メールマガジン労働情報 No.1952

■□――【メールマガジン労働情報/No.1952】

フリーランスの就業環境整備に関する報告書の骨子案等を提示/厚労省有識者会議 ほか

―2024年4月5日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】フリーランスの就業環境整備に関する報告書の骨子案等を提示/厚労省有識者会議 ほか
【統計】二人以上世帯の消費支出、前年同月比0.5%減/2月家計調査報告 ほか
【労使】賃上げ額の単純平均は9,593円で、高水準の回答引き出しが継続/金属労協(JCM)の3月末時点での回答状況 ほか
【動向】2024年に賃上げ予定の企業は73.9%、持続的な賃上げ実現の見込み/民間調査
【企業】8.2%の賃金改善と180万円の賞与支給/九電工
【海外】男女賃金格差が縮小、職場での差別は依然として存在/中国 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.242『新しいデジタル技術導入と労使コミュニケーションに関する研究(2)』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/242.html

◇労働政策研究報告書No.229『離職過程における労働者の心理―認知的タスク分析を応用したインタビュー調査―』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2024/0229.html

◇資料シリーズNo.280『タスクの日米比較からみた日本の労働市場の特徴と変化
 ―日本版O-NETと国勢調査(1980~2020年)を使用した分析から得られた示唆―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/280.html

◇資料シリーズNo.277『高年齢者の多様な就業と生活―中高年者縦断調査を用いた二次分析―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/277.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇「最近の統計調査結果から」(2024年3月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202403.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202403.pdf

☆2024年度労働関係図書優秀賞、公募受付中!

労働関係図書優秀賞は、労働問題に関する一般の関心を高めるとともに、労働に関する総合的な調査研究の
発展に資することを目的として、当機構が読売新聞社の後援のもと、実施しています。今年度の選考対象図書は
2023年4月から24年3月までに新たに刊行された、日本人の編著による労働に関する図書(雑誌、研究資料、
非売品を除く)です。選考への応募方法は、実施要綱をご覧ください。
https://www.jil.go.jp/award/index.html
▽労働関係図書優秀賞・実施要綱
https://www.jil.go.jp/award/koubo/index.html

★2025年度 職員(事務職員)募集について

労働政策研究・研修機構では、以下のとおり事務職員を募集します。
応募資格:1990年4月2日以降に生まれた方で、四年制大学以上卒業者(2025年3月卒業見込者を含む)。
労働問題に広い関心があり、円滑なコミュニケーションを築ける人材を求めています。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2024/index.html

★24年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)受講者募集中!

本講座は今回で73回目を数え、歴史と伝統を誇る講座です。
「人事管理・労働経済」「労働法」の2部門で、現代の労働問題を学習するのに最適なトピックス31課目を精選。
当該分野の第一人者の講師陣が、労働市場の現状や課題、労働問題などについて講義を行います。

<人事管理・労働経済>部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

☆『労働関係法規集2024年版』 好評発売中!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
2024年版では、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」を新たに収録するとともに、
「労働基準法施行規則」「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」「労働審判法」
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則」の改正法令を収録しています。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

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【行政】
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●フリーランスの就業環境整備に関する報告書の骨子案等を提示/厚労省有識者会議

厚生労働省の有識者会議(「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」)は3月28日、フリーランスの
就業環境の整備等に関する「報告書骨子(案)」、「指針(案)」を提示した。今年秋のフリーランス新法
(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の施行に合わせて政省令、告示で具体化する。妊娠、出産若しくは
育児又は介護に対する配慮(フリーランス法13条第1項)については、業務委託を6か月継続している場合を
対象とする。ハラスメント対策(同法第14条関係)では、指針(案)で、発注者側が講ずる措置として、方針等の
明確化とその周知・啓発、フリーランスからの相談(苦情を含む)に対応するために体制整備等をあげた。契約の
中途解約、不更新についての30日前の予告と理由開示(法16条関係)の方法は、書面、電子メール等によるとし、
災害その他やむを得ない事由がある、契約期間が短期間(30日間以下)である、フリーランス側の責めに帰すべき事由がある等の場合は、事前予告は不要としている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39188.html
(報告書骨子(案))
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001235758.pdf
(指針(案))
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/001235759.pdf

●2022年度の派遣労働者数、対前年度比2.6%増加/厚労省集計

厚生労働省は3月29日、2022年度「労働者派遣事業報告書」集計結果(速報)を公表した。
派遣労働者数は約215万人(対前年度比2.6%増)、無期雇用派遣労働者数は82万8,638人(同6.8%増)、
有期雇用派遣労働者数は131万7,815人(同0.1%増)。8時間換算・平均での派遣料金2万4,909円(同1.8%増)、
派遣労働者の賃金は1万5,968円(同1.7%増)だった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199493_00024.html

