中小共闘支援拡大センターを設置し交渉力テコ入れ/フード連合中央

(2010年1月29日 調査・解析部)

[労使]

 

食品産業関係の組合で構成し、中小が8割を占めるフード連合(渡邉和夫会長、9万9,700人)は25日、都内で中央委員会を開催し、「賃金カーブ(体系)維持分が5,500円以上等の組合は、パート等の時給引上げを含むあらゆる改善原資の獲得」「賃金カーブ維持分が満たない組合は5,500円以上または賃金改善分1,000円基準以上」「賃金制度(定昇)がないなど賃金カーブ維持分の算定が困難な中小組合は5,000円以上」――等を柱とする、2010春季生活闘争の要求方針を決定した。

「賃金カーブ維持を産別指導の下で徹底」(渡邉会長)

渡邉会長はあいさつで、今春闘を取り巻く情勢に触れ、「他産業との相対的な比較では、食品産業は経常利益もプラスを示すなど安定的に推移していると言えるが、消費減退に対する刺激策として低価格化に拍車がかかっており、消費者物価の下落も続いている」などと指摘。そのうえで、今次交渉に臨む姿勢としては、「食品産業は地場経済を中心的に支える役割を担っているが、そこに働く労働者の賃金は製造業にあって相対的低位に置かれた状況が続いてきた。フード連合の賃金水準(09春闘後の基準内賃金は平均29万5,173円)をみてもこの6年間で1万円程度低下しており、誇りを持って働ける職場・産業の実現に向け、全加盟組合が力を一つにして臨む春闘にしてゆく必要がある」などと強調した。

そのためには、「連合方針がいう『すべての組合で賃金カーブを維持する取り組みを産別指導の下で徹底する』必要がある。これは、具体的に産別がアクションを起こし、闘いにコミットしろということだ」とし、新たに「中小共闘支援拡大センター」を設置して、登録した中小単組の要請に基づいて、賃金実態把握・要求策定、交渉・戦術、妥結・配分といった個別指導を行うなど、中小労組の交渉力をテコ入れする考えを明らかにした。

厳しいときこそ格差是正のチャンスと捉えてベア要求

中央委員会では、「これ以上の賃金の低下を許すわけにはいかない。景気好転期の春闘でも、食品産業全体の賃上げ水準は抑えられてきた経過を踏まえ、厳しいときだからこそ格差是正のチャンスでもあると捉える」との観点から、全加盟組合が取り組む統一要求方針として、 (1)賃金(改善原資含む)の引上げ (2)労働時間の短縮(年間所定労働時間2,000以上ゼロ(1992時間以下目安で労使合意)、時間外・休日労働の割増率引上げ等) (3)一時金の安定確保 (4)パート等の処遇改善 (5)企業内最賃(到達目標は月額15.2万円以上・時間額870円以上)の協定化と水準引上げ――の5本を据えた。

このうち、賃金の引上げに関しては、「一律的にベアを求めることは難しい状況にあるものの、総体的に低位にある賃金水準を引上げ産業、規模、業種間等の格差を是正してゆく必要がある」ことから、 (1)賃金制度(定昇)が確立し、賃金カーブ(体系)維持分が5,500円以上、もしくは個別要求水準(到達目標として高卒35歳・勤続17年で29万3,100円、大卒30歳・勤続8年で28万7,000円等)以上を確保できると判断した組合は、パート等の時給引上げを含むあらゆる改善原資の獲得に取り組むこと (2)賃金カーブ(体系)維持分が5,500円に満たない組合は5,500円以上、または賃金改善分1,000円基準以上を要求すること (3)賃金制度(定昇)がないなど賃金カーブ維持分の算定が困難な中小組合は5,000円以上を要求すること――等の方針を決定した。

また、一時金については「元来、賃金の後払い的性格を持ち、生計費を支えるうえで大変重要な位置づけにある」ことから、「年間6カ月を基本とし、最低でも年間平均4カ月を確保する」との方針を決定した。さらに、パート労働者等の処遇改善方針としては、 (1)(定昇込み)時間給30円の引き上げ (2)労働条件の均等・均衡待遇実現 (3)組織化に向けた取り組みの推進――などを決めた。

要求提出日は2月末~遅くても3月5日とし、統一回答指定日は3月17日(食肉部会は3月18日)に設定している。