メールマガジン労働情報 No.2113

■□――【メールマガジン労働情報/No.2113】

高齢労働者の労災防止対策の指針案を提示、シニアの特性に配慮した対応明記/厚労省検討会 ほか

―2025年12月10日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】高齢労働者の労災防止対策の指針案を提示、シニアの特性に配慮した対応明記/厚労省検討会 ほか
【統計】2025年7~9月期のGDP実質成長率、年率2.3%減/2次速報値 ほか
【労使】「持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方」を提言/経団連 ほか
【動向】冬のボーナスが前年より「増加」する企業、22.7%に微減/民間調査 ほか
【企業】「ネクストステージ支援プログラム」希望退職者1,273人/三菱ケミカル
【海外】政府、農民工の「大規模な帰郷」と再貧困防止策を強化/中国 ほか
【イベント】若年性認知症に関する企業向け研修会をオンデマンド配信/東京都

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム 申込受付中!
「安全で信頼できるAIによって支えられた人間中心の職場形成に向けて─OECD報告書を踏まえた展望─」

日時:2026年1月20日(火)13時30分~17時00分
方式:ハイブリッド開催(東京会場+オンライン)
会場:御茶ノ水ソラシティカンファレンス sola city Hall [EAST]
登壇者:
 Stijn BROECKE OECD雇用労働社会問題局シニアエコノミスト
 石原直子 (株)エクサウィザーズ はたらくAI&DX研究所所長
 川口大司 東京大学公共政策大学院院長
 伊達洋駆 (株)ビジネスリサーチラボ代表取締役
 戸田卓宏 前OECD雇用労働社会問題局エコノミスト(現 厚生労働省職業安定局総務課課長補佐)
 藤澤 優  (株)デンソー 人事企画部 担当係長
 山岡晋太郎 ライオン(株)デジタル戦略部
 山本龍彦 慶応義塾大学大学院法務研究科教授
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20260120/index.html

★労働政策フォーラム「企業におけるデジタル技術の活用と人材育成」 申込受付中!

第1部(研究報告・公的機関における支援の取組) 2025年12月24日(水)~2026年1月8日(木) *オンデマンド配信
第2部 2026年1月8日(木曜)13時50分~16時30分 *ライブ配信
    方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20260108/index.html

★『ユースフル労働統計2025―労働統計加工指標集―』を公開しました!
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2025/index.html

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【行政】
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●高齢労働者の労災防止対策の指針案を提示、シニアの特性に配慮した対応明記/厚労省検討会

厚生労働省の有識者検討会は8日、高年齢労働者の労働災害防止対策に必要な措置に関する指針案を提示した。
指針案は事業者が講ずべき措置として、経営トップの方針表明をはじめとする「安全衛生管理体制の確立」、
身体機能の低下を補う設備等の導入(例:階段の手すりや通路の段差解消)や作業管理などの「職場環境の改善」、
高年齢者の健康や体力の「状況把握」と「状況に応じた対応」、および「安全衛生教育」の項目ごとに具体的内
容を明記している。
改正労働安全衛生法により2026年4月から、高年齢者の労働災害防止対策が全ての事業者に努力義務化されるこ
とに対応し、これまでの通達(「エイジフリーガイドライン」)ではなく、同法に根拠条文をもつ指針として示
すことになる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66673.html

●日本交通(労評)不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委

会社が、(1)組合の初審申立時までに掲示板貸与要求に応じなかったこと、(2)その後掲示板の貸与に
当たって合意書を締結することを条件としたことなどが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の再
審査事件において、中央労働委員会は12月1日、(1)会社は他の2つの組合との関係性などを理由に貸与する
方法などを真摯に検討せず、初審申立時までに組合の要求に応じなかったことは不当労働行為に該当すること、
(2)会社は組合との団交等を経て検討した合意書案を提示しており、その内容は一定の合理性や相当性が認め
られることから、合意書を締結することを条件としたことは不当労働行為には該当しないとして初審命令を維持
した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r071202-1.pdf

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【統計】
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●2025年7~9月期のGDP実質成長率、年率2.3%減/2次速報値

内閣府は8日、2025年7~9月期の四半期別GDP(国内総生産)2次速報値を公表した。GDP成長率(季節調整済、
実質)は、前期比0.6%減、年率換算2.3%減。11月の速報値(前期比0.4%減、年率1.8%減)から下方修正した。
需要項目別では、民間最終消費支出が実質0.2%(速報値0.1%)、うち家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家
賃)は0.2%(同0.1%)。雇用者報酬の伸び率は、実質0.3%、名目0.6%。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2025/qe253_2/gdemenuja.html

