「本部に配置する役員数の考え方の相違が直接要因」/植本副委員長

[労使]

中央委員会では特別報告として、地公三単産の統合断念の判断に至るまでの経緯を、植本真砂子副委員長が詳しく説明した。

植本副委員長は、「昨夏大会で名称問題を乗り越え(新組織は「自治労以外」の名称に/自治労定期大会)、最終的な詰めの作業を行う中で、逆に具体的な姿が明らかになればなるほど困難性が顕在化してきた。組織のあり方について、中間報告(08年6月)後の積み残し(課題)を集中議論する中で、大会代議員、新組織の本部役員、経過措置としての(その後の本部役員数の)見直し(減員)が問題になった。最終段階では、統合時の部門組織における役員の配置人数や減員時期・減員後の配置人数、旧単産から配置する副委員長の期限と減員後の配置人数等を、今夏大会に提起できるよう詰めたが、到達点に至らなかった。2010年秋の統合に論議が間に合わない状況の中で、自治労としては統合の可否そのものを考えざるを得ない局面に至ったと判断し、両者にも伝えて議論したが、最終的な合意に達しなかった」などと説明した。

そのうえで、植本副委員長は「統合協議は、本部に配置する役員数の考え方の相違を直接要因として最終的に不調に終わった。背景には、それぞれの単産が歴史的経過の上に成り立った他の組織運営実態に関する必要十分な理解を欠いていたこと、それにより新組織結成の目的や具体的な組織機構・運営手法について理解の幅を生じたことがあったと認めざるを得ない。その結果、共通理解の再確認に多くの時間と労力を割き、課題解決のための歩調が整わなかった。一方、各単産で綱領や規約、財政、新組織名など統合の基本となる討議案を検討する時間的猶予を確保できる見込みがなくなり、最終的に新組織の結成そのものを断念せざるを得ない事態になった」などと述べた。

決裂は公共サービス基本法の3日前

8年越しで検討してきた、地公三単産の組織統合をめぐっては、その過渡的組織として07年9月に、「地域公共サービス労組連合会」(通称・地域公共連合)を発足させ、10月より連合加盟単位を一本化(自治労、都市交、全水道が「地域公共連合」を結成)している。その時点では、組織人員100万6,000人を擁する連合内最大組織となり、2010年の完全統一(対等合併)に向け統一組織委員会を立ち上げ、新組織の名称や規約、綱領、運動方針や財政(組合費)のあり方等をめぐる具体的な協議を重ねてきた。

協議の停滞が鮮明になったのは、年末から年明けにかけて。都市交、全水道にとっては事実上、統合後の産別継承組織となる「部門(別)組織」(=交通部門、水関連部門、公共民間部門等)のあり方と大会代議員の選出方法、とりわけ統合時の役員配置とその後の減員人数・時期が焦点になった頃だった。副委員長間の調整でも埒が明かず、各産別の副委員長・書記長による非公式な「六者協議」で打開策を模索。結果、規約上の部門の記載や、大会代議員の選出については合意できる水準に至ったが、役員配置をめぐっては非公式協議を重ねても平行線を辿った。

決裂が決定的になったのは、4月10日の六者協議とみられている。自治労側は「このままでは2010年秋の新組織結成をも危ぶむ」事態と警告。自治労の理解の求めに応じ都市交は4月下旬、「ギリギリの判断として自治労案を了承する」旨の判断を示したが、全水道は、副委員長の配置期限は明示しないこと等を求め、意見の隔たりを再確認。その後、三者間で統合を断念する共通文書見解の作成に至り、結局、5月10日の第15回統一組織委員会で統合協議は幕引きとなった。皮肉にも、公共サービスを担うすべての労働者が一丸となって労働条件・環境の整備につなげるための根拠法となる「公共サービス基本法」の可決・成立の3日前だった。

(調査・解析部)
2009年 6月3日