JAL整理解雇問題めぐり国民支援共闘会議を結成/全労連、全労協等

(2010年12月22日 調査・解析部)

[労使]

日本航空が12月9日、パイロット94人と客室乗務員108人の計202人に対し、12月31日での解雇を通告したことを受け、全労連、全労協、自由法曹団ほか、航空労組連絡会、日本航空乗員組合、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)のJAL関係3団体を含む14団体が20日、都内で記者会見を開き、「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」の結成を表明した。

「整理解雇四要件そろわず、不当労働行為の問題も」(大黒議長)

会見した全労連の大黒作治議長は、「1,500人の削減目標に対し、すでに1,706人が希望退職に応じており、10月までの営業利益も累計で1,327億円に達しているなど、整理解雇四要件に照らしても認められない。また、整理解雇の人選基準が、病歴や年齢の高い順の選別になっていること、同時に安全運航と職場要求の先頭に立ってきた組合役員の排除を狙う不当労働行為になっていること等も問題だ」などと指摘した。

さらに、「2012年の株式上場をめざし、不採算路線から撤退するための大量削減であり、これでは利用者・国民が求める安全性と公共性が確保できない」「日本航空の経営破たんの根本原因は、高い着陸料や航空機燃油税、大型機の大量購入や規制緩和など、米国の圧力の下で歪められた航空行政にある」――と主張。当面12月末に迫った整理解雇撤回に取り組む」とともに、その先を見据え、「すべての労働者の雇用に係わる整理解雇四要件を守り、国民の期待に沿う再建を実現させ、歪んだ航空行政を改めさせる運動への発展をめざし、国民支援共闘会議を立ち上げる。諸団体や学者、マスコミ、一般に広く参加・賛同を呼び掛けてゆく(窓口は航空労組連絡会)」との意向を明らかにした。

14団体が参加――訴訟闘争も視野に

会見では、自ら解雇(通告)対象となっている、航空連の辻村議長やCCUの内田委員長らが、「解雇対象者は50代のベテランや長期にわたる搭乗で身体を壊した者、組合活動を積極的にやってきた者などに偏っている。50代になっての整理解雇で仕事を奪われたら、この先どうしていってよいか分からない」などと涙ながらに訴えた。

このほか、会見には全労連、全労協、自由法曹団に加え、新日本婦人の会(新婦人)、全国港湾、全商連、東京地評、東京南部法律事務所、日本婦人団体連合会(婦団連)、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)、農民連――の合計14の呼びかけ団体が顔を揃えた。同日付けで結成された「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」は今後、12月27日に結成総会を開くとともに、訴訟も視野に入れつつ、署名活動、宣伝活動などを展開する予定だ。