■□――【メールマガジン労働情報/No.2000】
労働者協同組合の設立、施行後2年で110法人/厚労省 ほか
―2024年10月4日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】労働者協同組合の設立、施行後2年で110法人/厚労省 ほか
【統計】23年の民間平均給与460万円、3年連続で増加/国税庁調査 ほか
【労使】企業・経営者によるカスハラ対応強化に向けて提言/経済同友会
【動向】デジタル給与、初の支給=ソフトバンク系10社
【企業】65歳まで定年を延長、業績と報酬の連動性を高める人事制度へ/大阪ガス ほか
【海外】子育て支援3法が国会で可決 ―育児休業及び配偶者出産休暇の期間を延長/韓国
【イベント】「介護と仕事の両立推進シンポジウム」/東京都
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おかげさまで通巻2000号!今後もご愛読ください
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「メールマガジン労働情報」は平成15年の配信開始から、今回で2000号に到達しました。
これを記念した特別企画として、JILPTの現職および歴代理事長5名の学識者によるコラムをリレー形式で
お届けします。在任中の出来事や労働問題・労働政策研究を巡る課題、研究機関としてのJILPTの役割
などについて論じています。引き続きのご愛読・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
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第1回 深刻な懸念──長期経済停滞とAI化
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稲上 毅 東京大学名誉教授
私が理事長を務めた2007年10月から2010年12月は、鳩山由紀夫内閣から第1次菅直人内閣へと続く
民主党政権の時代だった。いまでも、すぐ脳裏に浮かぶのは事業仕分けのこと。民営化の嵐が吹き荒れていた。
労働政策研究・研修機構の幹部採用人事をめぐって民間人の登用が問われた。また、なぜ国家公務員の
研修部門を独立行政法人がもっているのかについても質された。もどかしいやりとりだった。しかし、
すべて15年ほど前のことである。さて、本題に進もう。私の理事長時代、非正規雇用の抑制と無期雇用への
転換、同一労働同一賃金の実現、男女雇用機会均等の促進、高齢者雇用機会の確保、ハラスメント禁止
などの政策課題はすでに大いに人口に膾炙していた。
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/memorable/2000th/01.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★新版「OHBYカード」 発売を開始しました!
「OHBYカード」は、カード式の職業情報ツールです。キャリアガイダンスや自己理解ツールとして
是非ご活用ください。
https://www.jil.go.jp/institute/seika/ohby/index.html
【カード:定価440円(本体400円)/手引き:定価330円(本体300円)】
※20個以上ご購入の場合、本体価格の2割引(本体価格320円)で販売します。
★研究員の募集について(2025年度採用)
労働政策研究・研修機構では、【労働法】【労使関係・人事労務管理】【労働経済】の3分野で
研究員を募集します。応募書類の提出期限は2024年10月10日(木)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/index.html
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【行政】
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●労働者協同組合の設立、施行後2年で110法人/厚労省
厚生労働省は2日、労働者協同組合法の施行から2年を経過した2024年10月1日時点での労働者協同組合の
設立状況を公表した。設立数は、計110法人。高齢者や障害者の支援、荒廃山林を整備したキャンプ場経営、
葬祭業、成年後見支援、家事代行、給食づくりなど様々な事業を行っていることを紹介。同省では、2025年
2月にかけて「ろうきょうオンラインセミナー」を開催するとともに、2024年8月から、国がモデル地域
として選定した都道府県設置の協議会における労協の活用を通じ、多様な働き方が可能となる環境の整備や、
多様な雇用機会の創出を行う地域の取組みを支援し、全国展開のモデル事業を実施している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43961.html
▽参考:JILPT労働政策フォーラム開催報告
「シニアとフリーランスの新たな働き方の選択肢─労働者協同組合で事業を興す!」(2024年6月19日開催)
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240619/houkoku/index.html
●特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)の支給要件緩和/厚労省
厚生労働省は、特定求職者雇用開発助成金(成長分野等人材確保・育成コース)の支給要件の見直しについて
公表している。同助成金の「成長分野メニュー」と「人材育成メニュー」は、所定の取り組みを行うことで
通常の1.5倍の助成を受けることができるが、両メニューとも就労経験の要件を緩和し、過去5年間に
通算1年以上の就労経験がない場合は経験なし、パート・アルバイトは就労経験なしとする。
また、「人材育成メニュー」では、訓練期間が50時間未満でも、公的職業資格の取得を目的とした教育訓練
