2010春闘方針と当面の闘争方針を決定/自治労中央委

(2010年1月29日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員を中心に構成する自治労(88万7,000人)は1月28~29の両日、都内で中央委員会を開き、2010春闘要求の柱を、 (1)生活向上のための賃金・労働条件の改善 (2)自治体・企業内最低賃金の確立 (3)非正規を含め全労働者の雇用確保 (4)ワーク・ライフ・バランスの実現 (5)公共サービスの質と公正労働基準の確保――の5本に据えることを決めた。また政権交代で現実味を帯びつつある公務員の労働基本権回復を見据え、「すべての単組が必ず要求書を提出し、交渉を行うことを徹底する」ことも確認。さらに、公務員制度改革への対応を軸とした当面の闘争方針も決定した。

「協約締結権回復を展望した交渉力強化を」(徳永委員長)

徳永秀昭委員長はあいさつで、政権交代を受けた公務員制度改革の状況変化に触れ、「(08年10月から議論をスタートさせた)政府の労使関係制度検討委員会が、09年12月15日に『自律的労使関係制度の措置に向けて』とする報告書(*)をまとめた。今後は現政権がこれをどう扱うかがポイントになる」などと指摘した。

そのうえで、「連立政権下における労働基本権付与については、すでに揺るぎないものと考えているが、協約締結権が回復した時点で重要になるのは、言うまでもなく県本部や単組等現場における取り組みだ」と強調。今春闘の取り組み姿勢として、「新しい自律的労使関係の下、人事院の廃止を見据え、すべての単組で要求し、交渉し、妥結するというサイクルを確実に実行していただきたい。組織力・交渉力を強化し、労使関係を対等なものへと変革していけるよう果敢に挑戦していただきたい」などと呼び掛けた。

徳永委員長はまた、消防職員の団結権問題に言及。「ILОから再三、厳しい勧告を受けてきたが、私と原口総務相の定例会見(昨年10月28日)を起点に、総務省内に1月22日に『消防職員の団結権のあり方に関する検討会』が設置され、自治労、全国消防職員協議会(全消協)から労働側委員を選出した」などと報告した。こうした状況変化を踏まえ、「連合・公務労協と連携しながら、消防職員の労働基本権を何としても確立していかなければならない。同時に、16万人近い消防職員の組織化も非常に重要だ」と訴えた。

人事院勧告廃止を見据え、自律的労使関係制度の起点へ

方針を説明した岡本博書記長は、「2010春闘を新たな自律的労使関係制度の開始と、人事院勧告の廃止を見据えた、本格的な賃金・労働条件闘争サイクルを確立する取り組みの起点として積極的に位置づけ直す」と強調。中央委員会では、要求書の提出(2月15~22日)、交渉・協議の実施(全国統一標3月12日)、妥結(労使合意による労働協約または書面協定の締結、回答指定ゾーン第1次3月15~19日、第2次3月23~26日)とのスケジュールも確認し、徹底させる考えだ。

全県本部・単組が取り組む課題として、 (1)生活向上のための賃金・労働条件改善 (2)自治体・企業内最低賃金の確立(月給14万9,800円以上、日給7,490円以上、時給970円以上の書面協定化など) (3)非正規を含め全労働者の雇用確保(年度末に多発する臨時・非常勤等職員の雇止め阻止など (4)ワーク・ライフ・バランスの実現(労使宣言の確認・合意や36協定の締結〈労働協約締結権回復前段の取り組み〉など) (5)公共サービスの質と公正労働基準の確保(入札制度における落札者決定ルールの改善要求など)―の5本を設定した。

このうち、賃金・労働条件改善については、 (1)行政職標準労働者で給料月額を「2005年人勧による給料表水準4.8%引下げ以前を回復する」観点から、30歳ポイントで25万2,200円(国公行(一)3-17水準)以上、35歳ポイントで30万4,200円(同3-45水準)以上、40歳ポイントで36万4,400円(同4-54水準)以上に引き上げる (2)地域公共サービスで働く民間労働者では、「同一・類似の自治体労働者と同一水準」による官民横断的な賃金形成をめざす観点から、賃金カーブ維持分+格差是正分として「賃金改善分500円以上」に引き上げる (3)個別賃金要求として、公共サービス民間事務・技術職の35歳ポイントで29万8,500円以上、現業職で27万2,600円以上、看護職で28万3,600円以上、福祉職で26万8,420円以上(介護報酬改定3%増含む)に引き上げる――などを掲げた。