■□――【メールマガジン労働情報/No.1991】
都道府県別の男女賃金格差など公表/政府・女性活躍推進PT ほか
―2024年9月4日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】都道府県別の男女賃金格差など公表/政府・女性活躍推進PT ほか
【統計】経常利益13.2%増、過去最高を更新/4~6月期法人企業統計 ほか
【労使】中小企業の賃上げ率4.0%、平均1万円超える/経団連調べ
【動向】「産業保健職の現場課題に応える」Q&Aを公表/日本産業保健法学会 ほか
【企業】配偶者転勤、不妊治療等による休職制度を新設/積水化学 ほか
【海外】雇用労働部が2024年下半期の若者就職支援強化策を発表/韓国 ほか
【イベント】9月は「障害者雇用支援月間」/JEED ほか
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【JILPT研究成果情報】
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◇記者発表
「人手不足とその対応に係る調査―小売・サービス事業所を対象として」(事業所調査)結果
JILPTは8月29日、標記調査結果を記者発表しました。企業・事業所の人手不足は全国的かつ構造的な
問題となっています。特に生活に欠かせない小売・サービス業の各事業所の人手不足の実態を把握し、
その解消に向けた雇用管理改善等の取組を明らかにするため、本調査を実施しました。
6割弱の事業所が正社員、パート・アルバイトいずれも「不足」と回答し、人手不足への対応として、
ICT設備投資があった事業所の7割弱が、「業務効率の向上」で「効果あり」と回答。人材確保・採用の
取組みでは、正社員、パート・アルバイトともに「求人募集時の賃金の引上げ」がトップ、等がわかりました。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240829.pdf
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【JILPTからのお知らせ】
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★研究員の募集について(2025年度採用)
労働政策研究・研修機構では、【労働法】【労使関係・人事労務管理】【労働経済】の3分野で
研究員を募集します。応募書類の提出期限は2024年10月10日(木)必着です。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/index.html
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【行政】
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●都道府県別の男女賃金格差など公表/政府・女性活躍推進PT
政府の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」は2日、第6回会議を開催し、有識者からの
ヒアリング、関係省庁による説明等が行われた。厚生労働省の資料「都道府県別の女性の就業状況等」によると、
都道府県別の男女間賃金格差が大きいのは栃木県(71.0)、茨城県(72.1)、長野県(72.8)、東京都(73.0)などの順。
格差が小さいのは高知県(80.4)、岩手県(80.3)、長崎県(80.2)、秋田県(79.9)などの順だった。格差の指数は、
一般労働者の男性の所定内給与額を100とした時の女性の所定内給与額の値。内閣府の資料では、男女間の賃金
格差が、若い女性の地方からの流出につながっている可能性を指摘している。
首相は会議での議論を踏まえ、「男女間の賃金格差の解消は、政権の最重要課題として位置付けてきた構造的
賃上げに向けた取組の重要な柱」とし、地方における男女間賃金格差の是正、金融・保険など5産業における
アクションプランの作成に取組むなどと述べた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43205.html
▽首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202409/02josei.html
●景気判断「緩やかに回復」に上方修正、海外景気の下振れがリスクに/月例経済報告
政府は8月29日、8月の「月例経済報告」を公表した。基調判断は「一部に足踏みが残るものの、緩やかに
回復している」と上方修正した。先行きについては、「雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続く
ことが期待されるが、欧米の高金利水準や中国の不動産市場停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが
我が国の景気を下押しするリスクとなっている」と指摘。「物価上昇、中東情勢、金融資本市場の変動等の
影響に十分注意する必要がある」とした。個別判断は、「個人消費」「住宅建設」の景気判断を引き上げた。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2024/0829getsurei/main.pdf
▽会議一覧
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/getsurei-index.html
●「地域雇用活性化推進事業」の採択地域、11地域を決定/厚労省
厚生労働省は8月30日、2024年度「地域雇用活性化推進事業」の採択地域として、北海道小樽市、広島県呉市、
鹿児島県霧島市、沖縄県宮古島市、等の11地域を決定した。同事業は、雇用機会の不足や過疎化の進む地域が、
それぞれの特性を生かして「魅力ある雇用」や「それを担う人材」の維持・確保を図るため、創意工夫する
取組を支援するもの。詳細資料には、各地域のプロジェクト概要や雇用創出の目標人数等が掲載されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42795.html
●公立学校の教師の処遇改善と働き方改革の加速を/文科省・中教審答申
文部科学省中央教育審議会は8月27日、公立学校において質の高い教師を確保するための環境整備に関する