●「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」策定/厚労省

厚生労働省は3月29日、「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」策定を公表した。
各企業等が採用活動の参考にできるよう、現行の労働関係法令等で定められている開示項目等の整理及び
求職者等が求める情報を例示するほか、企業等が職場情報を提供する際の一般的な課題や対応策を提示。
転職経験者、求人企業及び民間人材サービス事業者にヒアリング等の調査研究を行い、労政審職業安定
分科会で議論し策定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000073981_00013.html

●人材育成に関する調査研究事業報告書を公開/厚労省

厚生労働省は「内部労働市場を活用した人材育成の変化と今後の在り方に関する調査研究」報告書
と事例集を公開している(2022年度委託事業、三菱総研)。内部労働市場における人材戦略に生じている
変化について、先進的取組みを行う企業にヒアリング調査を行い、内部労働市場を活用した人材育成の変化と
今後の在り方について、特にキャリア自律という観点から整理し、示唆を検討したもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089556_00015.html

●全国労働衛生週間のスローガンを募集/厚労省

厚生労働省は、毎年10月に行われている全国労働衛生週間のスローガンを募集している。スローガンは、
時間外・休日労働の削減、年次有給休暇の取得促進による仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の
推進、職場環境改善の取組等メンタルヘルス対策の推進などの自主的労働衛生活動の促進を図る内容のもの。
誰でも応募可能。募集期間は4月30日まで(当日消印有効、電子メールによる応募も可)。
全国労働衛生週間は、10月1日から7日までを本週間として毎年実施、今年で75回となる。
https://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p20240401-01.html

●中小企業1企業当たりの売上高は2億1,000万円/経産省調査

経済産業省は3月29日、2023年「中小企業実態基本調査」(2022年度決算実績)速報を公表した。同調査は、
中小企業の財務情報、経営情報等を把握するため、業種横断的な実態調査として毎年行っているもの。
1企業当たりの売上高は2億1,000万円(前年度比15.9%増)、経常利益は978万円(同12.4%増)。
1企業当たりの従業者数は10.0人(同8.3%増)、設備投資を行った法人企業の割合は21.9%(前年度差0.3ポイント減)。
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329008/20240329008.html
▽要旨
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240329008/20240329008-1r.pdf

●「DX支援ガイダンス」を策定/経産省

経済産業省は3月27日、「DX支援ガイダンス:デジタル化から始める中堅・中小企業等の伴走支援アプローチ」
と別冊事例集を公表した。「支援機関を通じた中堅・中小企業等のDX支援の在り方に関する検討会」の議論を
まとめたもの。DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる中小企業の労働生産性や売上高は
向上しており、DXの取組は必要不可欠とする一方、人材・資金不足等から中小企業が独力でDXを推進することは
難しく、地域の伴走役たる支援機関によるDX支援が有効として、支援機関が中堅・中小企業等へのDX支援の際に
考慮すべき事項について解説している。
https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240327005/20240327005.html

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【統計】
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●二人以上世帯の消費支出、前年同月比0.5%減/2月家計調査報告

総務省は5日、2月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は27万9,868円、
実質で前年同月比0.5%減と12カ月連続の減少。今年はうるう年で2月が1日多く、2月29分の消費支出を除いた
試算では、同2.7%減。前月比(季調値)は1.4%の増加。支出項目別でのマイナス寄与は、光熱・水道
(マイナス2.41%)、交通・通信(同0.16%)、教養・娯楽(同0.14%)など。プラス寄与は、教育(1.30%)、
食料(0.57%)、住居(0.54%)など。勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり56万1,495円(前年同月比で実質2.5%減)で17カ月連続の実質減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

●生活保護の保護開始世帯数、前年同月比3.5%増/1月被保護者調査

厚生労働省は3日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2024年1月分概数)結果を公表した。
保護の申請件数は2万154件で、前年同月比59件(0.3%)増。保護開始世帯数は1万6,496世帯で、
同559世帯(3.5%)増。被保護世帯は165万2,163世帯で、同7,094世帯(0.4%)増。被保護実人員は
202万804人で、同3,618人(0.2%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/01.html
▽報道資料(2024年1月分概数)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2024/dl/01-01.pdf

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【労使】
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●賃上げ額の単純平均は9,593円で、高水準の回答引き出しが継続/金属労協(JCM)の3月末時点での回答状況

