■□――【メールマガジン労働情報/No.2001】
8月の実質賃金、前年同月比0.6%減で3カ月ぶりのマイナス/毎勤統計速報 ほか
―2024年10月9日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】11月「過労死等防止啓発月間」にシンポジウム、キャンペーンを実施/厚労省 ほか
【統計】8月の実質賃金、前年同月比0.6%減で3カ月ぶりのマイナス/毎勤統計速報 ほか
【労使】25春闘では「(経済社会の)ステージ転換が確実となるよう取り組む」/連合中央委員会
【動向】退職代行の利用は16.6%、理由は「引き留められた(引き留められそう)」が約4割/民間調査 ほか
【企業】配偶者海外転勤同行休業、不妊治療の休業制度を新設/味の素AGF ほか
【海外】高年齢者の労働力率が50年ぶりの高水準に/フランス ほか
【イベント】介護労働シンポジウム/介護労働安定センター ほか
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おかげさまで通巻2000号!今後もご愛読ください
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平成15年に配信を開始した「メールマガジン労働情報」は、おかげさまで2000号に到達しました。
記念企画として、JILPTの現職および歴代理事長5名の学識者によるコラムをリレー形式でお届けします。
在任中の出来事や労働問題・労働政策研究を巡る課題、研究機関としてのJILPTの役割などについて論じています。
引き続きのご愛読・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
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第2回 業務災害・通勤災害と労災保険
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山口 浩一郎 上智大学名誉教授
労災保険は、業務災害と通勤災害を主たる補償の対象としている(労災保険法7条参照)。そして、この支給要件と
なっているのが、業務起因性とか通勤起因性といわれるものである。つまり、補償は、業務とか通勤が原因となって
生じた災害(負傷、疾病、障害、死亡)にかぎられるということである。
しかし、世の中の活動は複雑で、業務や通勤に「起因」していなくとも、これに「関連」して起こる事故は山ほどある。
このような場合、労災保険はどう対応すべきなのだろうか。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/memorable/2000th/02.html
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【JILPTからのお知らせ】
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◇「最近の統計調査結果から」(2024年9月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202409.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202409.pdf
★新版「OHBYカード」 発売を開始しました!
「OHBYカード」は、カード式の職業情報ツールです。キャリアガイダンスや自己理解ツールとして
是非ご活用ください。
https://www.jil.go.jp/institute/seika/ohby/index.html
【カード:定価440円(本体400円)/手引き:定価330円(本体300円)】
※20個以上ご購入の場合、本体価格の2割引(本体価格320円)で販売します。
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【行政】
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●11月「過労死等防止啓発月間」にシンポジウム、キャンペーンを実施/厚労省
厚生労働省は「過労死等防止啓発月間」である11月に、過労死等をなくすためのシンポジウムやキャンペーン
などを行う。47都道府県での「過労死等防止対策推進シンポジウム」のほか、「過重労働解消キャンペーン」
として、長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導や、一般からの相談を無料で
受け付ける「過重労働解消相談ダイヤル」などを行う。同月間は「過労死等防止対策推進法」に基づき、
過労死防止の重要性について関心と理解を深める等を目的に、毎年11月に実施している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43985.html
●高齢者雇用政策についてOECDと合同イベントを開催/厚労省
厚生労働省は10月30日(水)、高齢者雇用政策に関するOECDとの合同イベントを都内(東京都港区)で開催する。
OECD担当者および海外の学識経験者、日本の学識経験者を招き、日本の高齢者雇用政策の現状や課題、
今後の方向性等について、講演・ディスカッションを行う。モデレーターは樋口美雄・慶應義塾大学
名誉教授(JILPT顧問)。申込期限は10月23日。要事前登録。希望者多数の場合は先着順。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44067.html
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【統計】
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●8月の実質賃金、前年同月比0.6%減で3カ月ぶりのマイナス/毎勤統計速報
厚生労働省は8日、8月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比0.6%減(7月は同0.3%増)で、
