うつ病など精神疾患による労災申請、過去最高の1,136人/厚労省

(2010年6月16日 調査・解析部)

[労使]

 

仕事上のストレスが原因でうつ病などの精神疾患を発症し、09年度に労災申請を請求した人の数は前年度に比べて209人多い1,136人で過去最高となったことが14日、厚生労働省のまとめで分かった。労災として認定された人数は前年度より35人少ない234人だった。

労災認定でもっとも多いのは「30~39歳」

厚生労働省は労災申請件数が増加したことついて、患者数自体が増加したことや昨年、精神疾患に関する労災認定基準を改正したことで新たに労災に該当すると思われるケースが増えたことなどが要因となっているのではないかと分析している。労災認定された数は過去最高だった08年度の269人より減少し、234人となったものの、07年度の268人に続く過去3番目の高い水準となった。

認定を受けた人を年代別にみると、働き盛りの「30~39歳」層が75人ともっとも多く、「40~49歳」の57人、「20~29歳」の55人、「50~59歳」の38人と続いた。業種別には製造業の43人、卸売・保険業の36人、建設業の26人、運輸業・郵便業の23人、医療・福祉業の21人などが多かった。職種別でみると、システムエンジニアやプログラマなどの「専門的・技術的職業従事者」が65人と最多で、次いで「生産工程・労務作業者」の44人、「事務従事者」の40人の順だった。

一方、同日発表された過労による脳・心臓疾患で労災を請求した人の数は、前年度に比べて122人少ない767人だった。過去最高だった06年度の938人から3年連続の減少。労災の認定を受けた数も前年度より84人少ない293人で、このうち、過労死は前年度より52人減って106人となった。

認定を受けた人の1カ月平均の残業時間は「80時間以上~100時間未満」が119人ともっとも多く、「100時間以上~120時間未満」の76人、「120時間以上~140時間未満」の30人と続く。年代別では「40~49歳」の90人、「50~59歳」の87人と発症リスクが高まる年代での認定が目立った。