1%を目安に適正な配分を追求/連合の2011春季生活闘争方針案

(2010年11月19日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は18日の中央執行委員会で「2011春季生活闘争方針案」を確認した。すべての組合が1%を目安に賃金を含む適正な配分を追求。5年を目安に、ピーク時の賃金水準への復元をめざす。團野副事務局長は、「すべての組合が闘争に参加し、労働者に対する配分を追求してもらう」と話している。闘争方針は、来月2日の中央委員会で正式決定する。

闘争方針案は、2011春闘を非正規を含む「すべての労働者の処遇改善」にむけた2年目の闘いと位置づけた。そのうえで、「配分を求め、より社会性を追求した運動を展開することで、デフレからの脱却を図り、労働者への配分の歪みを是正し、個人消費を喚起し、経済の活性化を図っていく」と提起。「成果の適正な配分を追求し、家計と企業のバランスの歪みを修正・解消することが、産業・企業競争力の強化をもたらす」との観点から、「すべての労働組合が1%を目安に賃金を含む適正な配分を求めていく」としている。

およそ5年で賃金水準の復元を図る

取り組み方については、定期昇給制度があるところは賃金カーブを維持する。また、賃金制度が未整備でカーブ維持分がわからない組合は、その維持のため、昨年と同額の5,000円を目安にする。そのうえで、賃金水準の中期的な観点からの復元を図る。

具体的には、厚生労働省の毎月勤労統計調査の1997年(ピーク時)と2009年の対比で、一般労働者の給与総額が5.1%低下していることなどを踏まえ、「少なくとも1%ずつ水準を戻して5年で復元を図っていく」構想を打ち出している。

手当や企業内最賃、一時金などの増額も視野に

ただし、水準の復元については、月例賃金だけでなく、生活・職務関連手当や企業内最低賃金などの引き上げ、生活防衛の観点からの一時金水準の向上なども視野に入れる。こうした賃上げ要求方針の考え方について團野久茂副事務局長は、「闘争なので統一性は担保したいが、置かれている環境はそれぞれ違うので、多様性も組み合わせなければならない。だから、各構成組織が配分をどこに求めていくかについては幅を持って受け止める。しかし、すべての組合が闘争に参加し、労働者に対する配分を追求してもらう」などと話している。

非正規労働者は時給で正社員を上回る賃上げを

また、中小企業労組の多い産別でつくる中小共闘の方針は、賃金カーブの算定が困難な組合のカーブ維持相当分の要求目安を「4,500円」に設定したうえで、賃金水準の低下や格差などの状況に応じて「賃金改善分として1%」を目安に要求、交渉を展開するとした。

パートタイム労働者等の待遇改善に関しては、パート共闘を発展させたパート・有期契約共闘が、「時間給ベースで正規労働者を上回る賃金の引き上げを追求していく」との前提で、 (1)絶対額1,000円程度(2)単組が取り組む地域毎の水準について、産別は現状を踏まえ中期的に連合の県別リビングウェイジを上回る水準となるよう指導する (3)フルタイムパートなど正社員と同じような働き方をしている労働者は時間額40円程度の引き上げ(定昇込み)――のいずれかに取り組む方針を示している。