メールマガジン労働情報 No.2017

■□――【メールマガジン労働情報/No.2017】

夫の家事育児時間、長いほうが出産後の妻の「同一就業継続」高い傾向/21世紀成年者縦断調査 ほか

―2024年12月4日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】動画版「2024年版 労働経済の分析」を公開/厚労省 ほか
【統計】夫の家事育児時間、長いほうが出産後の妻の「同一就業継続」高い傾向/21世紀成年者縦断調査 ほか
【労使】賃上げ要求5%以上、中小は1万8,000円(6%)以上を目安とする2025春季生活闘争方針を決定/連合の中央委員会 ほか
【企業】東芝、早期退職3500人規模 配置転換も実施、経営再建加速
【海外】公共サービスの再建、就労促進など―新政権、秋季予算公表/イギリス ほか
【イベント】「キャリア形成支援セミナー」期間限定でアーカイブ配信/JAVADA

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズ No.248『人手不足とその対応に係る調査(事業所調査)―小売・サービス事業所を対象として―』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/248.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「シニア層の労働移動─就労・活躍機会の拡大に向けて」申込受付中!
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250115/index.html

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【行政】
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●動画版「2024年版 労働経済の分析」を公開/厚労省

厚生労働省は2日、9月公表の「2024年版 労働経済の分析」(労働経済白書)の解説動画を公開した。
白書をより多くの人々に知ってもらうために作成。「3分で読み解く!2024年版労働経済白書」をはじめ、
「日本はどれくらい人手不足なの?」「人手不足で給料は上がるの?」等、5つのトピックについて解説している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46083.html
▽2024年版労働経済の分析・動画版
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/24/24-3.html

●「フリーランスの取引に関する新しい法律」について首相メッセージ/政府

石破首相は2日、11月1日に施行された「フリーランスの取引に関する新しい法律」に関する
メッセージを公表した。「この法律では、フリーランスの人に発注する事業者が守らなければいけない、
そういう事項を定めている」として特設サイト、「フリーランス・トラブル110番」などを紹介し
「誰もが希望に応じた働き方ができるよう、政府として、フリーランスの皆様方の活躍を応援していく。」としている。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/discourse/20241202message.html
▽政府広報オンライン「フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律、2024年11月からスタート!」
https://www.gov-online.go.jp/article/202408/entry-6301.html

●労務費の価格転嫁率は44.7%/中小企業庁調査

中小企業庁は11月29日、「価格交渉促進月間(2024年9月)のフォローアップ調査」結果を公表した。
価格交渉が行われた割合は54.9%(前回24年3月調査59.4%、「価格交渉不要」の回答を含む割合)。
価格交渉した企業のうち「労務費についても交渉した」は70.4%で、前回調査(68.9%)から増加。交渉を
「希望したが出来なかった」は7.6%で前回調査より減小(調査結果p.6)。労務費の転嫁率は44.7%で、
前回調査(40.0%)より上昇(調査結果p.9)。コスト全体の価格転嫁率は49.7%で、前回3月調査(46.1%)
より増加。「(一部でも)価格転嫁できた」は前回調査比3ポイント増の79.9%。「転嫁できず・マイナス
となった」は20.1%で前回調査より減少。転嫁できた企業とできない企業の二極化がみられる。
https://www.meti.go.jp/press/2024/11/20241129001/20241129001.html
▽調査結果
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/dl/202409/result_01.pdf

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【統計】
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●夫の家事育児時間、長いほうが出産後の妻の「同一就業継続」高い傾向/21世紀成年者縦断調査

厚生労働省は11月29日、第12回(2023年)「21世紀成年者縦断調査(2012年成年者)」結果を公表した。
同調査は結婚、出生、就業状況などについて、2012年10月末に20~29歳だった全国の男女(及びその配偶者)
を対象に毎年実施。第12回調査では、第1回調査から協力が得られた4,754人について集計。調査対象者は
31~40歳となっている。
この11年間に子どもが生まれた夫婦(出産前に仕事あり)では、夫の平日の家事・育児時間が長いほうが、
出産後の妻の「同一就業継続」が高い傾向にある(概況p.6)。出産後の女性の就業継続意欲の推移を
みると、今回調査では「出産後も続ける」は55.1ポイントで第1回調査に比べ24.0ポイント上昇し、
「出産を機にやめる」(6.8ポイント)は10.8ポイント低下した(概況p.5、追加希望子ども数1人以上の
女性(各回調査で仕事あり)の場合)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen25/index.html
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen25/dl/houdou.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen25/dl/gaikyou.pdf

●11月の消費者マインドの基調判断、「改善に足踏みがみられる」で据え置き/消費動向調査

内閣府は11月29日、11月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数(二人以上の世帯、季調値)」
は36.4(前月比0.2ポイント上昇)。同指数を構成する意識指標のうち、前月比で上昇したのは
「収入の増え方」40.2(0.8ポイント)、「耐久消費財の買い時判断」29.9(0.2ポイント)、
「暮らし向き」34.3(0.1ポイント)。低下は「雇用環境」41.0(マイナス0.6ポイント)。
消費者マインドの基調判断は、「改善に足踏みがみられる」で前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
▽統計表等
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

●経常利益、7四半期ぶりに前年同期を下回る/7~9月期法人企業統計

財務省は2日、2024年7~9月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。
全産業(金融業、保険業を除く)の売上高は、前年同期比2.6%増、経常利益は3.3%減、設備投資は8.1%増。
経常利益の減少は、製造業の石油・石炭(157.2%減)、輸送用機械(16.8%減)等による。
経常利益(23兆124億円)が前年同期を下回るのは7四半期ぶり(結果概要p.15)。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r6.7-9.pdf

