「官製ワーキングプア」で全労連が集会を開催

(2010年3月17日 調査・解析部)

[労使]

全労連の公務部会・非正規センターは3月13日、東京・湯島で、「『これでいいのか公務・公共サービス、なくせ官製ワーキングプア』――3・13告発集会」を開き、公務・公共サービス部門で働く非正規労働者の処遇改善を訴えた。公務現場では、総額人件費削減政策によって、臨時・非常勤職員が増加するとともに、民間委託などが進み、いわゆる「官製ワーキングプア」と呼ばれる低い賃金や不安定な雇用で働く労働者が少なくないことが、社会的関心を集めている。

主催者あいさつした山口隆公務部会代表委員は、「政権が交代しても、企業の都合で労働者が使い捨てられている状況は変わっていない。公務職場でも、非正規化が広がり、公務・公共サービスの質が国民に責任の持てない状況となっている。また、コンビニでアルバイトをしなければ生活できない非常勤教員がでるなど、官製ワーキングプアが生まれている。規制緩和で経済効率を求める路線からの抜本的転換が必要だ」と述べ、公務労働の非正規化の問題点を指摘した。

正規転換、労働条件向上、公契約条例などを要求へ

問題提起した蟹澤昭三公務部会事務局次長は、「さいたま市の公立学校の非常勤学校図書館司書は、1日6時間、週4日勤務で時給1,120円、年間勤務時間が上限960時間となっているため、年収は最高でも107万5,000円。これでは将来の人生設計は描けない」「JPの郵便事業会社では64%が非正規社員。パートやアルバイト以外の非正規社員の64%が年収200万円以下のワーキングプアとなっている」などと、公務職場で働く非正規社員の実態を報告。そのうえで、「本来は正規労働者を配置しなければならない仕事に、臨時・非常勤職員を入れ、しかも、劣悪な労働条件で働かせている。正規職員の増員とともに、非正規労働者に国際的に当たり前の賃金・労働条件の実現を」と訴えるとともに、 (1)公務・公共サービス充実に向けた正規職員増員と非正規職員の正規転換 (2)非正規職員の雇用安定と賃金・労働条件の向上 (3)民間委託・指定管理者による公務・公共サービスの質とそこで働く労働者の賃金・労働条件の確保のための公契約条例の整備 (4)当面の策として最低時給1,000円――の4点を具体的な要求として掲げた。

会場からは、「財団法人として長年法務局の登記業務を担ってきたが、適正化の名の下で規制緩和による一般競争入札が実施され、多くの職場が失われて大量解雇が発生した。残った労働者も労働条件が大幅に切り下げられた。経験のない多くの民間業者が参入し、業務が混乱しており、公共サービスの質の低下という問題が生じている」(民事法務協会労組)や「国立病院機構の院内保育が全国一括で民間委託となり、全員がその民間業者に転籍。退職か賃下げかを迫られ、多くの労働者がしかたなく賃下げを飲んだ。園長でも月20万円以下で、退職金もない」(全医労北陸病院支部)、「1年契約を更新して働いてきた大阪市の非常勤嘱託保育士150人が、次年度の継続意思まで確認されていたのに、突然、論文試験による選抜を実施するといわれ、雇い止めの事態に直面している」(大阪自治労連)など、現場の深刻な現状報告が相次いだ。