●10月の実質賃金、前年同月比0.7%減/毎勤統計速報

厚生労働省は8日、10月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。現金給与総額
指数を消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で割った実質賃金は、前年同月比0.7%減で、10カ月連続
のマイナスとなった。現金給与総額は同2.6%増の30万141円、うち一般労働者が38万4,151円(同2.7%増)、
パートタイム労働者が11万2,283円(同2.2%増)で、時間当たり給与は同3.3%増の1,402円だった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2510p/dl/pdf2510p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2510p/2510p.html

●10月の勤労者世帯の実収入、前年同月比0.1%減/家計調査報告

総務省は5日、10月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は30万6,872円、
実質で前年同月比3.0%減少。前月比(季調値)は3.5%の減少。支出項目別でのマイナス寄与は、住居(マイナ
ス0.58%)、食料(同0.34%)、光熱・水道(同0.23%)など。プラス寄与は、教育(0.33%)など。勤労者世
帯の実収入は、1世帯当たり59万9,845円・前年同月比実質0.1%減。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

●10月基調判断「下げ止まり」で据え置き/景気動向指数速報

内閣府は5日、2025年10月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は115.4で、
前月と比較して0.5ポイント上昇し、2カ月連続の上昇。「耐久消費財出荷指数」、「生産指数(鉱工業)」な
ど7系列がプラス寄与、有効求人倍率(除学卒)など3系列がマイナスに寄与した。一致指数の基調判断は前月と
同じ「下げ止まり」として据え置いた。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202510psummary.pdf

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【労使】
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●「持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方」を提言/経団連

経団連は8日、提言「持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方」を発表した。企業による改革の
取り組みは着実に進展しているとした上で、コーポレートガバナンス・コード制定から10年を経た今求められる
のは、「形式の細則化」ではなく、企業自身が中心となり価値創造を支える、実質的なガバナンス改革の推進と
自律的な企業活動を後押しする施策・仕組みへの転換であるとして「企業(事業会社)」「株主・投資家」
「株主総会や開示、株主権等」の視点から課題・果たすべき役割を整理した内容となっている。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/083.html

●年末一時金回答集計(最終)を公表/連合

連合は5日、年末一時金(第3回・最終)、有期・短時間・契約等年末一時金回答集計(2025年12月3日集計)
を公表した。年末一時金は、組合員1人当たり71万3,757円(昨年同時期74万1,142円)、2.48月(同2.47月)。
短時間労働者は5万4,808円、0.67月(同9万9,162円、1.16月)、契約社員は23万9,554円、1.37月(同26万4,724
円、2.14月)額、月数とも加重平均。
▽年末一時金回答集計結果
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/nenmatsu/ichiji_03.pdf
▽短時間労働者
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/nenmatsu/tanki_01.pdf
▽契約社員
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/nenmatsu/keiyaku_01.pdf

●基幹労連、賃上げ1万5,000円要求/26年春闘方針、高水準相次ぐ

鉄鋼や造船、総合重工などの労働組合で構成する基幹労連は4日、2026年春闘で基本給を底上げするベースアップ
(ベア)として「月額1万5,000円」の賃上げを求める統一要求案を発表した。過去最高となった前年と同水準
となる。この日は機械や金属の中小企業労組を中心とする「ものづくり産業労働組合(JAM)」、繊維、流通な
どの労組で構成するUAゼンセンもそれぞれ要求方針案を公表。物価高などを背景に、高水準の要求表明が相次い
だ。基幹労連は同日、仙台市で討論集会を開催した。津村正男中央執行委員長は「人手不足と、物価上昇による
実質賃金のマイナスが継続している」と述べ、「人への投資」の必要性を訴えた。基幹労連は従来、2年分の要
求額を一括して決めて賃上げ交渉を行ってきたが、不透明な経済情勢を踏まえ、24年春闘から単年で要求。津村
氏は26年と27年も単年で取り組む方針を示した。JAMはベアの要求水準を過去最高の「月額1万7,000円以上」に
設定。UAゼンセンは、連合の目標を上回る6%の賃上げを要求する。(時事通信 2025年12月4日)リンク先なし

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【動向】
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●冬のボーナスが前年より「増加」する企業、22.7%に微減/民間調査

帝国データバンクは9日、「2025年冬季賞与の動向調査」結果を発表した。冬季賞与を「支給」する企業は
80.5%で、平均支給額が前年より「増加見込み」と回答したのは22.7%(前年23.0%)。
業界別では「農・林・水産」「金融」「建設」「小売」「運輸・倉庫」の5業界で増加割合が2年連続で高い。
「農・林・水産」が32.5%(9.6ポイント増)と大幅な伸びを示した背景に、鶏卵やコメ等の高止まりによる需
給引き締めがあると指摘。「運輸・倉庫」は33.6%と最も高く、自動車関連の回復やEC(電子商取引)需要の拡
大と人材確保難が背景にあるとしている。一方で、賞与は「変わらない」が44.7%、「減少見込み」が13.2%、
「賞与はない」が12.0%だった。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251209-2025winterbonus/