(教育訓練給付の指定講座に限る)であれば対象とする。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_seichou_00008.html
●石綿対策に係る全国一斉パトロールを実施/厚労省ほか
厚生労働省は9月30日、国土交通省、環境省と合同で、石綿対策に係る全国一斉パトロールを2024年10月頃~
11月頃まで実施すると発表した。石綿含有建材を使用する建築物等の解体工事等の増加が想定される中、
23年10月1日から、建築物および船舶(鋼製の船舶に限る)の石綿含有の事前調査は、厚労大臣が定める
資格者が行うことが義務付けられた。また、工作物の解体等の事前調査についても、26年1月1日以降着工の
工事から有資格者による実施が義務付けられ、これまで以上に現場における法令の遵守徹底が重要となる。
このため同省では、国交省、環境省と連携し、現場指導や監視の徹底を図る。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43823.html
●「働き方・休み方改革シンポジウム(オンライン)」を開催/厚労省
厚生労働省は10月29日(火)、「働き方・休み方改革シンポジウム」をオンラインで開催する。
改正労働基準法の施行から5年半が経過し、働き方・休み方改革に取り組む企業も増えている中、管理職の
働き方改革や、柔軟な働き方とその効果について、学識経験者による基調講演や企業の取組事例の紹介、
パネルディスカッションを通じて考える。対象は事業主・人事労務担当者・社会保険労務士等。参加無料。
事前申込制(締切:10月28日(月)12時)。
https://work-holiday.mhlw.go.jp/seminar/#hatarakikataYasumikata
▽申込ページ(事業委託先HP)
https://murc-jimukyoku.smartcore.jp/work-holiday_seminar2024
●シンポジウム「中小企業におけるメンタルヘルス対策」/厚労省
厚生労働省は11月29日(金)、職場のメンタルヘルスシンポジウム「中小企業におけるメンタルヘルス対策~
元気な会社がやっている取組に学ぶ~」をオンライン(Zoom及びYouTube)で開催する。中小企業が取り組む
効果的なメンタルヘルス対策について、基調講演、企業での取組事例紹介、パネルディスカッションを通じて
考える。参加無料。Zoom参加の場合は11月18日(月)までに要事前予約(先着500名)。
http://kokoro.mhlw.go.jp/mental_sympo/2024
●「就職氷河期世代支援特設サイト」をリニューアル/厚労省
厚生労働省は1日、「就職氷河期世代支援特設サイト」のリニューアルを発表した。特設サイトでは、
就労支援プログラムを提供する「サポステ」、ひきこもりなどの問題に関する各種支援機関などの専門窓口や
具体的な支援内容を紹介。支援について案内するプロモーションムービーも公開している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44012.html
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【統計】
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●23年の民間平均給与460万円、3年連続で増加/国税庁調査
国税庁は9月25日、2023年分「民間給与実態統計調査」結果を公表した。1年を通じて勤務した給与所得者の
平均給与は460万円(前年比0.4%増)で3年連続の増加。男女別では、男性569万円(同0.9%増)、女性316万円
(同0.7%増)。雇用形態別では、正社員(正職員)は530万円(同1.3%増)、非正規雇用労働者(正社員・正職員
以外)は202万円(同0.7%増)。一方、平均賞与は71万円で3年ぶりの減少となった。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/minkan_2024/pdf/01.pdf
●業況判断DI、大企業・製造業は同ポイント、非製造業は1ポイント上昇/日銀短観
日本銀行は1日、9月の「全国企業短期経済観測調査」(短観)結果を公表した。
業況判断DI(「良い」-「悪い」)は、大企業製造業でプラス13で、前回6月調査と同ポイント。
非製造業でプラス34(前回6月調査比1ポイント上昇)。全産業・規模計でプラス14(同2ポイント上昇)。
雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全産業・規模計でマイナス36(同1ポイント低下)。
不足超過は、大企業(マイナス28)より中堅(同37)や中小(同38)で、製造業(同22)より非製造業(同45)で大きい。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan09b.htm
▽要旨
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk2409.htm
▽概要
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2409.pdf
●9月の消費者マインドの基調判断、「改善に足踏みがみられる」で据え置き/消費動向調査
内閣府は2日、9月の「消費動向調査」結果を公表した。
「消費者態度指数(二人以上の世帯、季調値)」は36.9(前月比0.2ポイント上昇)。同指数を構成する意識指標
のうち、前月比で上昇したのは「雇用環境」42.2(0.8ポイント)、「収入の増え方」40.1(0.4ポイント)、
「耐久消費財の買い時判断」31.0(0.1ポイント)、低下は「暮らし向き」34.4(マイナス0.3ポイント)。
消費者マインドの基調判断は、「改善に足踏みがみられる」で前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
▽統計表等
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html