3カ月ぶりのマイナスとなった。現金給与総額は、就業形態計で同3.0%増の29万6,588円、
うち一般労働者が同2.7%増の37万7,861円、パートタイム労働者が同3.9%増の11万33円
(時間当たり給与は4.8%増の1,363円)。きまって支給する給与は同3.0%増で32年4カ月ぶりの
高い伸び、特別に支払われた給与は同2.7%増(いずれも就業形態計)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2408p/dl/pdf2408p.pdf
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2408p/dl/houdou2408p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2408p/2408p.html
●8月の勤労者世帯の実収入、前年同月比2.0%増で4カ月連続の増加/家計調査報告
総務省は8日、8月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は
29万7,487円、実質で前年同月比1.9%減少。前月比(季調値)は2.0%の増加。
支出項目別でのマイナス寄与は、交通・通信(マイナス2.56%)、教養娯楽(同0.78%)、
住居(同0.49%)など。プラス寄与は、食料(0.81%)、家具・家事用品(0.30%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり57万4,334円(前年同月比で実質2.0%増)で4カ月連続の実質増加。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
●景気判断、全地域で「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」/日銀地域経済報告
日本銀行は7日、10月の「地域経済報告―さくらレポート―」を公表した。全9地域で、景気は、
一部に弱めの動きもみられるが、「緩やかに回復」「持ち直し」「緩やかに持ち直し」としている。
総括判断は前回(7月)と比較し、引き上げは北陸と東海、他の7地域は変化なし。
雇用・所得情勢は、北陸を除く8地域では「緩やかに改善している」「改善している」、
北陸は「雇用・所得環境は、一部に地震の影響がみられるものの、持ち直している」と判断。
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/rer241007.htm
▽全文
https://www.boj.or.jp/research/brp/rer/data/rer241007.pdf
●8月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数速報
内閣府は7日、8月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は113.5で、
前月と比較して3.7ポイント低下し、2カ月ぶりの低下。マイナスに寄与したのは「鉱工業用生産財出荷指数」
「商業販売額(卸売業)」「投資財出荷指数」など。プラス寄与は「 商業販売額(小売業)」など。
一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202408psummary.pdf
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【労使】
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●25春闘では「(経済社会の)ステージ転換が確実となるよう取り組む」/連合中央委員会
連合(芳野友子会長、692万9,000人)は3日、都内で中央委員会を開き、2025年度活動計画などを確認した。
芳野会長はあいさつで、33年ぶりの高い賃上げ率となった24春闘について、「『ステージ』転換に向けた
大きな一歩となった」と評価する一方、「大手組合と中小組合の賃上げ率の格差が拡大したことは率直に
受け止めなければならない」などと指摘。2025年の春季生活闘争に向け、「これまでの取り組みや課題を
しっかりと踏まえて、ステージ転換が確実となるよう取り組む」姿勢を強調した。(JILPT調査部)
▽連合ウェブサイト
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2160
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【動向】
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●退職代行の利用は16.6%、理由は「引き留められた(引き留められそう)」が約4割/民間調査
マイナビは3日、「退職代行サービスに関する調査レポート(2024年)」を公表した。直近1年間に転職した人で
退職代行を利用した人は16.6%、利用率が高い職種は「営業」(25.9%)、「クリエイター・エンジニア」(18.8%)、
「企画・経営・管理・事務」(17.0%)など。利用した理由は「退職を引き留められた(引き留められそうだ)」
(40.7%)が最多で、以下は、「退職を言い出せる環境でない」(32.4%)など。【個人調査】
2024年1月~6月に退職代行サービスを利用して退職した人がいた企業は23.2%で、2021年(16.3%)以降、
年々増加傾向にある。業種別では「金融・保険・コンサルティング」(31.4%)が最多で、「IT・通信・インター
ネット」(29.8%)、「メーカー」(25.4%)が続いた。【企業調査】
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20241003_86953/
●東証プライム企業、冬のボーナス83万円超で過去最高を更新/民間調査
労務行政研究所は3日、東証プライム上場企業の2024年「年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」
