消防職員の組織化方針を決定/自治労中央委

(2010年6月2日 調査・解析部)

[労使]

自治労(徳永秀昭委員長、85.5万人)は5月27~28日、静岡県・浜松市で中央委員会を開催し、当面の闘争方針を決定した。また、今年1月から総務省内に検討会が設置され、今秋に政府の報告書がまとめられることになっている消防職員の団結権のあり方問題について、団結権獲得を前提に、将来的には自治労加入を視野に入れ、全国に15.8万人いる消防職員の組織化に取り組む方針も決定した。

「組織力・交渉力を強化し、労使関係の変革に挑戦」(徳永委員長)

徳永委員長はあいさつで、内閣人事局の設置や幹部職員の人事管理の一元化のほか、「自律的労使関係制度の実施に必要な権限と責任を有する体制を整備する」ことを明記した国家公務員法改正案について、「今なお参議院で審議中という厳しい状態にあるが、労働基本権回復の前提となるもの。何としても今国会で成立させなければならない」と主張した。

また、2012年には人事院勧告制度が廃止される一方、協約締結権の回復が行われることを想定し、賃金・労働条件闘争のスタート年であることを明確に位置づけて取り組んだ今春闘について、「要求―交渉―妥結のサイクルの確立を最大の重点として確認したが、残念ながら要求書を提出した自治体単組は全体の3分の2程度、交渉を実施した単組は半数程度にとどまるという結果に終わった」などと総括。そのうえで「人員削減が続くなか、日常の組合活動もままならないなど、単組では厳しい状況があると十分認識しているが、自律的労使関係が構築され、悲願だった労働基本権が回復されても、宝の持ち腐れになっては元も子もない。日常的な取り組みの中から組織力・交渉力を強化し、労使関係を変革することに挑戦しよう」と強調した。

さらに、徳永委員長は本年1月に総務省に検討会が設置され、今秋をめどに報告書が提出される見通しになっている消防職員の団結権のあり方の問題について触れ、「私との定期協議(09年10月28日)における原口総務大臣の発言を起点に、現在論議が進められていることからすれば、段階を追った手続きは必要だが、消防職員の団結権の回復はいわば既定コース。制度論議の一方でその日に備え、16万人近くいる消防職員の組織化が決定的に重要となってくる」などと述べた。

中央委員会では、 (1)賃金・労働条件改善をめぐる人勧期を中心とした取り組み (2)公務員制度改革、職場の権利と勤務条件を確立する取り組み――など16本を柱とする当面の闘争方針をはじめ、「消防職員の組織化方針」を決定した。

このうち、今年の人事院勧告に向けた方針では、「官民較差は不透明ながら、マイナス較差もあり得る。一時金は、昨年に引き続き支給月数の大幅引き下げの危険性が高いものになっている」などと指摘。引き続き、「公務員給与の社会的合意の再構築」と「交渉による賃金・労働条件の決定」を基本に据え、「月例給水準の維持・改善」や「生活防衛に必要な一時金の支給月数確保」を求めることを決めた。

また、消防職員の組織化方針では、基本的な考え方として、 (1)2012年の団結権獲得を想定し、今後3年間集中して組織化に取り組む (2)2012年までは全消協(全国消防職員協議会)への組織化を進め、団結権獲得以降はすでに組織化した全消協単協の自治労への合流と、引き続き未組織の消防職員の自治体単組への組織化を進める (3)全消協から自治労への合流については、全消協の議論を注視しながら、自治労としての方針を今後、議論する――ことなどを決定。「自治労自身の課題」として、「組織統合のあり方の議論以前に組織化を進めていく」ことを確認した。