■□――【メールマガジン労働情報/No.2012】
今後の労働基準法制の見直しに向け、「議論のたたき台」を提示/厚労省研究会 ほか
―2024年11月15日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】今後の労働基準法制の見直しに向け、「議論のたたき台」を提示/厚労省研究会 ほか
【統計】2040年に半数以上の都道府県で平均世帯人員、2人を割り込む/社人研 ほか
【労使】相談受付件数、「パワハラ・嫌がらせ」が最多/連合「労働相談ダイヤル」(9月)
【動向】「103万円の壁」に関する企業調査、見直しをもとめる回答が9割以上/民間調査 ほか
【企業】カムバック採用・リファラル採用の制度を導入/日本郵便グループ
【海外】16年ぶりのストライキが終結―ボーイング社、4年間に38%の賃上げで労使合意/アメリカ ほか
【イベント】労働セミナー「今日から実践!中小企業のための健康経営入門」/東京都など ほか
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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.286『「job tag」(職業情報提供サイト(日本版O-NET))のインプットデータ開発に関する研究(2023年度)』
2018年度と2019年度に当機構が初期開発し、その後毎年度情報の拡充・更新を行っている職業情報の
データセットについて、2023年度は主に既存7領域のうち「知識」と「仕事の性質」領域の情報更新を
行いました。また、就業者のメンタルヘルスに関する調査も併せて実施しました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/286.html
▽リサーチアイ「『job tag』(日本版O-NET) の数値情報に関する誤解と実際」(10月11日)
https://www.jil.go.jp/researcheye/bn/083_241011.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★企画展示「令和の労働関係図書優秀賞 受賞図書展」/労働図書館
JILPT労働図書館で展示中の「令和の労働関係図書優秀賞 受賞図書展」に、最新第47回受賞図書2冊が追加
されました。会期を12月27日(金)まで延長しご紹介いたします。
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html
★新版「OHBYカード」 好評発売中!
https://www.jil.go.jp/institute/seika/ohby/index.html
【カード:定価440円(本体400円)/手引き:定価330円(本体300円)】
▽「OHBYカード」とは
カード式の職業情報ツールです。カードを分類したり、並べ替えたりといった作業のなかで、
自分の職業興味を知り、関心のある職業やこれまで知らなかった職業を知ることができます。
収録職業は48個と少ないですが、トランプにいろいろな遊び方があるように様々な活用ができ、
児童・生徒から若者、中高年に至る多様なニーズに柔軟に対応できるように作成しました。
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【行政】
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●今後の労働基準法制の見直しに向け、「議論のたたき台」を提示/厚労省研究会
厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」は12日、「議論のたたき台」を提示した。副業・兼業を促進するため、
本業と副業先の労働時間を通算する現行制度から、割増賃金の支払いでは通算しない制度改正に取り組むべきと
した。また、労災の認定基準である2週間以上の連続勤務を防ぐ観点から、13日を超える連続勤務の禁止規定を
労基法に設けることや法定休日の特定を規定すること、テレワークに日単位(コアデイ)のフレックスタイム制
を導入すること、「勤務間インターバル制度」の抜本的な導入促進と法規制強化について検討すること等を提起。
労働者性の判断基準については、境界事例などの判断にはフリーランス法等の保護法制との関係を踏まえた
検討が必要とし、「家事使用人」は労基法の適用除外の事情に乏しいとなどと指摘。労使コミュニケーションの
在り方については、「過半数代表者」の機能強化について法改正の必要性を指摘している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45355.html
●改正育児介護休業法に関す就業規則規定例、Q&Aを更新/厚労省
厚生労働省は、改正育児・介護休業法に関する規則の規定例[簡易版]とQ&Aを11月1日付で更新し公表している。
所定外労働の制限(残業免除)を子の小学校就学前まで拡大すること、子の看護休暇を小学校第3学年まで拡大
するとともに入園(入学)式等を取得事由に追加すること、育児休業取得状況の公表義務を300人超の企業に
拡大することなどは、2025年4月1日施行。柔軟な働き方を実現するための措置として、3歳以上小学校就学前
の子を持つ労働者に対して始業時刻の変更等の5つの措置のうち2つ以上を設けることや、仕事と育児の両立に
関する個別の意向聴取・配慮等の義務化は10月1日施行。これらについては、就業規則等の見直しが必要となる。
▽規定例
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/02.docx
▽Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001325224.pdf