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの産別労組でつくる金属労協(JCM、金子晃浩議長)は
2日、記者会見を開き、3月29日現在の賃上げの回答状況を発表した。獲得したベアや賃金改善などの賃上げ額の
単純平均は9,593円で、2014年以降での最高額となっている。産別ごとの報告では、自動車総連が1日現在で
賃金カーブ維持分と賃金改善分を合わせた引き上げ額が1万2,211円となっており、1976年以降での最高を
記録している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240405.html

●中小組合の賃上げは平均4.69%、全体では5.24%と高水準/連合第3回回答集計

連合は4日、2024春季生活闘争 第3回回答集計結果を公表した。
平均賃金方式で回答を引き出した2,620組合の加重平均は5.24%・1万6,037円(昨年同時期比1.54ポイント・4,923円増)
で、第2回回答集計の5.25%増と同水準を維持した。このうち、組合員300人未満の中小組合1,600組合の加重平均は
4.69%・1万2,097円(同1.27ポイント・3,543円増)。全体も中小組合も、比較可能な2013年以降で最も高い水準となっている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/kaito/press_no3.pdf?9847

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【動向】
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●2024年に賃上げ予定の企業は73.9%、持続的な賃上げ実現の見込み/民間調査

マイナビは3月28日、民間企業等の中途採用に関わる人事担当者に雇用施策や今後の意向をたずねた「企業の
雇用施策に関するレポート2024年版」を発表した。2023年に現従業員の賃上げ(賃金のベースアップ)を行った
企業は78.2%。24年の賃上げ予定は、「上げる」が73.9%で持続的な賃上げ実現が見込める結果となった。
リスキリングを含む従業員教育費は年平均344.5万円。金額別では1~49万円が最多の45.5%。中途採用担当者が
人事業務でAIを利用した割合は、「人材の管理」が最多の31.9%、次いで「人材の評価」29.4%。中途採用
担当者が想定する、直近1年間に採用した中途社員の在籍期間は平均4年で企業側でも転職の一般化が認識され、
中途採用者の再転職も見越した採用活動を行っている様子がうかがえる、としている。
https://www.mynavi.jp/news/2024/03/post_41314.html

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【企業】
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●8.2%の賃金改善と180万円の賞与支給/九電工

九電工は3月25日、労使交渉の妥結により、組合員一人平均で「8.2%の賃金改善」及び「180万円の賞与支給」
などを実施すると発表した。賃金改善は組合要求を上回り、過去最高の賃金改善率で、賞与は創立記念祝い金を
含む。また、採用での競争力強化、人財確保のため、初任給を2024年4月と25年4月に全学歴各2万円を引き上げる。
大卒で24年4月は24万円、25年4月は26万円。あわせて、奨学金返還支援制度も新設する。1カ月当たり1.5万円を
上限とし、期間は最長10年間。
https://www.kyudenko.co.jp/press/docs/fb68948b392051c53d4e59e8a2687707.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<中国>
▽男女賃金格差が縮小、職場での差別は依然として存在

大手人材紹介会社の猟聘(Liepin)は3月に「2024年ジェンダー人材データ観察リポート」を発表した。
2019-23年の5年間で男女の賃金格差が縮小傾向にあること、電子/半導体/集積回路(IC)関係などへの
就職を希望する女性が増加することなどを示している。また、別の大手人材紹介会社「智聯招聘(Zhilian Zhaopin)」
の調査によると、結婚や育児といった家庭の要素が、女性の昇進に負の影響を与えている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/china_02.html

<韓国>
▽介護、育児分野に外国人労働者の導入を提言―韓国銀行レポート

韓国銀行は3月5日、報告書「ケアサービスの人手不足と費用負担緩和策」を発表した。この報告書で韓国銀行は、
高齢者介護及び家事・育児手伝い分野の人手不足と費用高騰が深刻化していることを指摘し、これらの分野での
外国人労働者の導入は避けられないと結論づけている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/korea_01.html

<アメリカ>

▽男女賃金格差の現状―連邦労働省とEEOCが集計結果を発表

連邦労働省は3月12日、2022年のフルタイム労働者の賃金(中央値)について、女性は男性の84%にとどまる
とする集計結果を発表した。人種/民族による違いを考慮すると、白人男性(日ヒスパニック系)に比べて、
アジア系女性は98.6%とほぼ同水準だが、白人女性(非ヒスパニック系)は80%、黒人女性は69%、
ヒスパニック系女性は57%と低い。また、全国雇用機会均等委員会(EEOC)が同日発表した統計資料によると、
2017年と2018年の年間給与額をそれぞれ12階層に区分した場合、女性の中央値は男性より1~2ランク低い区分
に含まれる。また、最も高いランクに含まれる者の男女比は、男性が75%に対して女性は25%にとどまっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/04/usa_01.html