1,047名問題の政治解決案を正式に承認/国労臨時大会

(2010年4月28日 調査・解析部)

[労使]

 

1987年の国鉄の分割・民営化に伴う国鉄労働組合(国労、1万4,000人、高橋伸二委員長)の組合員ら1,047人のJR不採用問題で、国労は26日、都内で臨時全国大会を開き、与党3党と公明党が政府に申し入れた政治解決案(『国鉄改革の1,047名問題の政治解決に向けて』)の受け入れを正式に承認した。これにより、23年を超える紛争は、政治上の和解で決着することになった。また、大会では今後、雇用問題の解決を最重点課題とする方針も確認した。

「1,047名問題の政治解決案を正式に承認/国労臨時大会」:メールマガジン労働情報 No.621号/4月28日 調査・解析部)

政治解決案をめぐっては、今月9日、与党3党と公明党の解決案が提示され、政府も同案の受け入れを表明。その後、当事者と支援者の四者四団体(4者:国労闘争団全国連絡会議、鉄道建設公団訴訟原告団、鉄道・運輸機構訴訟原告団、全動労争議団鉄道・運輸機構訴訟原告団、4団体:国鉄労働組合、全日本建設交運一般労働組合、国鉄闘争支援中央共闘会議、国鉄闘争に勝利する共闘会議)が4党に対し、同案の内容での解決に同意する態度を示した。

具体的には、昨年3月に高裁が支払いを命じた判決金(遅延損害金を含め約1,189万円)と訴訟費用等374万円の和解金(総額約142億円)に、4者・4団体に支払う団体加算金(58億円)を加えた内容で、対象は910世帯。係争中の原告(遺族を含む)1人当たり約2,200万円(総額約200億円)が支払われる計算で、解決案を受け入れ、すべての訴訟を取り下げることなどが前提条件になっている。

雇用についても、政府が問題解決にあたり、「被解雇者でJR各社への採用を希望する者については、JR各社に要請」することなどが盛り込まれたが、解決案受け入れの条件には「JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できない」との但し書きも付された。

「1,047名問題の政治解決案を正式に承認/国労臨時大会」:メールマガジン労働情報 No.621号/4月28日 調査・解析部)

あいさつした高橋委員長は、「23年余の苦難に満ちた生活と闘いを継続し、何度も押し返されながらも解決の扉を大きく開くことができた」などと、これまでの経過を振り返りつつ、政府解決案について、「24年目にして解決する感慨深い喜びとともに、合意内容は必ずしも手放しで喜びあえる内容でないことも現実であるだけに、受け入れを決断する立場にあって、大変重い責任と併せ両方が交錯している」と複雑な思いも吐露した。そのうえで、「組合員、家族の生活の窮状にかんがみ、早期に解決することが求められている」「被解雇者の高齢化も進むなかで、これ以上の解決先送りは救済利益が得られなくなることも含めて解決案の受諾を決断した」などと述べた。

雇用問題に関しては、「当事者が求めている要求の全面的な解決までには、いまだ残された雇用を巡る課題がある。関係者が心の底からの笑顔を取り戻すその日まで全力を挙げる」などと強調した。

また、大会では、今後、鉄道・運輸機構との裁判上の和解手続きを進めるとともに、雇用問題の解決を最重点課題に据え、JR各社に人道的観点から当事者の雇用の実現を要請する取り組みを行うことなどを盛りこんだ。