連合と日本経団連が首脳会談/2010春闘が事実上スタート

(2010年1月27日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)と日本経団連(御手洗冨士夫会長)は26日、東京・大手町の経団連会館で首脳会談を開き、今春の労使交渉をめぐって意見交換し、2010春闘が事実上スタートした。会談では賃金カーブの維持分の確保を求める連合に対し、日本経団連は賃金より雇用重視の姿勢を示した。また両組織は同日、厳しい新卒者の就職をめぐる環境が悪化していることから、「若年者の雇用安定に関する共同声明」を公表した。

今春交渉に関しては、日本経団連側が19日に発表した「2010年版経営労働政策委員会報告」をもとに、雇用の安定を最優先の課題にすべきだと主張。これに対して連合側は、賃上げ要求について、定昇・賃金カーブ確保により賃金水準の維持で臨む考え方を説明し、「経労委報告では、賃金カーブの維持については、実態に即して対応する旨を述べているが、我々はこの要求を最低限のものと考えている」(古賀会長)などと反論した。

若年者の雇用安定で共同声明――新卒者の採用拡大を労使と政府に要請

連合と日本経団連は同日、「若年者の雇用安定に関する共同声明」を公表した。「生まれた年代によって、たまたまその時が厳しいから就職できないといった第二の就職氷河期をつくってはならない」(連合・南雲弘行事務局長)として、個別企業労使に新規学卒者の採用拡大の取り組みを働きかけるほか、政府に対しても雇用創出や就職支援施策の充実・強化を求めていく。

声明は、「今春卒業予定の学生や生徒の内定率は大幅に低下するなど、不安を抱えている者は多い」などと就職状況の悪化を懸念。「雇用の安定がわが国経済社会の安定と発展の基盤であるとの認識の下、とりわけ若年者の就業機会の拡大と円滑な就労促進に向けた対策を速やかに講ずる必要がある」として、個別企業労使と政府に採用促進の取り組みを求めている。

具体的には、企業に (1)通年採用も含め、極力多くの新卒者の採用に努める (2)採用決定プロセスの透明性を高めつつ、人物本位の採用を徹底する (3)採用内定の取り消しは、客観的に合理的で社会通念上相当な理由が必要であることに留意し、回避のための取り組みを徹底する (4)ジョブカード制度等への協力を図る――ことなどをよびかけるほか、労働組合にも、 (1)産業別労使や個別労使において、新卒者の採用の拡大について真摯に協議を行う (2)地域雇用戦略会議における政労使による就労支援ネットワークの構築に積極的に関与する (3)学校教育において、働くことの意義を含めたキャリア教育(労働教育)や職場体験を促進する――ことなどを求める。

政府にも雇用創出などを要請

さらに、政府に対しても、 (1)早期の景気回復と雇用創出に向けて、2010年度当初予算を早期に成立させ速やかに執行する (2)2009年度第二次補正予算により創設される重点分野雇用創造事業(介護、医療、農林、環境・エネルギー、観光など)における雇用機会の創出や人材育成を推進する (3)緊急人材育成支援事業における「未就職卒業者向け訓練コース」(訓練期間中の生活支援給付あり)の内容充実など、長期的な就職支援体制を整備する (4)2011年春卒業予定者を含め学校における個別相談体制を強化するため、高校、大学等での就職支援体制の充実を図る――などの対応を要請する。

▽「若年者の雇用安定に関する共同声明」を連合と日本経団連で確認/連合
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2010/20100126_1264497425.html