公租公課の適正化求める―航空連合定期大会

(2010年10月8日 調査・解析部)

[労使]

航空連合(3万3,000人)は5日、定期大会を都内で開いた。大会では、産業政策として、日本の航空会社が外国の航空会社と対等な条件で競争できる環境を整備するよう提言。国土交通省は来年の税制改正要望で航空機燃料税を3年間の期限付きで2分の1に引き下げるよう要求しているが、航空連合はこれを皮切りに海外に比べて割高とされている公租公課の適正化を求めることで、競争力を高めていく考えだ。

航空連合は99年1月に結成された航空業界最大の産業別組織。日本航空グループと全日本空輸グループ各社の労働組合で構成され、約3万8,000人の組合員が加盟している。

近年、航空業界をとりまく環境はきびしさを増し、今年1月には日本航空(JAL)が経営破綻し、会社更生法の適用を申請した。さらに、世界的に航空自由化の流れが進んでいることから、海外の格安航空会社との間でさらなる競争激化が予想される。

こうした状況を受け、山本大博会長は冒頭の挨拶で「産業全体で労使のパイを大きくするため、産業政策実現の取り組みの重要度がさらに増している」と強調。そのうえで「民主党の航空政策は航空連合が支えているという自負のもと、日本の国土交通行政のあるべき姿について政府与党をはじめとする関係各所に力強く主張し続けたい」との決意を述べた。

JALの整理解雇について、「回避する努力を求める」

さらに、先頃、日本航空の管財人である企業再生支援機構が、希望退職者の応募が目標数を下回った場合、整理解雇も辞さない方針を明らかにしたことについて触れ、「最終手段である整理解雇を回避する努力を強く求めていく」との立場を表明した。

第12期の運動方針では、「産業政策をとおして、安心して生活できる強固な産業基盤をめざそう」をスローガンにげ、そのための重点項目として、産業政策の実現や雇用の確保、労働条件に関わる課題解決に向けて取り組むことなどが議決された。

産業政策の提言では、「公平な競争環境の整備」が重要事項として盛り込まれた。その背景には、航空業界での自由化の進展と海外の格安航空会社の参入がある。こうした航空会社との間で公平な競争ができるよう行政に対し、航空機燃料を始めとする公租公課の軽減を求めた。国内線に課せられる航空機燃料税は日本の航空産業の国際競争力をそぐ一因とされており、航空連合では廃止を含む水準の見直しを求めてきた。こうした要望を受け、国土交通省は来年の税制改正要望で税率を3年間の期限付きで2分の1に引き下げるよう求めている。

空港整備財源のあり方にも見直しを求めた。現在、空港整備財源の6割が航空機燃料税や着陸料収入など空港利用者や航空会社の負担によってまかなわれている。歳入はいったん特別会計・空港整備勘定にプールされ、地方空港の整備費に充てられるが、こうした仕組みが不採算空港の建設につながっているとの批判もある。

航空連合は地域の航空ネットワークが整備された現在、こうした仕組みを改め、歳入と歳出の透明性を高めることで無駄を減らし、公租公課の引き下げや空港利用者への還元につなげるよう訴えた。各空港で着陸料収入などを財源に、独立した運営を行うことで、効率化につなげるねらいだ。

一方、国土交通省が国民の移動権の保障を定めた「交通基本法」の策定作業を進める中、政策的に維持すべき航空路線は離島における住民生活に必要な旅客輸送に限定すべきとの考えを示した。さらに、現行、離島路線の運航費補助として、経常損失額の2割を上限に航空機の部品購入費の2分の1の範囲内で補助金が支給される制度について、これに限定することなく、経常損失を国が一般財源から全額補助するよう求めている。