▽パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000685056.pdf
●「労使関係セミナー」講義動画を公開中/中労委
中央労働委員会では、判例や労働法制に関する情報を広く発信し、労使紛争の未然防止と早期解決を図り、
支援する労働委員会への理解促進のため「労使関係セミナー」を開催している。
現在、HPでは、同セミナーの関東地区第1回「労働条件明示のルール~改正の意義と留意点、関連判例~」、
第2回「労働事件の重要・最新判例」の講義動画を配信、資料を公開中。また、各地の開催案内も掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/index.html
▽講義動画「労働条件明示のルール」
https://www.youtube.com/watch?v=XGfTMfNGagk
▽講義動画「労働事件の重要・最新判例」
https://www.youtube.com/watch?v=wP1jabgndo4&t=19s
●トイレ使用制限撤廃 トランスジェンダー職員に―経産省
経済産業省は12日、出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーの職員に対し職場の女性用トイレの使用
を制限していた問題で、省内にあるすべての女性用トイレの使用を認めたと明らかにした。最高裁が2023年7月、
制限を認めた人事院の対応は違法とする判決を出していた。
この問題で、経産省はこの職員に対し勤務フロアから2階以上離れた女性用トイレしか使用を認めていなかった。
人事院が24年10月、省内の女性用トイレを自由に使えるべきだとする再判定を出したことを考慮し、同省は今月、
職員に使用制限の撤廃を伝えた。(時事通信)2024年11月12日 ※リンク先なし
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【統計】
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●2040年に半数以上の都道府県で平均世帯人員、2人を割り込む/社人研
国立社会保障・人口問題研究所は12日、「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)2024年推計」を
公表した。世帯総数が減少する都道府県が増え、2045~50年にはすべての都道府県で減少となる。
50年までの都道府県別世帯数の推計では、40年には半数以上の都道府県で世帯人員が2人を下回る。
単独世帯の割合は全ての都道府県で上昇し、50年には、大都市地域を中心に27都道府県で40%を超え、
世帯主が65歳以上の世帯が21県で50%超となり、65歳以上の単独世帯は32道府県で20%超となる。
推計は5年ごとに実施しており、今回は2020年の国勢調査を基に、2020~50年の30年間について都道府県別に将来推計したもの。
https://www.ipss.go.jp/pp-pjsetai/j/hpjp2024/yoshi/yoshi.pdf
▽資料
https://www.ipss.go.jp/pp-pjsetai/j/hpjp2024/t-page.asp
●10月の企業物価指数、前年比3.4%上昇/日銀
日本銀行は13日、企業物価指数(2024年10月速報)を公表した。国内企業物価指数は123.7で、
前月比0.2%、前年比3.4%上昇した。製品別にみると、前年比で上昇したのは「農林水産物」(26.0%)、
「非鉄金属」(14.6%)、「鉱産物」(5.9%)、低下したのは「スクラップ類」(9.7%)など。
輸入物価指数(ドルなどの契約通貨ベース)は前年比2.2%、前月比0.2%のいずれも低下。
円ベースでは順に同2.2%の低下、同3.0%の上昇だった。
https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2410.pdf
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【労使】
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●相談受付件数、「パワハラ・嫌がらせ」が最多/連合「労働相談ダイヤル」(9月)
連合は10月18日、「なんでも労働相談ダイヤル」2024年9月分集計結果を発表した。
受付件数は1,414件(前年同月比2件増)。相談の内容は、「パワハラ・嫌がらせ」(18.7%)が最多、次いで
「雇用契約・就業規則」(10.6%)、「解雇・退職強要・契約打切」(8.6%)、「退職手続」(8.2%)など。
業種別では「医療・福祉」(22.8%)が最多、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」(19.3%)、
「製造業」(12.4%)など。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/soudan/soudan_report/data/202409.pdf
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【動向】
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●「103万円の壁」に関する企業調査、見直しを求める回答が9割以上/民間調査
帝国デーバンクは14日、「103万円の壁」引き上げに対する企業アンケートの結果を公表した。「103万円の壁」
引き上げをどう考えるか尋ねたところ、引き上げに「賛成」が67.8%。他方、103万円の壁自体を「撤廃すべき」
は21.9%で、壁の引き上げ「賛成」と「撤廃すべき」を合わせると9割の企業が103万円の壁について見直しを
求めている。「103万円の壁を意識するパートの方が多く、引き上げれば働き控えが解消される」(飲食店)
