賃金カーブ維持の貫徹が重要/連合古賀会長

(2010年3月19日 調査・解析部)

[労使]

連合の古賀伸明会長は3月17日、金属大手の回答引き出しを踏まえて記者会見を開き、要求通り賃金カーブ維持分を確保できたことについて、「先行きが厳しい中の交渉で、要求に沿った回答を引き出したことを評価する」としながら、「今後の交渉で、中小を含め、賃金カーブ維持の方針を貫けるかが重要だ」と訴えた。

古賀会長は、「金属大手をはじめ、賃金カーブ維持の回答を引き出した。経営側の厳しい対応を乗り越えて、方針を貫いたことに敬意を表する」と述べ、現時点での評価を示した。そのうえで、経営側の交渉に臨む姿勢について、「経営側は情勢の変化の認識が不足していた。効率や経済性だけを追う価値観では、世界秩序は保てない。日本の社会をどうしていくかという視点が経団連などには必要だ」と批判。「賃金カーブ維持はギリギリ最低限の方針だ。経営側は、それにも応えられないのはおかしい。経営側も乗り越えて回答してほしい。そうでなければ、働く者のモチベーションは下がって、消費も下がり、よりデフレに拍車がかかる。ぎりぎりのところで、景気の底割れを押しとどめるため、経営側は社会的責任を果たして欲しい」と主張した。

賃金カーブ維持分確保の方針を掲げて交渉に臨んだことについて、「ここ10年間、賃金水準が低下してきた。賃金カーブ維持の要求は、水準を維持して、これ以上下げさせないということ。マクロへの影響では、これ以上の消費下落を防ぐ底支えの働きがあると思う」と説明。これから本格化する中堅・中小の交渉に触れ、「定昇制度がないところは多い。ここの水準を下げないようにすることが大切。定昇制度を持っているところが、賃金カーブ維持分がいくらかを公表して、制度がないところもそれを参考にして取り組みを進める。先行組合が引き出した回答を波及させる。今春闘では、いままで以上に情報を開示して臨んだ。それぞれの産業で定昇がどのくらいか公表している。情報開示での波及を進めていく」と強調した。

また、すべての労働者を視野に入れた交渉を展開するとした、非正規労働者にかかわる取り組みについては、「まだ、集計段階でない」としながら、「今のところ、非正規について何らかの取り組みをしたところが3割強増えるなど、取り組みの裾野が広がっている。企業内最賃の取り組みも増えている」と述べた。