自動車、電機大手などのメーカー労組に回答/回答指定日の先送りも
(2011年3月16日 調査・解析部)
自動車、電機、鉄鋼・造船などの金属関係の労組に対して、回答指定日とした16日昼までに、トヨタ、日立などの組合に経営側から回答が提示された。ただし、東北地方太平洋沖地震の影響で、金属関係の産別でつくる金属労協(IMF・JC)は、各産別の判断で交渉を取りまとめるよう申し合わせており、例年のような一斉回答とはならなかった。大多数の企業が組合要求通りの賃金体系維持を回答するとともに、一時金関係ではトヨタが労組要求通り5.0カ月プラス7万円を満額回答。日立は組合要求を0.2カ月下回る5.3カ月を示した。
業績回復を受け、一時金は大半が昨年実績を上回る
金属労協は集中回答日の16日、13時現在の回答状況を集約した。大手を中心とする59の登録組合のうち、31組合に回答が示された。産別ごとの内訳をみると、自動車総連が2、電機連合が13、JAMが9、基幹労連が7となっている。全電線は震災の影響を踏まえ、回答指定日を24日に延ばすことを決めている。
13時現在の回答状況によると、自動車ではトヨタが組合要求通り7,300円の賃金制度維持分を回答、富士重工も賃金体系維持を示した。一時金では、トヨタは年間180万円(5.0カ月プラス7万円)の満額回答で収束。富士重工も組合要求通りの5.0カ月の満額回答を示した。
電機連合加盟の大手メーカー組合では、中闘組合を離脱したOKIグループ連合(沖電機工業)を除く13組合に対して、組合要求通り開発・設計職・30歳相当の賃金体系維持を回答。一時金では交渉方式をとる日立労使が組合要求を0.2カ月下回る5.3カ月、三菱電機が要求を0.03カ月下回る5.74カ月などを提示。ただし、昨年実績をそれぞれ0.75カ月、0.72カ月上回った。シャープ、富士電機、明電舎とも電機連合がスト回避基準とした年間4カ月をクリアした。さらに、産別統一要求としていた18歳見合いの産別最低賃金の引き上げは、13の中闘組合すべてに対して、要求通り1,000円増の15万4,000円を回答した。
機械金属関係の中小を中心につくるJAMでも賃上げ関係は賃金構造維持の回答を受けたが、組合が1,500円の賃金改善要求を盛り込んだジーエス・ユアサは30~40歳の対象者に限って459円の制度改定是正分を有額回答した。
基本賃金については複数年の協定を結んでいるため、今季は年間一時金交渉が中心となった鉄鋼・造船関係では、神戸製鋼が昨年より30万円以上増の135万円となったほか、三菱重工(44万円+4カ月<生産協力金3万円含む>)、IHI(27万円+4カ月+業績回復協力金5.5万円)、住友重機(4.9カ月)など、昨年実績を上回る回答を示した。
この結果を踏まえて金属労協は、以下の戦術委員会確認事項を公表した。