金属中堅・中小労組も賃金構造維持分を確保/金属労協

(2010年3月26日 調査・解析部)

[労使]

 

自動車や電機、鉄鋼、造船重機などの金属産業の労組でつくる金属労協(IMF・JC、議長:西原浩一郎自動車総連会長)は25日、中堅・中小登録組合(155組合)の回答状況を明らかにした。同日までに回答のあった111組合すべてで定期昇給などの賃金構造維持分を確保。このうち、8組合が賃金改善を引き出している。

55社の平均で5,226円、8組合で賃金改善も

金属労協は07春闘から、加盟する中堅・中小組合を事前に登録させ、回答結果を企業名と合わせて開示している。各業種や地域で影響力のある企業名と回答の中味を公表することで、中小・地場への波及を狙った取り組み。4年目となる今春闘では、155組合がエントリーし、46組合が定昇相当分以外の賃金改善を要求した。

25日までに回答を得た111組合すべてで定期昇給などの賃金構造維持分を確保し、このうち、賃金改善を獲得した組合は8組合あった。定期昇給と賃金改善を合わせた回答額は、実額が把握できる52組合で平均5,226円。昨年との比較が可能な38組合の集計では、昨年を162円上回る結果となった。

年間一時金は、業績連動方式を採用する企業を除く86社の組合が回答を得た。57組合が前年の水準を上回り、月数換算で単純平均4.25カ月となっている。これを昨年と比較できる同一組合でみると平均4.24カ月となり、前年実績より0.24カ月上回っている。

大手の回答が交渉の支えに

賃金改善分を獲得した組合を産別ごとにみると、JAM傘下ではマキノ(平均賃上げ4,650円、賃金改善分含む)、津田駒工業(同5,859円、賃金改善分含む)、近畿車輛(同5,700円、賃金改善分含む)、日本タングステン(同5,296円、賃金改善分含む)の4組合が改善分を確保。造船専業で構成する造船部会などが賃金改善要求した基幹労連でも、ユニバーサル造船が「平均(賃金改善分)1,280円」、佐世保重工が「2年をひとつの単位として 2010年度 670円、2011年度は別途協議」の回答をそれぞれ得ている。このほか、自動車総連傘下の2組合が改善の回答を得たという。

こうした結果について、若松英幸事務局長は「現時点では、総じて賃金構造維持分は確保している。このことは、大手の各組合が全体として維持分を確保できたことが交渉の支えになっている。賃金改善も厳しい交渉となっているが、いくつかの組合で改善分の確保に漕ぎ着けており、これも今後、増えていくだろう」などと話している。