●外国人従業員への日本語教育の支援、必要と感じる企業は7割に対し、未実施が6割/民間調査、

三菱UFJリサーチ&コンサルティングは11月19日、「育成就労制度を見据えた外国人従業員への日本語教育に関す
る企業等アンケート調査」結果を発表した。外国人従業員に対する企業の日本語学習支援は、外国人雇用企業の
62.0%が実施していない。一方、日本語教育の必要性については、72.7%の企業が必要性を感じており、今後取
り組みたい学習支援では、「オンライン日本語教育の受講」24.7%が高い傾向にある。
育成就労制度の2027年開始により、特定技能1号、2号へのキャリアアップの道筋が明確化され、日本語能力の
育成も企業に課せられる。自治体や業界団体などと連携しながら、外国人労働者への日本語教育を推進していく
ことが重要としている。
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2025/11/seiken_251119_01.pdf

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【企業】
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●「ネクストステージ支援プログラム」希望退職者1,273人/三菱ケミカル

三菱ケミカルグループは8日、連結子会社の三菱ケミカルの社員を対象に実施した「ネクストステージ支援プロ
グラム」の結果を発表した。同プログラムに応募した希望退職者は1,273人。
プログラム実施に伴い、発生する構造改革費用は、現時点で約320億円、このうち2026年3月期第2四半期
(中間期)連結決算において、277億円の非経常損失を見積計上した。残りの費用は、26年3月期中に非経常損失
として追加計上する予定。
https://www.mcgc.com/ir/pdf/02491/02735.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽政府、農民工の「大規模な帰郷」と再貧困防止策を強化

中国経済の伸びが鈍る中、農業農村部が2025年11月13日に雲南省で開いた会議が注目を集めている。会議では、
農民工の就業機会を確保することで「返郷回流(都市からの大規模な帰郷)」を防ぎ、仕事が不足する農村で大
規模かつ長期の滞在が生じないようにする方針が明確に示された。不況や産業調整の影響で都市部の雇用が減少
し、農民工の帰郷が増える中、この方針は発表直後から大きな関心を集めた。政府が「規模性返郷・滞郷(都市
からの大規模な帰郷・長期滞在)」と呼ぶ動きが強まれば、農村部で仕事がない状況のまま長期滞在を余儀なく
される人が増え、再び貧困に陥るリスクが高まる可能性があるためである。今回示された方針は、農民工を守り、
再貧困を防ぐための支援策を一層強化する政府の姿勢を示したものといえる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/12/china_01.html

▽10月1日からK字ビザを導入/若手外国人材の新たな受入れ制度

中国政府は2025年8月14日、若手の外国人科学技術人材を対象とする新たな査証制度「K字ビザ」を発表し、
同年10月1日から施行すると明らかにした。従来のR字ビザは博士号や高度な研究実績が事実上の必須条件で、
若者には手が届きにくかった。K字ビザでは最低学歴要件が学士まで緩和され、より幅広い若手人材が対象とな
る。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/12/china_02.html

●フォーカス/JILPT

<開催報告>
▽北東アジア労働フォーラム「若者の雇用と労働:各国の主要な若者雇用政策の動向と今後の方向性」(2025年11月14日開催)

本フォーラムは、JILPT、韓国労働研究院(KLI)、中国労働社会保障科学研究院(CALSS)という日中韓3カ国の
労働政策研究機関が、共通するテーマに基づき研究成果の報告と討論を行い、知見を共有することを目的として
います。今年度は、KLIの主催により、「若者の雇用と労働:各国の主要な若年雇用政策の動向と今後の方向性」
をテーマに開催しました。日中韓3カ国の若者の現状、若者の労働市場参加を促進する政策、教育と職業のミス
マッチによる若年失業への対応策などについて研究報告と討論を行いました。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/event/ko_work/20251114gaiyou.html

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【イベント】
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●若年性認知症に関する企業向け研修会をオンデマンド配信/東京都

東京都は、若年性認知症に関する企業向け研修会を2026年1月9日(金)~1月30日(金)までの期間オンデマ
ンド配信する。働き盛り世代に発症する「若年性認知症」特有の課題や職場内の正しい理解と支援について専門
家が解説するほか、若年性認知症のある人本人・家族による「当事者メッセージ」を予定。定員:1,000人。
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/gyouji/jakunen_seminar/index.html