定昇2.0%、ベア2,500円を要求/私鉄総連中央委員会

(2010年12月8日 調査・解析部)

[労使]

私鉄総連(渡辺幸一委員長、13万人)は7日、都内で中央委員会を開き、来春闘の賃上げ交渉で「一人平均2.0%(定昇相当分)プラス2,500円(ベア分)」を要求することなどを内容とする「2011年春闘職場討議案」を確認した。

渡辺委員長は冒頭の挨拶で「取りまく経営環境から2011年春闘は厳しい交渉になる」との考えを示しつつも「統一ベアこそ生活と景気回復の柱」「総額人件費抑制は景気低迷の最大要因」であると述べ、交渉力の強化を訴えた。

2011年春闘の職場討議案では、賃上げ要求の基本的な考え方として、第2次中期賃金方針をふまえ、 (1) 安心して働き続けられる賃金水準の実現 (2) 人命を預かる仕事にふさわしい賃金 (3) 私鉄・バス・ハイタク(ハイヤー、タクシー)の魅力ある産業としての社会的地位向上――を掲げた。

私鉄総連が2009年に行った調査によると加盟組合の4分の3に定期昇給制度がないことが明らかになっていることから、各組合に対しては賃金実態を把握したうえで、早期に賃金制度を整備するよう求めている。

私鉄・バス組合の統一要求では、各組合員の現行基本給を一人平均で2.0%(定昇相当分)プラス2,500円(ベア分)を引き上げることを求める。加盟162組合の平均基本給255,000円(平均年齢42歳、平均勤続年数16.4年)をもとに算出すると、定昇相当分は5,100円となる。ベア分のうち、物価上昇分については消費者物価指数などが上昇していないため要求を見送り、生活向上分のみとした。2,500円のベア要求は賃金の維持・復元を図るため、年収ベースで1%程度の配分を求めるとする連合の方針を踏まえたものだ。

一方、ハイタク専業組合は私鉄・バス労働者と同一水準の賃金をめざすとし、月例基本給について、一人2.0%(定昇相当分:定昇額1,500円+調整給3,000円)プラス2,500円(ベア分)の引き上げを要求する。

連合が非正規労働者の待遇改善に向け、新たに「非正規共闘」を設置することを受け、これに参加する。契約社員、パートなどの組織化の取り組みを強化しつつ、1時間あたり30円以上の時給引き上げもめざす。

要求案は2月3日の拡大中央委員会で決定した後、一斉に提出。スト権確立のための投票を3月上旬に集約し、交渉を追い込む構えだ。