定昇込みの平均賃上げ5,369円/連合第1回回答集計

(2010年3月24日 調査・解析部)

[労使]

 

金属大手が回答を引き出した翌々日の19日、連合(古賀伸明会長)は2010春季生活闘争の「第1回回答集計」をまとめた。同日までに回答を引き出した431組合の定期昇給込みの平均賃上げ額は加重平均で5,369円となっている。

所期の目標は達成できている/古賀会長は一定の評価

19日午前中までに回答を引き出したのは431組合(組合員数66万8,432人)。組合員一人あたりの平均賃上げ額(加重平均)は5,369円、率で1.78%だった。昨年同時期との対比では、回答引き出し組合数は120増え、組合員数も約3万7,253人多い。回答内容は、額で461円、率も0.16ポイント%低くなっている。

ただし、昨年と比較できる同一組合(370組合)でみると、平均賃上げ額は5,318円(1.78%)で、昨年実績(5,307円、1.76%)をわずかに上回っている。

古賀会長は「現時点の集計では、賃金カーブを維持し、水準をほぼ維持できた結果となった。我々が掲げた所期の目的は達成できている。また、いわゆる賃金デフレの流れを押し返す一定の成果があった」などと評価。そのうえで、「賃金水準の低下を阻止する今春闘の本番はこれからと言っても過言ではない。この集計結果と62の代表銘柄のデータを活かし、今後の中小労組の交渉に活かして未組織労働者にもつなげていく取り組みを展開する」との決意を示した。

14組合がベア・賃金改善分の回答を引き出す

一方、09春闘から取り組んでいる5つの「共闘連絡会議」の闘争状況については、登録している主要395組合(昨年は360組合が登録)のうち、19日13時現在、回答を引き出したのは216組合で、このうち14組合がベア(賃金改善含む)を獲得した。これを共闘会議別にみると、「化学・食品・製造等」と「流通・サービス・金融」共闘会議の内需産業の組合が比較的、健闘していることがうかがえる。

9組合が賃金改善を引き出した「化学・食品・製造等共闘連絡会議」では、84組合が平均5,468円の回答を得た。9組合のベア・賃金改善分の平均額は705円となっている。具体的には、UIゼンセン同盟に加盟するアシックス(243円)や丸大食品(1,020円)、川本産業(1,165円)、ニチアス(400円)、フード連合傘下の味の素冷凍食品(1,000円)、敷島製パン(638円)、ロッテ(1,746円)などの労組がベア・賃金改善分を引き出した。

「流通・サービス・金融共闘連絡会議」も34組合が回答を引き出している。平均回答額は5,251円。このうち、ベア等を引き出したのは4組合で、その平均額は818円だった。UIゼンセン同盟のサイゼリア(1,000円)、富士薬品(440円)、キューテック(295円)、日本染色検査(1,539円)の労組がベア・賃金改善分を確保している。

ちなみに、味の素冷凍食品とサイゼリヤ、富士薬品の3労組は、満額回答を獲得した。

パートの賃上げは前年同期比6円のマイナス

なお、5年目を迎える「パート共闘会議」のパート労働者の待遇改善の取り組みに関しては、19日までに時間給の引き上げで妥結したのは75組合(7構成組織)。22.56円の引き上げ要求に対し妥結額は12.05円で、昨年同時期の18.38円を約6円下回っている。