などの他、「社会保険料の106万円・130万円の壁もあるので、所得税のみの見直しでは働き控えはそれほど
変わらない」(情報サービス)と社会保険料も含めた制度見直しについての声も聞かれたとしいてる。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20241114-1-03mwall/
●23年度の名目労働生産性(時間当たり付加価値)5,396円/生産性本部
日本生産性本部が13日発表した「日本の労働生産性の動向2024」によると、2023年度の「時間当たり」名目労働
生産性(1時間当たり付加価値額)は5,396円で1994年度以降最高水準となった。実質ベースの生産性上昇率
(前年度比+0.6%)は3年連続でプラス。「一人当たり」名目労働生産性(就業者一人当たり付加価値額)は
883万円で3年連続の上昇。実質ベースの上昇率(同+0.5%)は3年連続でプラス。
2023年度の労働生産性は、就業1時間当たり(+0.6%)と就業者一人当たり(+0.5%)で上昇率にほとんど
差がないが、これは労働時間がほとんど変化していないためと指摘。一般労働者で労働時間が増加しているが、
パートタイム労働者の比率が上昇し、労働時間増を相殺しているとしている。
https://www.jpc-net.jp/research/detail/007107.html
▽サマリー
https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/trend_summary_2024.pdf
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【企業】
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●カムバック採用・リファラル採用の制度を導入/日本郵便グループ
日本郵便グループは5日、「カムバック採用制度」および「リファラル採用制度」を導入したと発表した。
「カムバック採用」の登録条件は、過去に同グループの正社員として勤務した経験がある者で、満65歳に
なる月まで登録可能。社外で新しい経験・知見を培った人を即戦力として活躍してもらうことが狙い。
社員ネットワークを活用した「リファラル採用」では、紹介を経由して採用となった社員が良好に勤務して
いるなど、一定の要件を満たした場合、紹介を行った社員に対して社員紹介手当が支給される。
同グループは、人的資本経営の推進による社員の誇りとやりがいの向上を目指すとしている。
https://www.japanpost.jp/pressrelease/jpn/2024/11/20241105_01.pdf
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【海外】
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●国別トピック
<アメリカ>
▽16年ぶりのストライキが終結―ボーイング社、4年間に38%の賃上げで労使合意
米航空機大手のボーイング社の労働組合(国際機械工・航空宇宙労働組合(IAM)が組織)は11月4日、
組合員投票を行い、4年間で賃金を38%引き上げることなどを内容とする会社側提案の受け入れについて
賛成多数で了承した。これにより9月13日から続いていたストライキが終結することになった。同社での
ストライキは16年ぶりのことで、約3万3,000人の機械工が参加した。ストライキ突入後、会社側は
妥結案を組合側に示したが、組合員投票で否決されるなどして、ストライキが長期化していた。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/usa_02.html
<イギリス>
▽最低賃金、2025年4月より時給12.21ポンドに引き上げ
政府は10月、2025年4月から適用する来年度の最低賃金額を前年より6.7%増の時給12.21ポンドとする方針を
公表した。若年層向けの額についても、18-20歳が16.3%増の10.00ポンド、16-17歳及びアプレンティス
(見習い訓練参加者)向けが18.0%増の7.55ポンドと前年度に次いで大幅な引き上げとなる。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/uk_03.html
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【イベント】
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●労働セミナー「今日から実践!中小企業のための健康経営入門」/東京都など
東京都労働相談情報センターは12月6日(金)、労働セミナー「今日から実践!中小企業のための
健康経営入門」を中央区で開催する(同区と共催)。中小企業向けに、健康経営に取り組みながら
企業が継続的な発展をする方法について解説する。受講無料、要事前申込(先着順、定員100名)。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001538
●「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局
東京労働局は11月26日(火)、「派遣先事業主・責任者研修会」をオンライン(Zoom)で開催する。
男女雇用機会均等法等の派遣労働者への適用、派遣労働者と労働基準法等の適用、外国人在留支援センター
の紹介など、労働者派遣に関わる様々なルールを説明する。対象は派遣労働者を受け入れている
(または受入予定の)事業所の担当者。参加無料、要事前申込。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_20241126_hasaki_.html