に回答を引き出すリード組、Bグループ=その結果を見ながら交渉し23日までに回答を引き出す追随組、Cグループ=以上の動向を踏まえて3月末までに妥結組――といった梯団方式で昨年を上回る回答を目指した。

A・Bグループの交渉がヤマ場を迎えた18日及び24日に明らかにされた中間速報によると、組織人員がもっとも多く約44%を占める流通部会では、「SSUAパスポートハッピーユニオン」が一人平均6,244円・2.59%、「サンリブユニオン」が一人平均6,224円・2.16%、「マツモトキヨシ労組」が手当改定310円(0.11%)を含む一人平均5,809円・1.98%、「SSUAメガネトップ労組」がベア900円(0.34%)を含む一人平均5,642円・2.18%、「熊本ハローデイユニオン」が体系是正等1,638円(0.7%)・賃金体系維持原資3,739円(1.59%)、「原信労組」がベア550円(0.21%)・賃金体系維持原資4,399円(1.69%)――などで妥結している。

また、組織人員の約13%を占めるフード・サービス部会では、「餃子の王将ユニオン」が一人平均6,542円・3.24%、「アレフユニオン」が一人平均6,597円・2.54%、「サイゼリヤユニオン」が賃上げ分1,000円(0.37%)を含む一人平均6,500円・2.41%、「くら労組」が一人平均6,327円・2.05%、「リンガーハットグループ労組」が手当改定404円を含む一人平均5,960円・2.02%、「丸大食品労組」がベア1,181円(0.36%)・賃金体系維持原資2,884円(0.87%)、「全プリマハム労組」がベア682円(0.20%)・定昇2,657円(0.78%)――などとなっている。

また、地方部会では、「関労・合同資源産業支部」が一人平均7,687円・2.99%、「ケイテー労組」が一人平均6,000円・3.3%、「大阪染色労協川本産業労組」が賃上げ分1,079円(0.469%)を含む一人平均5,545円・2.408%――などとなっている。

繊維、化学部会では賃金以外の労働条件面での改善も

このほか、繊維関連部会では、「北日本紡績労組」がベア1,739円(1.0%)・定昇2,625円(1.509%)、「F&Aアクアグループユニオン」が個別賃上げ30歳で改善分2,300円・体系維持2,000円などで妥結。また、「片倉労組」が一人平均5,559円・2.034%、「レリアン・フレンドシップサークル」が賃金体系維持原資で4,712円・1.99%(及びハラスメント対策等)、「日清紡績労組」が賃金体系維持原資で4,872円・1.658%(及び60歳台前半層の再雇用制度改定等)、「グンゼ労組」が賃金体系維持原資で4,692円・1.60%(及び年休取得促進や家族看護休暇の新設等)――などで妥結している。

化学部会では、「東京応化工業労組」が賃金体系維持原資で7,540円・2.34%、「旭化成グループ労連」が賃金体系維持原資で6,026円・1.81%(及び非正規の正社員化の取り組み、時間単位年休の導入等)、「全東レ労連」が賃金体系維持原資で5,812円・2.04%(及び賃金・処遇に係る労使研究会の設置等)、「三菱レイヨンユニオン」が賃金体系維持原資で5,709円・1.865%、「武田薬品労組」が個別賃上げ30歳で6,100円・1.89%、「第一三共グループ労連」が個別賃上げ30歳で賃金水準見直し分5,000円を含む1万2,600円――などとなっている。

また、生活・総合産業部会では、「ダイナムユニオン」が一人平均7,536円・2.44%、「大阪ガス労組」が一人平均6,750円・1.95%、「セディナ労組」が賃金体系維持原資で6,123円・2.28%、「プロミス労組」が一人平均4,774円・1.80%(及び4月から新人事制度への移行に伴い基本給上積み等)――などで妥結している。

パートの賃上げも相次いで妥結

一方、UIゼンセン同盟は組合員の約47%を占めるパートを中心とした「短時間組合員」の要求基準について、「制度に基づく昇給・昇格分の確保」を前提に、制度がない場合は、(1)タイプA(正社員と職務も人材活用の仕組み・運用も同じ。組合員の約2割)は正社員と同一の方法で決定することを原則(2)タイプB(正社員と職務は同じだが人材活用の仕組み・運用が違う、同約2割)は40円 (3)タイプC(正社員とは職務も人材活用の仕組み・運用も違う、同約6割)は20円目安――などと設定し交渉に臨んだ。

その結果、流通部会の「SSUAパスポートハッピーユニオン」がタイプAについて16円・1.81%、タイプBで13円・1.57%、同・「サンリブユニオン」はタイプBについて18円・1.78%、同・「ハローデイユニオン」はタイプCについて13円・1.78%、同・「SSUAメガネトップ労組」がタイプBで15.3円・1.26%、タイプCで15.3円・1.57%――などで妥結。生活・総合産業部会では「ダイナムユニオン」がタイプCについて25円・2.40%、フード・サービス部会では「岩塚製菓労組」がタイプBについて15円・1.71%――などといった妥結状況になっている。