202組合の単純平均で5,252円(1.66%)/国民春闘共闘の賃上げ集計

(2010年3月31日 調査・解析部)

[労使]

 

全労連加盟の産別などで構成する国民春闘共闘が3月25日現在で発表した回答集計によると、回答を引き出した202組合の賃金引き上げ額(単純平均)は5,252円(1.66%)で、前年同期とほぼ同じ水準となっている。今後、各産別のスト配置など回答追い上げのための行動配置を4月14~20日に設定し、取り組みを強化する考えだ。

今春の賃上げ交渉では、連合系の大手企業労組が軒並み、「定昇維持分確保」の方針で取り組む中、国民春闘共闘は、「誰でも1万円以上の賃金引き上げ」を統一方針に掲げていた。

国民春闘共闘の第2回賃上げ集計(3月25日現在)によると、登録791組合のうち回答を引き出したのは202組合、単純平均額で5,252円、率で1.66%となっており、昨年同期(5,480円、1.69%)と比べて、額で228円減、率で0.03ポイント減と下回ったものの、ほぼ同水準の結果となった。加重平均では、額で5,699円(昨年同期比192円減)、率で1.83%(同0.09ポイント減)となっている。規模別にみると(単純平均)、1,000人以上で6,183円(昨年同期比26円減)、300~999人は5,312円(同393円減)、100~299人では5,521円(同125円増)、30~99人で5,022円(同67円減)、30人未満では4,909円(同941円減)となっており、大手に比べて零細での落ち込みが大きい。小田川義和全労連事務局長は記者会見の中で、交渉状況について「昨年は大手のダウンが顕著だったが、今年は、大手の回復のしわ寄せで、中小零細の交渉の厳しさが目立つ」と分析している。

国民春闘共闘が第一次集中回答を踏まえて発表した声明「『貧困・格差の解消、消費拡大』のたたかいを粘り強く」(3月19日)では、賃上げ回答について、「昨年同時期を下回る厳しいもの。生活悪化に苦しむ労働者の実態が考慮された結果とは言えない」「生産が回復しているにもかかわらず、製造業大手企業は下請けいじめと労働者使い捨ての経営を改めていない」と経営側の姿勢を批判。「今春闘では、一部の企業に冨が集中する仕組みに転換を迫ることが最大の課題」「状況の改善・克服には、大企業がため込んでいる内部留保の異常さを告発し社会還元をはかる取り組みを」と強調し、今後の取り組み強化を訴えている。また、連合系の金属大手などがベースアップ要求を断念したことに触れ、「製造業大企業の賃金交渉は『定昇維持』のゼロ回答で『妥結』し、要求前進の障害となっている」と分析している。

全労連は4月中旬に行動配置

一方、全労連(大黒作治議長)は3月25、26日、東京都内で幹事会を開き、3月の賃上げ交渉の第一次集中回答を踏まえた、今後の具体的な行動配置などについて確認した。

4月14~20日の行動配置ゾーンでは、自公総連の全国ストライキ行動(4月14日)や金融共闘の統一行動(4月16日)などが組まれており、交渉の追い込みをはかる。同時に制度政策の取り組みも強化する考えで、4月21日には最低賃金時給1,000円実現や労働者派遣法抜本改正、後期高齢者医療制度廃止の重点3課題を掲げる国会集中行動を構え、厚生労働省前集会や院内集会、国会議員要請などを展開する。全労連は、消費回復による景気の底支えを訴え、その処方箋として最低賃金1,000円の実現を主張している。