●10月の鉱工業生産3.0%上昇、基調判断は「一進一退」で据え置き/鉱工業指数速報

経済産業省は11月29日、10月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は
前月比3.0%上昇の104.3で2カ月連続の上昇。業種別で上昇したのは、生産用機械工業、自動車工業、
金属製品工業等、低下は電子部品・デバイス工業、輸送機械工業(自動車工業を除く)、汎用・業務用機械
工業等。出荷は102.6で前月比2.8%の上昇。在庫は同0.1%、在庫率は同1.4%のいずれも低下。
基調判断は、「生産は一進一退で推移している」で、前月から据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202410sj.pdf

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【労使】
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●賃上げ要求5%以上、中小は1万8,000円(6%)以上を目安とする2025春季生活闘争方針を決定/連合の中央委員会

連合(芳野友子会長、681万7000人)は11月28日、千葉県浦安市で中央委員会を開き、2025春季生活闘争方針を
決定した。賃上げ要求指標について、ベアなどの賃上げ分 3%以上、定昇相当分を含め5%以上を目安に掲げ、
中小組合の指標では、格差是正分1%を加えて1万8,000円・6%以上とした。芳野会長はあいさつで、
「2025春季生活闘争の肝は、賃金も経済も物価も安定した巡航軌道に乗せることだ」と述べて、賃上げの流れを
継続させることが豊かさを実感できる社会につながるとの考えを強調した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20241204.html
▽連合 記者発表
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/press_release/press_release_20241128.pdf

●10月の中小企業景況、全体として横ばい/全国中央会

全国中小企業団体中央会は11月25日、「10月の中小企業月次景況調査(令和6年10月末現在)」を公表した。
主要3指標は、前月比で景況1.1ポイント、売上高0.9ポイント、収益状況2.0ポイント、それぞれ上昇した。
主要3指標以外では、設備操業度のDIが4.2ポイント上昇。景況感は設備操業度が改善基調にある製造業を
中心に上昇したが、非製造業では物価高による消費者の節約志向の高まりから顕著な回復は見られず、
全体としては横ばい。引き続き、人手不足・人材確保の問題が、多くの業種で収益力の足かせとなっており、
最低賃金引き上げも相まって、賃上げ原資確保に苦慮する事業者からは経営への影響を懸念する声が多く
寄せられているとしている。
https://www.chuokai.or.jp/images/2024/11/kei2410.pdf

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【企業】
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●東芝、早期退職3500人規模 配置転換も実施、経営再建加速

東芝は29日、早期退職を中心に約3500人の人員適正化を行ったと発表した。人員削減に加え、
エネルギー分野などへの配置転換も実施。経営資源を成長領域に振り向け、再建を急ぐ。
東芝は5月、50歳以上を対象に早期退職を募集し、11月末までに最大4000人を削減する方針を発表
した。応募者には特別加算金の支給に加え、再就職支援も実施。3500人の大半は早期退職に応募したとみられる。
東芝は2015年に発覚した不正会計問題などの影響で経営危機に陥り、その後も巨額増資を引き受けた
「物言う株主」らと対立。昨年、混乱を収束させるため国内投資ファンドの日本産業パートナーズの傘下に
入り、上場を廃止した。(時事通信)2024年11月29日 ※リンク先なし

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【海外】
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●国別トピック

<イギリス>
▽公共サービスの再建、就労促進など―新政権、秋季予算公表

政府は10月末、秋季予算を公表した。前政権下で劣化した長期的な経済成長の基盤を修復するとの方針から、
医療や教育などの公共サービスの再建や、インフラなどへの投資促進等が盛り込まれているほか、
労働分野では、より良質な雇用の拡大に向けた新たな就労支援や教育訓練などの実施が盛り込まれている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/uk_04.html

<インド>
▽タミル・ナドゥ州チェンナイのサムスンの工場で大規模スト(1):労組承認や賃上げなどめぐり

韓国家電・電子製品大手サムスン電子のインド・チェンナイの工場で、9月~10月にかけて、労働組合の
結成承認や賃上げなどを求め、1,000人以上が参加するストライキが起こった。賃上げ等の要求項目については
交渉過程で労使の合意に概ね達したものの、労組の承認については合意に至らず、ストは37日間続いた。
インドで近年起きたストライキとしては最大規模となり、損失額は約1億ドルにのぼる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/india_01.html

▽タミル・ナドゥ州チェンナイのサムスンの工場で大規模スト(2):背景と労使合意

韓国家電・電子製品大手のサムスン電子のインドの工場で2024年9月に起きたストライキの背景には、日頃から
蓄積された従業員の不満がある。会社側を労働条件の改善要望に適切に対応させるためには、労働組合の結成
しか手段がないと従業員が考え、ストライキに発展したとみられる。紛争の終結には州政府首相の指示のもと、
労働福祉・技能開発大臣らが仲介役として重要な役割を果たし、労使合意にこぎつける形となった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/india_02.html

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【イベント】
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●「キャリア形成支援セミナー」期間限定でアーカイブ配信/JAVADA

中央職業能力開発協会(JAVADA)では、従業員のキャリア形成支援や人材育成に関する課題をテーマに
情報提供や課題解決のヒントを提供することを目的としてキャリア形成支援セミナーを開催している。
10月28日に実施したセミナー「今、求められる持続可能なキャリア~組織と個人のより良い関係を
めざして~」を12月4日(水)から12月22日(日)までの期間限定でアーカイブ配信する。「持続可能な
キャリア」とは何か、また、持続可能なキャリアが組織と個人の関係づくりに与える影響について解説する。
https://www.javada.or.jp/seminar/index.html#G