総合的な方策を答申した。教師の処遇改善については、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して支給する
「教職調整額」の現行4%から「少なくとも10%以上とすることが必要」とした(報告書P54)。
学校の働き方改革については、11時間を目安とする「勤務間インターバル」の取組推進等を提起している(P32)。
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/099/mext_00003.html
●大学学部の女子学生、人数・割合ともに過去最高/文科省・学校基本調査
文部科学省は8月28日、2024年度「学校基本調査(速報値)」を公表した。2024年5月1日時点で、
大学全体の在学者数は295万人で過去最多。大学学部の女子学生は、人数(120万6千人)・割合(45.9%)ともに
過去最高を記録した。大学の教員についても女性の割合が27.8%を占め、過去最高となった。
https://www.mext.go.jp/content/20240821-mxt_chousa01-000037551_001.pdf
●ドイツ品質システム認証不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委
中央労働委員会は8月19日、会社と業務委託契約を締結している審査員が結成した組合支部の執行委員長に対し、
審査部長が支部の結成を容認しない趣旨の発言を行ったこと等が不当労働行為であるとして救済申立てが
あった事件の再審査事件において、審査員は、会社業務の遂行に不可欠な労働力として事業組織に組み入れられ
ており、顕著な事業者性は認められないことから労働組合法上の労働者に当たるとし、支部の結成を容認しない
との審査部長の発言は、組合の組織運営に対する支配介入に該当するとして、初審命令を維持した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r060820-1.pdf
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【統計】
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●経常利益13.2%増、過去最高を更新/4~6月期法人企業統計
財務省は2日、2024年4~6月期の「法人企業統計調査」結果を公表した。全産業(金融業、保険業を除く)の
売上高は、前年同期比3.5%増、経常利益は13.2%増、設備投資は7.4%増。経常利益(35兆7,680億円)は
四半期ベースの過去最高益を更新した。
同日公表の年次別結果では、2023年度の全産業売上高(1,633兆3,314億円)、経常利益(106兆円7,694億円)は
過去最高を記録。企業の長期的収益力の指標とされる「利益剰余金」は、8.3%増の600兆9,857億円となった。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/data.htm
▽2024年4~6月期
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r6.4-6.pdf
▽2023年度・結果概要
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/r5.pdf
●7月の鉱工業生産2.8%上昇、基調判断は「一進一退」に上方修正/鉱工業指数速報
経済産業省は8月30日、7月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は
前月比2.8%上昇の102.8で2カ月ぶりの上昇。業種別で上昇したのは、電気・情報通信機械工業、
生産用機械工業、電子部品・デバイス工業等、低下は石油・石炭製品工業。出荷は101.4で前月比2.4%、
在庫は同0.4%のいずれも上昇。在庫率は同2.3%低下。
基調判断は、「生産は一進一退で推移している」で、先月の「一進一退ながら弱含んでいる」から上方修正。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202407sj.pdf
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【労使】
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●中小企業の賃上げ率4.0%、平均1万円超える/経団連調べ
経団連は8月30日、2024年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)の最終集計を公表した。
従業員数500人未満の17業種754社を対象に実施。集計可能な17業種389社の総平均は1万712円(4.01%)。
前年の8,012円(3.00%)を額で2,700円、率で1.01ポイント上回り 2000年以降の最高値を更新した。
業種別では、製造業1万1,010円(4.09%)、非製造業1万278円(3.89%)。規模別では、100人未満
9,188円(3.59%)、100~300人未満9,778円(3.67%)、300~500人未満1万1,974円(4.43%)。
8月5日に公表の大手企業賃上げの最終集計は、1万9,210円・5.58%だった。
▽中小企業
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/058.pdf
▽大手企業
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/056.pdf
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【動向】
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●「産業保健職の現場課題に応える」Q&Aを公表/日本産業保健法学会
日本産業保健法学会は、産業保健職が企業の現場で直面する課題に関するQ&Aを公表している。
精神障害やがん等で療養した従業員の復職など、医療専門職の独立性・中立性と企業の指揮命令に
従うことをどう両立すればよいのかなど、法令、裁判例に基づいて紹介している。
