2011年度の活動計画を確認/連合中央委員会

(2010年10月8日 調査・解析部)

[労使]

連合第58回中央委員会:メールマガジン労働情報 No.665/JILPT

連合(古賀伸明会長)は6日、都内で中央委員会を開き、「2011年度活動計画」を確認した。2010年度に達成された運動の成果を踏まえ、今後1年間に取り組むべき課題をまとめたもの。政策と運動については、総花的に要求を並べて、そのうちの何れかが実現できればいいという「要求型」の組み立てではなく、優先順位や実現の可能性、時期、コスト・財源なども考慮して政策立案する「協議・実現型」に深化させることなどを打ち出している。

「すべての働く者の連帯で、希望と安心の社会を築こう!」をスローガンに

連合は昨年の定期大会で、「すべての働く者の連帯で、希望と安心の社会を築こう!」をスローガンに掲げた「2010~2011年度運動方針」を決定した。 (1)社会の底割れに歯止めをかけるために、雇用の確保・創出や政策制度の実現に全力を傾ける (2)「地域に根ざした顔の見える運動」をさらに前進させ、地域で働く労働者が抱える諸問題への対応力を強化する (3)社会の安心・安定のために労働組合が不可欠なインフラとの認識に立ち、組織拡大を進める――ことなどを運動の力点に置く。非正規労働者や中小零細企業で働く労働者の処遇改善と均等処遇や働き方の改革によるワーク・ライフ・バランスの推進、労働者代表制の法制化などによる集団的労使関係の再構築などに取り組むこととしていた。

「働くことを軸とする安心社会(仮)」を社会に広く提起

今中央委員会では、運動方針に基づいて2010年度に取り組んだ実績を報告するとともに、後半1年間に引き続き取り組む課題をまとめた2011年度の活動計画を確認。達成された内容として、政権交代を受けて構築した政府との政策協議の枠組みや、雇用戦略対話での合意、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた組織内討議の推進、非正規・組織拡大キャンペーン、最低賃金引き上げなどを提起。そのうえで、活動計画については4つの柱を設定し、それぞれの主要テーマを掲げている。

具体的には、まず「政府・民主党との連携を強め、勤労者重視の政策・制度実現をめざす」ことを提起。これまで「要求型」だった連合の政策と運動を「協議・実現型」に深化させることとし、今後1年間かけて、政策実現のための効果的な運動スタイルや要求・提言の組み立て方などを検討する。残された課題としては、新成長戦略の推進などによるデフレ脱却と雇用創出を図りつつ、政策課題として、 (1)「子育て基金(仮称)」の創設 (2)公務員の労働基本権の確立 (3)公契約基本法の制定――の実現をめざす。

2つめの「すべての働く者の生活改善・格差是正・均等待遇をめざす」については、ディーセントワークとワーク・ライフ・バランス実現のために雇用の質を重視するとともに、普通に働けば生活できる賃金(最低賃金)を確保することなどを明記。残された課題としては、雇用保険の国庫負担率の本則復帰、「求職者支援制度」の創設、改正労働者派遣法の早期成立と「雇用憲章(雇用基本法)」(仮称)の成立、また、高齢者雇用安定法の改正、雇用における障害差別禁止法の制定をあげる。新たな課題としては、「労働者性」問題への対応、連合の「パート・有期労働契約法案要綱骨子(案)」および「労働者代表法案要綱骨子(案)」の見直しなどを提起した。

3つめには、「組織の力量を高め、社会的インフラとしての労働運動を推進する」として、連合全体の組織拡大(2010~11年での52万人プラスフルファ)と集団的労使関係の再構築、地域協議会の強化、学校教育課程での労働教育と連合運動を担う人材育成の取り組みなどをあげている。

最後の柱の「めざすべき社会像を広く社会にアピールする」では、今年12月にとりまとめを予定している連合がめざす社会像<働くことを軸とする安心社会(仮)>を広く社会に提起して、その趣旨を社会全体で共有させる。加えて、「希望と安心の社会づくりキャンペーン」も引き続き、継続する。

運動・行動が社会的に認知され、正当な評価を得るよう努力を

あいさつした古賀会長は、活動計画の推進について「既存のメンバーだけで議論した『政策要求』にとどまらず、すべての働く者に共通する課題について、積極的に関連団体、政府、シンクタンク、経営側などとの論議・協議を行って具体化する運動のスタイルを構築していくことが重要で、これは政権与党を支援する組織としての政策・制度実現にも通じる。『要求』を掲げるだけではなく、その『実現』をめざすためには、これまでの発想と行動パターンの転換が必要だ」などと説明。そのうえで、「労働組合は社会的に不可欠なインフラだ。自らの運動・行動も社会的に認知され、正当な評価を得るための努力がより一層重要になっていることを互いに確認しよう」と呼びかけた。

このほか、大会では労働者派遣法の改正案について、今臨時国会での早期成立を求める特別アピールを採択した。