結果を発表した。24年年末一時金の支給水準は、全産業ベース(183社)で83万5,133円、前年同期比3.4%増で
1970年の調査開始以来、過去最高額を更新。新型コロナの影響で2021年に71万5,553 円まで減少したが、
2022年にはマイナスの影響が薄らぎ78万6,945円と大幅増加し、3年連続で対前年同期比プラスとなっている。
https://www.rosei.or.jp/attach/labo/research/pdf/000087898.pdf
●長距離輸送の課題検討報告、ホームページに掲載/全日本トラック協会
全日本トラック協会は9月30日、2024年問題を踏まえた長距離輸送の課題検討報告をホームページに掲載した。
同協会の物流ネットワーク委員会に属する事業者対象にヒアリング調査、アンケート調査を実施。幹線輸送
ドライバーの実態(平均的な1日の拘束時間、運転時間、積み込み時間など)や、休憩場所・中継場所の確保、
適正運賃の確実な収受、荷役作業の省人化といった課題について検討している。
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/kansen.pdf
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【企業】
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●配偶者海外転勤同行休業、不妊治療の休業制度を新設/味の素AGF
味の素AGFは1日、「配偶者海外転勤同行休業制度」および「不妊治療休業制度」を新設すると発表した。
従業員の多様化するニーズを捉え、長期的なキャリア形成を支援するのが狙い。休業期間は、配偶者の海外
転勤同行は1年以上3年未満で、1人1回限りの利用。不妊治療休業は、1人の子どもにつき原則1回で
1年間。同社は、制度の導入により、キャリアやライフステージに応じた働き方の選択肢を拡充し、
多様な人財が活躍できる職場環境を推進するとしている。
https://agf.ajinomoto.co.jp/company/news/2024-10-01-1157.html
●運転士の「髪色自由化」を実施/伊予鉄グループ
伊予鉄グループは9月30日、バス・タクシー運転士の「髪色自由化」を実施すると発表した。
同社では、運転士の働き方改革として、一人ひとりの個性を尊重し、多様な働き方を推進しており、最近では、
視認性向上のため運転士のサングラス着用も認めた。清潔感のある身だしなみは維持し、交通事業者として
適切な接客を心掛けるとしている。
https://www.iyotetsu.co.jp/topics/press/2024/0930_gdch.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<フランス>
▽高年齢者の労働力率が50年ぶりの高水準に
INSEE(国立統計経済研究所)はこのほど、2023年の高年齢者就労状況等に関する統計調査の結果を発表した。
それによると、60~64歳の労働力率が2023年に41.6%に達した。60~64歳の高年齢者の労働力率は
1970年代から2000年にかけて、早期退職策の推進と年金支給開始年齢の引き下げ等によって大幅に下落した。
だが、2000年代以降に推進された年金改革などの影響もあり、2023年までに1970年代の高い水準に戻った。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/10/france_01.html
●米港湾スト、3日間で終結 労使が賃上げ暫定合意
ワシントン時事によると、米港湾労働者の労働組合と雇用者団体の米海運連合(USMX)は3日、
東海岸とメキシコ湾岸での一斉ストライキを終結させるとの声明を発表した。賃上げ交渉が暫定合意に達した。
約半世紀ぶりの大規模ストライキは3日間で終了し、大きな混乱は避けられた。【2024年10月4日】
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20241009.html
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【イベント】
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●介護労働シンポジウム/介護労働安定センター
(公財)介護労働安定センターは11月14日(木)、第28回「介護労働シンポジウム」を東京都港区で開催する。
2023年度介護労働実態調査結果をもとに、働きやすく、働きがいのある職場づくりについての基調講演と、
介護関係団体や事業所の代表者による離職防止・採用の決め手についてのパネルディスカッションを行う。
参加無料、要事前申込。
https://www.kaigo-center.or.jp/honbu/15.html
●カスタマーハラスメント対策講座/神奈川県労働福祉協会
神奈川県労働福祉協会は11月12日(火)、「カスタマーハラスメント対策講座」をライブ配信(Zoom)で開催する。
カスタマーハラスメントの基礎知識から、企業のとるべき対応や社内体制の構築といった実務的なポイント
まで、実際の判例などの具体例も挙げながら、解説する。講義翌々日から、オンデマンド配信も行う。受講料8,250円。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/customer-harassment.html
●「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局
東京労働局は10月24日(木)、「派遣先事業主・責任者研修会」をオンライン(Zoom)で開催する。
派遣労働者を受け入れている(または受入予定の)事業所の担当者向けの内容で、男女雇用機会均等法等の
派遣労働者への適用、派遣労働者と労働基準法等の適用、外国人在留支援センターの紹介など、
労働者派遣に関わる様々なルールを説明する。参加無料、要事前申込。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_20240920_hasaki_00001.html