メールマガジン労働情報 No.2013

■□――【メールマガジン労働情報/No.2013】

被用者保険の適用拡大、「年収の壁」対応など議論/厚労省年金部会 ほか

―2024年11月20日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】被用者保険の適用拡大、「年収の壁」対応など議論/厚労省年金部会 ほか
【統計】24年7~9月期のGDP実質成長率、年率0.9%/1次速報値 ほか
【動向】24年の上場企業「早期・希望退職」募集に関する分析レポート公表/民間調査
【企業】「セカンドキャリア特別支援制度」の実施、希望退職1000人を募集/第一生命HD ほか
【海外】法定最低賃金、11月から2%上昇―首相は「産業別協約最賃」引き上げの団交促進を求める/フランス ほか
【イベント】セミナー「必聴!!ハラスメントから身を守るために」/東京都

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働政策フォーラム「シニア層の労働移動─就労・活躍機会の拡大に向けて」申込受付開始!

第1部(研究報告・報告) 1月8日(水曜)~15日(水曜) ※オンデマンド配信
第2部(パネル討論)1月15日(水曜)14時00分~16時50分 ※ライブ配信
<登壇者>
藤井 薫 (株)リクルート HR統括編集長
小松正幸 泰榮エンジニアリング(株) 取締役
下谷智則 (株)すかいらーくホールディングス 人財本部人財企画グループディレクター
樋口幸雄 京都ライフサポート協会 理事長
丸川智生 (株)リクルート HRエージェントDivision ハイキャリアカスタマーサービス2部 部長
岡崎淳一 産業雇用安定センター 理事長
藤本 真 労働政策研究・研修機構 副統括研究員

本フォーラムでは、外部労働市場における高齢者の労働移動に注目し、両者のマッチング機能を果たす
公的機関および民間企業の取組み、そして高齢の労働者を積極的に採用し受け入れている企業担当者を交えて、
シニアを取り巻く環境変化や課題、今後の展望を議論します。
<申込はコチラ>
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250115/index.html

★労働政策フォーラム 申込受付中(まだ間に合います!)
『新版OHBYカード』とキャリアコンサルティング─現代社会における自己理解・職業理解とキャリア支援

開催日時 11月28日(木曜)13時30分~15時40分 ※ オンライン配信
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20241128/index.html

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【行政】
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●被用者保険の適用拡大、「年収の壁」対応など議論/厚労省年金部会

厚生労働省は15日、社保審会年金部会を開催し、被用者保険の拡大と「年金の壁」への対応などを議論した。
短時間労働者の被用者保険の適用範囲の見直しについては、企業規模要件(従業員50人超)を「撤廃すべき」
とし、労働時間要件(週所定労働時間20時間以上)は「将来的に撤廃を目指すことも必要」として留保、
学生除外の要件は「現状維持」とした。常時5人以上の従業員を使用する個人事業所の非適用業種については
「解消」とし、5人未満の事業所は「今回は適用しない」との方向性を示した。(資料1・22頁)

いわゆる「年収の壁」への対応では、「106万円の壁」について、「保険料負担による手取り収入の減少を
どうするか」を基本とし(42頁)、手取り収入の減少を回避するため就業調整を行う従業員に対し、労使の
合意に基づき、事業主が被保険者の保険料負担を軽減し、事業主負担の割合を増加させることを認める特例を
提示。ただし「保険料は労使折半が原則」として、恒久的でない特例であるとしている。(49頁)
第3号被保険者制度については、「縮小の方向に向かっていくこととなるが、それでもなお残る同制度の
在り方や今後のステップをどう考えるか」などと課題を示した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241115.html
▽資料1
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001332348.pdf

●大学生の就職内定率72.9%、前年同期比1.9ポイント低下/厚労省・文科省調査

厚生労働省と文部科学省は15日、2025年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)を公表した。
大学(学部)の就職内定率は72.9%(前年同期比1.9ポイント低下)、短期大学は42.3%(同2.4ポイント上昇)。
文系・理系別(大学)では、文系は72.8%(同2.2ポイント低下)、理系は73.1%(同0.6ポイント低下)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00051.html

●「職業能力開発関係厚生労働大臣表彰」の受賞者を発表/厚労省

厚生労働省は13日、2024年度「職業能力開発関係厚生労働大臣表彰」の受賞者を発表した。同表彰は、
認定職業訓練や技能検定の実施、技能振興の推進に関して、長年にわたって多大な貢献があり、他の
模範になる事業所・団体や、顕著な功績があった功労者を表彰するもの。今年度の受賞者は23事業所、
14団体、116人。同時に「職業訓練教材コンクール」(15作品)の入賞者も発表された。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45334.html

●札幌明啓院不当労働行為再審査事件で初審命令主文を変更/中労委

中央労働委員会は11月11日、社会福祉法人札幌明啓院が組合の執行委員長を主任生活相談員から生活支援員に
配置転換したことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件の再審査事件において、配置転換は、
実質的に降格し、事業運営上の基幹的業務とはいえない業務を担当させるもので、職務上の不利益とこれに伴う
精神上の不利益を与える取扱いであるなどとし、法人の対応は労組法上の不当労働行為に当たるとした初審命令
を維持した上で、初審命令主文を変更し、組合への文書交付を命じた
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r061112-1.pdf

