102組合の賃上げ平均5,161円/国民春闘共闘第1回集計

(2011年3月18日 調査・解析部)

[労使]

全労連などを中心につくる国民春闘共闘が3月17日現在で発表した回答集計によると、回答を引き出した102組合の賃金引き上げ額(単純平均)は5,161円(1.67%)で、前年同期と比べて、166円増(0.14ポイント増)となった。加重平均は4,868円(1.59%)で、前年比443円減(0.20ポイント増)。集計は、加重平均額の前年同期比大幅減について、1,000以上人規模での大幅なダウンが影響していると分析している。今春の賃上げ交渉では、連合系の大手企業労組が軒並み「定昇維持分確保」の方針で取り組む中、「誰でも時給100円、月額1万円以上の賃金引き上げ」を統一方針に掲げていた。

第1回賃上げ集計(3月17日現在)によると、登録810組合のうち回答を引き出したのは102組合。単純平均で5,161円、率で1.67%となっており、昨年同期(4,995円、1.53%)と比べて、額で166円増、率で0.14ポイント増となった。加重平均は4,868円(1.59%)と額で443円減、率で0.2ポイント増。規模別に見ると、「1,000人以上」規模のマイナスが大きい一方、「30人未満」「30~99人」「300人~999人」の中小零細、中堅企業でのプラスが目立っており、集計はこの傾向が加重平均の結果に反映されているとしている。

回答集約した11産別のうち、前年同期比(単純平均)で額がプラスだった6産別・登録組織は、機械金属関連を組織するJMIUが単純平均(以下同じ)の額で6,200円、率で1.80%(前年同期比540円増、0.29ポイント増)、建交労・製造は額で2,160円、率で0.84%(181円増、0.07ポイント増)、生協労連は額で3,280円、率で0.95%(130円増、0.10ポイント減)、全印総連は額で5,610円(198円増)、出版労連は額で8,410円、率で2.38%(2,368円、0.28ポイント増)、地方登録は4,300円、率で1.71%(1,000円増、0.41ポイント増)となっている。前年同期比でマイナスだった5産別・登録組織では、建設関連労連が額で8,600円、率で3.02%(1,400円減、0.27ポイント減)、建交労・運輸は額で1,094円、率で0.40%(243円減、0.05ポイント減)、民放労連は額で4,575円(5,218円減)、医労連は額で5,110円、率で1.92%(309円減、0.11ポイント減)、地方マスコミでは額で6,924円、率で1.76%(239円減、0.31ポイント減)となっている。

この回答状況について同共闘は、「大きな特徴は、集中回答日の直前に東日本が大地震に襲われ、現在も被害が拡大し続けるという未曾有の困難のなか、前年同期に匹敵する数の組合が有額回答を引き出していること。JMIU、建交労(先行グループ)が震災発生前に1次回答を引き出したことに加え、各単産が『被害者救済も春闘も』の構えで積極回答を迫ったことが大きく反映している」と評価。その一方で、「震災を口実とした『回答延期』『ゼロ回答』は決して少なくなく、早期の解決をはかりつつも、十分警戒する必要がある」と指摘している。