中小企業の発展や人材育成など意見交換/連合と日商

(2010年4月16日 調査・解析部)

[労使]

 

連合(古賀伸明会長)と日本商工会議所(岡村正会頭)は15日、都内で懇談会を開き、中小企業の雇用確保や人材育成のあり方などについて意見交換した。

中小企業の成長・発展で労働者の雇用と処遇改善を

冒頭、古賀会長は、「日本経済は一部で底を打ったとの見方もあるが、雇用情勢は依然厳しい。完全失業率は5%を切ったが、雇用調整助成金に依るところも多く、いかに雇用創出していくかが重要だ」などと指摘。「日本の雇用労働者の8割が中小企業で働いている。中小企業が発展し、そこで働く人の労働条件の向上、可処分所得の増加がなければ日本経済の健全な発展はない」などと述べ、中小企業の発展に向けた取り組みと働く人の処遇改善の必要性を強調した。

これに対し、岡村会頭は、「経済情勢は各種指標で改善を見せているが、中小企業では実感がなくむしろ回復には相当な時間がかかる。これからどう成長していくかがポイントだ」などと応じたうえで、「連合とも協力して中小企業の育成・活性化を図っていきたい」とした。

労働にまつわる個別課題では溝も

その後の懇談では、連合が (1)目指すべき社会像と成長戦略 (2)グローバル経済化における経営基盤の確立 (3)中小企業の人材の育成・確保――。一方、日商からは (1)経済のグローバル化への対応 (2)中小企業の構造問題 (3)雇用と人材――について、それぞれ考え方を説明。そのうえで、これらの課題について意見交換した。国や自治体の事業を民間企業などが受託する際に適正な労働条件などを確保するための公契約基本法の制定が地域経済に与える影響や、最低賃金の引き上げに関する議論もなされたという。

この日の懇談について古賀会長は、同日午後の定例会見で「現下の経済・景気動向などの課題は同一の認識だったが、最低賃金や外国人労働の問題など労働にまつわるいくつかの個別課題については溝がある。最終的に個別案件については、これからも意見交換していくことを確認した」などと話した。