内部留保の還元で貧困と格差の解消/全労連系中央メーデー

(2010年5月7日 調査・解析部)

[労使]

全労連系の第81回中央メーデーは1日、東京・渋谷の代々木公園で開かれ、約3万2,000人(主催者発表)が参加した。スローガンは、「働く者の団結で生活と権利を守り、平和と民主主義、中立の日本を目指そう」。

「内部留保の還元で貧困と格差の解消/全労連系中央メーデー」/メールマガジン労働情報 No.623(2010年5月7日記事)

具体的なメインスローガンとして、「貧困と格差の解消。大企業は内部留保を労働者・国民へ還元せよ」「すべての労働者に賃上げと安定した雇用の確保、内需拡大を」――などを掲げた。主催者あいさつした大黒作治全労連議長は、「失業と貧困をなくし、国民の暮らしを守れという要求の実現を」などと訴えた。

「国民の暮らしを守れ」(大黒議長)

大黒議長は、「財界が『競争力強化』を唱え続けてきた間に、日本は成長しない国になってしまった」「一握りの大企業が200兆円もの内部留保を増やし続け、労働者、国民には還元しない、正規から非正規への置き換えが進み、派遣労働の導入と企業減税で『大企業栄えて民滅ぶ』状況が続いている」などと述べて、財界の姿勢を批判。政府に対しても、「財界・大企業の『競争力』という呪縛から抜け出せず、多くの労働者、国民に失望感が広がっている」と断じ、「大企業が儲かれば国民の生活に滴り落ちる『トリクルダウン』という考えから脱却して、国民生活が潤ってこそ成長するという考え方に転換すべきだ」と訴えた。

「内部留保の還元で貧困と格差の解消/全労連系中央メーデー」/メールマガジン労働情報 No.623(2010年5月7日記事)

また、今国会で議論が始まっている労働者派遣法の改正について、「(法案の)『製造業や登録型派遣の原則禁止』は名ばかりで、派遣労働者の2割も救済できない『偽装改正案』だ」と強調し、抜本改正を求めた。そのほか、具体的な政策課題として、最低賃金の引き上げや後期高齢者医療制度の廃止をあげて、政府・与党の公約履行を求めた。続いて、日本共産党の市田忠義書記局長もあいさつした。

「すべての力の総結集を」(メーデー宣言)

「内部留保の還元で貧困と格差の解消/全労連系中央メーデー」/メールマガジン労働情報 No.623(2010年5月7日記事)

メーデー宣言では、「いまこそ、『大企業の内部留保の社会還元』『ルールある経済社会』実現を求めるたたかいは、安定した生活と雇用の確保、内需主導の日本経済回復という点でも国民的大儀をもっている」と強調。「貧困と格差の解消、国民本位の政治実現に向けて、国民諸階層すべての力の総結集を」などと呼びかけている。

式典後、参加者は明治公園に向かうコース、恵比寿方面へ回るコースと新宿方面の3コースに分かれて、デモ行進した。全労連系メーデーは、東京での中央メーデーを含め、全国357カ所の県・地域で開かれた。

「内部留保の還元で貧困と格差の解消/全労連系中央メーデー」/メールマガジン労働情報 No.623(2010年5月7日記事)