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【統計】
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●24年7~9月期のGDP実質成長率、年率0.9%/1次速報値

内閣府は15日、2024年7~9月期の四半期別GDP(国内総生産)1次速報値を公表した。
GDP成長率(季節調整済前期比)は、実質が0.2%で2期連続のプラス、年率換算で0.9%。
需要項目別では、民間最終消費支出が実質0.9%(前期は0.7%)、うち家計最終消費支出
(除く持ち家の帰属家賃)は実質1.1%(同0.8%)で、どちらも2期連続のプラス。
雇用者報酬の伸び率は実質0.0%、名目0.4%。
2023年度のGDPも公表され、実質成長率は0.8%だった。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe243/pdf/gaiyou2431.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/files/2024/qe243/gdemenuja.html

●9月の生産指数、前月比1.6%上昇/鉱工業指数確報

経済産業省は15日、9月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。
生産指数(季節調整済)は前月比1.6%上昇の101.3で2カ月ぶりの上昇。業種別で上昇したのは、自動車工業、
無機・有機化学工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)等。低下は、生産用機械工業、
輸送機械工業(自動車工業を除く)、パルプ・紙・紙加工品工業等。出荷は前月比2.4%、在庫は同0.1%の
いずれも上昇。在庫率は同3.8%低下。速報に比べ、生産、出荷は上方修正、在庫、在庫率は変わらず。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202409kj.pdf

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【動向】
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●24年の上場企業「早期・希望退職」募集に関する分析レポート公表/民間調査

東京商工リサーチは19日、上場企業の「早期・希望退職募集」状況に関するレポートを発表した。
2024年1月から11月15日までに「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は53社で前年同期(36社)と比べ約1.5倍。
集計の対象人員は9,219人(同2,915人)と3倍に増加、すでに2023年の年間社数・人数を上回っている。
上場区分は東証プライムが37社(構成比69.8%)と多く、黒字企業が32社(同60.3%)と6割を占めた。
レポートは、新たな特徴として「募集人数を公表しない募集や、グローバル企業の国内外での大規模募集の実施」
を挙げ、「変化する世界経済への対応や新規分野への進出で既存分野の縮小、撤退による人員削減など、改革を
急ぐ企業の動きを反映しており、今後も大型募集が続く可能性が高まっている」と分析している。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1199062_1527.html

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【企業】
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●「セカンドキャリア特別支援制度」の実施、希望退職1000人を募集/第一生命HD

第一生命ホールディングスは14日、「セカンドキャリア特別支援制度」の実施について発表した。
対象は、第一生命保険株式会社と雇用契約のある50歳以上かつ勤続15年以上の社員で、グループ内外に出向中の
社員を含む(一部を除く)。募集人数は約1千名で、退職日は2025年3月31日。通常の退職金に特別支援金
(月例基本給の最大48カ月分)を加算し、再就職支援を行う。一定のキャリアを積んだ社員に、知識やスキルを
社外で活かすセカンドキャリアを選択しやすくなるサポートを提供するため、としている。
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2024_039.pdf

●ワタミ、5%賃上げ方針 25年春闘

ワタミの渡辺美樹会長兼社長は14日の決算記者会見で、2025年春闘で、全社員の基本給を底上げするベースアップ
(ベア)を含め5%の賃上げを目指す方針を明らかにした。渡辺氏は「将来的に業界最高水準を目指す」と話した。
アルバイトについては未定としている。 (時事通信)2024年11月14日 ※リンク先なし

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<フランス>
▽法定最低賃金、11月から2%上昇―首相は「産業別協約最賃」引き上げの団交促進を求める

法定最低賃金(SMIC)が2024年11月1日に時給11.65ユーロから11.88ユーロに引き上げられた。前回2024年
1月1日の引き上げの際に基準となった2023年11月時点から、物価上昇が2%以上となったための引き上げ
である。この引き上げに際して、SMICよりも低い水準に設定されている産業別労働協約の最低賃金を政府は
問題視しており、首相から政府が労使に対して早急に団体交渉をするよう促す発言があった。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/france_01.html

<ILO>
▽「ケア責任」のため、世界で7億人の女性が労働市場に参入できず―ILO報告

ILO(国際労働機関)が10月29日に発表した報告書によると、世界で約7億800万人の女性が「ケア責任」
のため労働市場に参入できていない。同報告書は「子育てや障害者、長期に介護を必要とする人のケア
などの責任を、いかに女性が不均衡に負わされているかを表している」と指摘。各国がケア政策に
適切な投資を行い、拡大する不平等の解消に取り組まなければならないとしている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/11/ilo_01.html

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【イベント】
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●セミナー「必聴!!ハラスメントから身を守るために」/東京都

東京都労働相談情報センター亀戸事務所はセミナー「必聴!!ハラスメントから身を守るために」を
下記日程で開催する(会場:江東区)。労働関連のハラスメントについて紹介し、ハラスメントを
防止するための知識や受けた場合の対応方法を解説する。対象は、労働者、テーマに関心のある方。
 12月11日(水)「ハラスメントとは」
 12月12日(木)「ハラスメントへの対策と対応」
受講無料、要事前申込。各日ごとの申込可で、定員は各日50名。両日とも、セミナー終了後、相談会を実施する。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-kame-000237
▽チラシ
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/pdf/seminar-kame-000237.pdf