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【労使】
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●企業・経営者によるカスハラ対応強化に向けて提言/経済同友会
経済同友会は1日、「企業・経営者によるカスタマーハラスメント対応強化に向けて」と題する政策提言を
発表した。政府に求めることとして、法律や自治体の条例にて、カスハラ対応の取組みを事業者の雇用管理上
の措置義務とすることには同意するが、罰則は設けるべきでないとし、事業者と顧客等が共通認識を持てる
ように、具体的な事例やガイドラインを示すこと、また、消費者教育の強化として、消費に関する法規の
基本や正当な申出とカスハラとの違いを学ぶ機会をつくり、消費者の倫理観の醸成も必要だと提起している。
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/2024/241001.html
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【動向】
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●デジタル給与、初の支給=ソフトバンク系10社
ソフトバンクとグループ会社の計10社は25日、給与の一部をデジタルマネーで受け取れる「デジタル払い」で
従業員に賃金を支給した。国内初の取り組み。希望した従業員が、同社系のスマホ決済アプリ
「Pay Pay(ペイペイ)」で受け取った。今後、一般企業でもデジタル払いができる環境を整え、
「経済圏」拡大を加速する。(時事通信)2024年9月25日
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20241004.html
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【企業】
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●65歳まで定年を延長、業績と報酬の連動性を高める人事制度へ/大阪ガス
大阪ガスは9月25日、定年延長を含む人事制度の一部改定について発表した。主な内容は、定年年齢を
65歳まで段階的に引き上げ、業績と報酬の連動性を高めつつ、定年65歳制に応じた給与体系に移行する。
考課によって毎年の支給額が変動する給与項目を例月給与に導入し、育子世帯への手当を拡充。
また、高い業績貢献をタイムリーに評価し処遇に反映する仕組みの導入、早期抜擢を可能とする等級制度の
一部変更や、目標の「困難度」を評価軸に追加することなども盛り込んでいる。
https://www.osakagas.co.jp/topics/1780899_14522.html
●カスタマーハラスメントに対する方針を策定/ニトリグループ
ニトリグループホールディングスは9月30日、「カスタマーハラスメントに対する方針」の策定を発表した。
カスハラに該当する行為例として、「身体的な攻撃」「精神的な攻撃」「威圧的な言動」「土下座の要求」
「過剰なサービスの要求」「不当・悪質な商品交換、金銭、謝罪等の要求」などを挙げ、カスハラが
行われた場合は、関係各部署が連携し、警察・弁護士等へ対応を相談の上、厳正に対処するとしている。
https://www.nitorihd.co.jp/news/items/3eeda8fb19dd2a4b8ba5353aaab63b9c.pdf
●「同性パートナーシップ制度」を施行/ロッテHD、ロッテ
ロッテホールディングス、およびロッテは9月25日、「同性パートナーシップ制度」を同月1日に施行
したと発表した。会社に届出を提出することで、配偶者の定義に「同性パートナー」を含めることができ、
慶弔休暇、慶弔祝金、育児・介護休業、赴任手当などの制度が適用される。同社では、食品6社共同の
「LGBTQ+トークイベント」開催や「東京レインボープライド2024」参加などの活動を実施している。
https://lotte-hd.com/wp-content/uploads/2024/09/240925_同性パートナーシップ制度施行.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<韓国>
▽子育て支援3法が国会で可決 ―育児休業及び配偶者出産休暇の期間を延長
韓国の国会は2024年9月26日、子育て支援3法(男女雇用平等及び仕事・家庭両立支援に関する法律、
雇用保険法、勤労基準法の改正法案)を可決した。低出生傾向を反転させるため、育児休業期間の延長、
配偶者出産休暇の拡大など、仕事と家庭の両立支援策を推進するのための制度的基盤を整備することを
目的としている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/10/korea_01.html
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【イベント】
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●「介護と仕事の両立推進シンポジウム」/東京都
東京都は11月に「介護と仕事の両立推進シンポジウム」をオンラインで開催する。11月5日(火)は主に
企業の経営者、人事労務担当者向け、11月6日(水)は従業員向けに、それぞれ「介護と仕事の両立」を
テーマに、基調講演、企業による具体的な介護と仕事の両立支援策の紹介・従業員の体験談や
トークショー等を行う。参加無料。各回定員200名、申込フォームから事前に申し込む。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/ryoritsu/kaigo/symposium/
▽案内チラシ
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/kaizen/ryoritsu/kaigoshigoto2024_chirashi.pdf