産業保健師は、国家資格の保健師のうち、企業に所属して働く人の健康管理を担当する人。
ストレスチェックの実施やその診断結果の通知等の仕事も担っている。
https://jaohl.jp/qa2
●若年層ほど出張に否定的な意識が高い傾向に/民間調査
パーソル総合研究所は8月28日、「出張に関する定量調査」結果を発表した。出張への意識をみると、
出張前・後のいずれのタイミングでも、出張を肯定的にとらえる割合は若年層で低い傾向にある。
一方、出張の効用・メリットと「企業・チーム/個人にとっての出張メリット」の関係性を分析した
結果、双方のメリットに対する影響度が高いものは、共通して「新たな気づきを得る機能」「仕事への
態度を前向きに変容する機能」「偶発的にビジネスを拡大させる機能」などであることが分かった。
https://rc.persol-group.co.jp/news/202408281000.html
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【企業】
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●配偶者転勤、不妊治療等による休職制度を新設/積水化学
積水化学は8月26日、「配偶者転勤等休職」と「出生サポート休職」を新設したと発表した。前者は、
配偶者が転勤する場合等に最長3年間の休職を利用できる制度。配偶者に帯同して転居を認めることで、
同社におけるキャリアの継続を図る。「出生サポート休職」は、不妊治療等により一定期間業務から
離れる必要がある場合に最大1年の休職を利用できる。同社は「制度や運用の継続的改善と各職場での
浸透を推進し、従業員一人ひとりが安心して働き続けられる環境を実現していく」としている。
https://www.sekisui.co.jp/news/2024/1406437_41090.html
●社員の「奨学金返済補助制度」を導入、5年で最大120万円/正和工業
建築リノベーション事業などを手がける正和工業は8月26日、社員に対して「奨学金返済補助制度」を
8月から導入すると発表した。5年間で月最大2万円(合計最大120万円)の補助を行う。
同社の社内調査によると、就労直後の若年層では返済が負担になっているという声もあり、社員の経済的・
心理的負担軽減を図り、一人ひとりが成長をより目指せる環境づくりを図りたいとしている。
https://www.showa-kougyo.co.jp/news/2024/08/911/
●パートナーシップ制度における「LGBTQ支援制度」の運用開始/シード
コンタクトレンズの製造販売を行うシードは8月29日、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
基本理念」を策定し、パートナーシップ制度におけるLGBTQ支援制度の運用を9月から開始すると発表した。
各自治体のパートナーシップ宣誓制度証明書の付与を受け、会社に提出した場合、民法で定められる婚姻と
同様の支援(結婚休暇、結婚祝金等)を受けることができる。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7743/announcement/103230/00.pdf
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<韓国>
▽雇用労働部が2024年下半期の若者就職支援強化策を発表
雇用労働部は2024年8月14日、「2024年下半期地域若者就職支援強化案」を発表した。若者の卒業から
就職までの所要期間が長期化傾向にあることを背景に、2024年下半期に集中的な就職支援に関する
2つの重点政策を推進することにより、若者の労働市場への参入を促進することを目指している。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/korea_02.html
<ILO>
▽若年失業率は13%と15年ぶりの低水準も、5人に1人がNEET―ILO「世界の雇用情勢―若者編2024年版」
ILO(国際労働機関)は8月12日、『世界の雇用情勢――若者編2024年版』を発表した。
コロナ禍からの経済回復に伴い若者の雇用は改善し、若年失業率は13%と15年ぶりの低水準となった。
しかし、地域格差が依然として大きいこと、5人に1人がNEET(仕事に就かず、教育・職業訓練も受けていない)
であること、不安定で低賃金の仕事に就く者が多く、ディーセント・ワークの実現が課題となっていること
などを指摘した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/ilo_01.html
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【イベント】
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●9月は「障害者雇用支援月間」/JEED
高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)は、9月の「障害者雇用支援月間」において、事業主のみならず、
広く国民に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省、
都道府県と協力して、さまざまな啓発活動を展開している。同月間では、「障害者雇用優良事業所等全国
表彰式」、「絵画・写真コンテストの入賞作品の紹介」、「障害者雇用職場改善好事例の周知」などを行う。
https://www.jeed.go.jp/disability/activity/education/index.html
●組織・心理カウンセラーを迎え「職場における対応困難事例研究会」/日本生産性本部
日本生産性本部では、実際に起こった対応困難な事例を持ち寄り、組織・心理カウンセラーのもと、
議論・検討できる研究会を開催する。テーマは11月1日(金)「適応障害」、11月29日(金)「中年危機」、
「定年危機」、2025年1月22日(水)「メンタル関連の対応困難」など。議論を深めるために15社(定員15名)
限定で開催する。参加費66,000円(原則、全3回参加)。
https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/006960.html