勤務間インターバル規制の制度化を要求/NTT労組の春闘方針

(2011年2月18日 調査・解析部)

[労使]

NTT東西やドコモ、データなどNTTグループ企業の労組で構成する、NTT労働組合(約18.1万人)は16日、都内で中央委員会を開き、2011年春闘は、昨年に続き月例賃金の改善要求を見送る一方、年間収入の確保に向け、特別手当については主要8社のうちNTTドコモとデータを除く6社で「高卒40歳・一般資格1級」をモデルに前年要求水準を基本に求める方針を決めた。

「特別手当中心に非正規の処遇改善、WLB、65歳までの雇用を」(加藤委員長)

あいさつした加藤友康委員長は、今春闘を取り巻く情勢について、「収益・事業構造改革に向け着実に成果を挙げてきている」と指摘。一方、今春闘に向けた基本的考え方としては、「現在の賃金制度を維持しつつ、各企業本部の主体性に基づく特別手当を中心に、非正規労働者の正規化の道筋と実現性及び処遇改善、ワーク・ライフ・バランスの課題などについて要求し、前進的な決着をめざす。とりわけ、退職再雇用制度を含め65歳までの雇用をトータルで捉えた(新たな)制度等の確立に向け、会社側と深化した論議をスタートさせたい」と強調。さらに、非正規労働者の組織化について「結果を導き出したい」との決意を表明した。

一時金は昨年の要求水準を基本に

中央委員会では、今春闘を「組合員の生活を維持・防衛する総合生活改善闘争」と位置づけ、 (1)年間収入の確保 (2)非正規労働者の処遇改善を含めた労働環境整備 (3)ワーク・ライフ・バランスの充実 (4)65歳までの雇用をトータルで捉えた制度(退職・再雇用制度含む)等の確立に向けた労使間協議――を取り組みの柱に据えることを決めた。

このうち、年間収入の確保については、特別手当(一時金)の要求に重点を置き、「年間臨給方式によるNTTグループ統一モデル(40歳・一般資格1級)の基準内賃金(地域加算手当は除く)」をベースにする考え方を踏襲しつつ、「昨年要求水準を基本に各社の経営動向を見極めつつ各企業本部で要求化する」とした。NTT東日本や西日本は、同基準で年間134万3,000円となり、昨年に引き続きストライキ権の確立を含む闘争体制で満額回答を目指す。

非正規労働者(グループで推定約7万人。うち約8,500人を組織化)の処遇改善については、「社員登用制度の確立・充実」をはじめ、「特別手当・一時金の要求及び制度化」や「時間外労働等割増率の改善」「福利厚生等の条件整備」等に取り組むことを盛り込んだ。また、法定地域最賃に一定額58円を積み上げる「新たな情報労連最賃協定」の締結に取り組むことも決めた。

ワーク・ライフ・バランスに関しては、労働の終業から始業までの間の休息時間を確保する「勤務間インターバル規制」について、「制度導入の是非も含めた労使間論議を求める」とした昨春闘から一段踏み込み、今春闘では「主要8社に対し制度化を要求する」。併せて、時間外労働等割増率の改善(60時間以外の時間外労働に対しては30%以上、休日・深夜労働40%以上)を求めることなどを決めた。

統一地方選では62人必勝をめざす

このほか、中央委員会では、 (1)次期大会で「グローバルICT時代にふさわしい基本政策(仮称)」の方針化に取り組むこと (2)NTT労組の誕生から12年を経過するなか、当面は単一組織を堅持することを前提に組織運営体制やその組織機能について、2012年5月を目途に検証し最終答申をまとめること――などを含む、次の大会までの運動方針を確認した。

また、「『民主党政権の足場を固める重大な政治決戦』である第17回統一自治体選挙において、NTT労組の組織内・組織重点候補62人全員(新人7人含む)の必勝等に向け、組織の総力をあげて闘い抜く」などとする宣言も採択した。