非常勤にも一時金などの手当支給を/自治労の臨時・非常勤等職員全国協議会

(2011年3月9日 調査・解析部)

[労使]

自治労の臨時・非常勤等職員全国協議会は5日、東京・有明で全国総会を開催し、 (1)地方自治法を改正し、非常勤職員にも一時金などの手当を支給できるようにする (2)パート労働法の趣旨が、臨時・非常勤等職員にも適用されるようにする――ことなどを柱とする2011年度の活動方針を決定した。また、役員改選を行い高橋英津子・新議長らを選出した。

処遇改善・雇用安定に向け130万人署名行動を展開

自治労の調査で約60万人にのぼるとも推計されている地方自治体の臨時・非常勤等職員。保育士や給食調理員、図書館司書、消費生活や児童相談員、学童保育指導員、事務補助など、恒常的な業務に就く者が少なくない。6割以上が正規職員並みの勤務時間を働いているにも係わらず、その6割前後が時給で900円未満や、月給16万円未満の状態にあることから、いわゆる「官製ワーキングプア」などと指摘されている。

自治労は、こうした臨時・非常勤等職員の処遇改善を重要課題に位置づけ、昨年夏の徳島大会で、「臨時・非常勤等職員の処遇改善に向けた法改正方針」を決定。 (1)短時間公務員制度(仮称)の実現 (2)パート労働法の趣旨の臨時・非常勤等職員への適用 (3)非常勤職員に対する諸手当支給制限の撤廃(地方自治法第203条の2、204条の改正)――に向けた取り組みを進めている。

自治労の臨時・非常勤等職員全国協議会は、当事者が職場の現況について、情報共有しながら団結を深めるもの。今回の全国総会では、2011年度の活動方針を決定するとともに、その実現に向けた当面の取り組みとして、公務員連絡会・地公部会が実施する「臨時・非常勤職員の処遇改善・雇用安定に向けた法改正を求める(200万人)署名」行動(自治労としては130万人目標)に、全力をあげることなどを確認した。

署名は、5月23日を目途に収集し、6月初旬に総務相へ提出予定だが、7日に第一次集約を行い、春闘要求に対する総務相からの回答時(今月23日)にも活用し、地方自治法改正に向け、前進回答を引き出したいとしている。自治労・臨時・非常勤等職員全国協議会では、全国総会の終了後、同署名への参加を呼び掛ける街頭行動を新橋駅周辺で展開した。

前日には民主党・官製WP議連などと意見交換会も実施

一方、全国総会の前日には、民主党の「官製ワーキングプア問題解決促進議員連盟」や、社民党幹部との意見交換会も行われた。

意見交換会では、臨時・非常勤等職員を取り巻く動向として、最近の裁判例等を逆手に取り、一時金(ボーナス)の支給を廃止する事例もみられることなどが報告された。

注:ここ数年、大阪府茨木市、枚方市、東京都東村山市等で、非常勤等職員への手当(一時金、退職金)支給について、地方自治体違反だとして返還を求める住民訴訟が提起されてきた。それぞれ2010年10月、9月、09年2月に判決が確定。判決は、 (1)任用根拠に係わりなく実態が常勤であるかどうかのみが判断基準になる (2)一定以上の勤務時間があれば常勤職員とみなす (3)勤務時間以外の要素も考慮する――などの内容で、いずれも手当の返還は必要なしとされた経緯がある。