メールマガジン労働情報 No.1947

■□――【メールマガジン労働情報/No.1947】

「裾野の広い賃上げ実現が大切」/政労使の意見交換会 ほか

―2024年3月15日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「裾野の広い賃上げ実現が大切」/政労使の意見交換会 ほか
【統計】大企業の従業員判断指数、51期連続の「不足気味」超/法人企業景気予測
【労使】「2024年春季労使交渉」についてコメント/経団連・日商・経済同友会 ほか
【企業】65歳へ定年延長、役割に応じた処遇制度の導入/パナソニック インダストリー ほか
【海外】「労働組合と中間層」―連邦財務省報告、既存研究論文を幅広く紹介/アメリカ ほか
【イベント】「給与計算の基礎実務講座」/神奈川県労働福祉協会

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【JILPT研究成果情報】
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◇「2023年度版 労働力需給の推計(速報)」を記者発表

JILPTは11日、「2023年度版 労働力需給の推計(速報)労働力需給モデルによるシミュレーション」を記者発表
しました。2040年までの性・年齢階級別労働力人口及び就業者数、並びに産業別就業者数を労働力需給モデルにより
推計しています。前回、2018年度版推計に使用した労働力需給モデルを踏襲し、将来推計人口、経済見通しの
変更や、将来想定の更新等を行うとともに、モデルを構成する関数の変数を一部見直しています。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20240311.pdf

◇資料シリーズNo.275『OHBYカード改訂版に伴う背景データの分析―OHBYカードにみる成人の職業興味の特徴―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/275.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆読者アンケートのお願い

本日、「メールマガジン労働情報」についてのアンケートのお願いを別メールにてお送りしています。
ご協力よろしくお願いいたします。(既にご回答済みの方に届く場合がございますが、ご了承ください。)

★24年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集開始!

本講座は今回で73回目を数え、歴史と伝統を誇る講座です。
「人事管理・労働経済」「労働法」の2部門で、現代の労働問題を学習するのに最適なトピックス31課目を精選。
当該分野の第一人者の講師陣が、労働市場の現状や課題、労働問題などについて講義を行います。

<人事管理・労働経済>部門 5月7日火曜~7月3日水曜(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月9日火曜~8月30日金曜(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

★第132回労働政策フォーラム(オンライン開催) まだ間に合います!
「キャリア形成に寄与する学び直し・リカレント教育」

 <第1部:研究報告> ※オンデマンド配信(3月16日土曜~19日火曜)
 「AIと共に働くための学び直しとは?」
 「産業人材ニーズと大学教育内容の関係の見える化の試み」

 <第2部:事例紹介・パネル討論> ※ライブ配信(3月19日火曜 13時50分~16時15分)
  ・職業訓練の実践の取組
   (高齢・障害・求職者雇用支援機構)
  ・リカレント教育の実践の取組
   (東京理科大学、愛媛大学)
 コーディネーター 堀有喜衣JILPT統括研究員
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240319/index.html

☆『労働関係法規集2024年版』 発売開始!

主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの法規集です。
2024年版では、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」を新たに収録するとともに、
「労働基準法施行規則」「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」「労働審判法」
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律施行規則」の改正法令を収録しています。
【B6判変型1,191頁 定価:1,980円(本体1,800円) 3月15日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

◇「最近の統計調査結果から」(2024年2月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202402.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202402.pdf

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【行政】
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●「裾野の広い賃上げ実現が大切」/政労使の意見交換会

政府は13日、2024年春季労使交渉の集中回答日にあたり「政労使の意見交換会」を開催した。首相は意見交換を
踏まえ、「昨年を上回る力強い賃上げの流れができていて心強い」「中小・小規模企業における十分な賃上げに
よって裾野の広い賃上げが実現していくことが大切」と述べ、政府は、賃上げの流れを継続できるよう「下請法違反
行為は、厳正に対処し、労務費指針の周知・徹底状況の把握に向け特別調査を実施」「昨11月策定の労務費指針の下、
特に対応が必要とされた22業種について、自主行動計画の実施状況を把握」など手を尽くすとした。
また、今年の最低賃金引き上げ額について、春季労使交渉の回答額も踏まえた最低賃金審議会での議論を求めた。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202403/13seiroushi.html
▽政労使の意見交換(資料)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/seiroushi/dai3/gijisidai.html
▽連合の意見表明
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=2089

●「65歳以降も働きたい」は7.5ポイント増/人事院

人事院は13日、「2023年退職公務員生活状況調査」結果を発表した。定年(60歳)後も働きたい者は83.3%、
調査時の就労率は87.6%。働きたい理由は「生活維持のため」が85.7%で、「社会との接点や生活の張り・
生きがいを持ちたい」44.0%、「社会や職場に貢献」34.4%、「健康維持」31.4%。「65歳まで働きたい」と
「65歳以降も働きたい」を合せると81.3%。「65歳以降も働きたい」は36.2%で、前回(28.7%)に比べ
7.5ポイント増加。調査は、定年退職した国家公務員を対象に国家公務員の高齢期雇用のあり方や生涯設計の
施策検討資料のため、3年ごとに実施している。
https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2403/page_00055.html

●「雇用就農資金」2024年度の募集/農水省

農林水産省では、雇用就農者の確保・育成推進のため、50歳未満の就農希望者を新たに雇用する農業法人等に対し
雇用就農資金を助成する。今回は2024年度第1回目の募集。事業タイプ別に3種類あり、雇用就農者育成・独立支援
タイプと新法人設立支援タイプは4月4日まで募集、次世代経営者育成タイプは2025年1月31日まで随時募集。
https://www.maff.go.jp/j/press/keiei/zinzai/240301.html

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【統計】
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●大企業の従業員判断指数、51期連続の「不足気味」超/法人企業景気予測

内閣府と財務省は12日、「法人企業景気予測調査」(2024年1~3月期調査)結果を公表した。
雇用に関する「従業員数判断」BSIは、大企業は28.3%ポイントで2011年9月末以降、51期連続の
「不足気味」超。中堅企業、中小企業はいずれも「不足気味」超。
「貴社の景況判断」BSIは、大企業は0.0%ポイントで、2023年1~3月期以来、4期ぶりの「下降」超。
中堅企業は「上昇」超、中小企業は「下降」超となった。
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/1c202304.pdf
▽統計表等
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/results/data.htm

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【労使】
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●「2024年春季労使交渉」についてコメント/経団連・日商・経済同友会

経団連と日本商工会議所、経済同友会は、2024年春季労使交渉・集中回答日の13日、会長名、会頭名、代表幹事名で
それぞれコメントを発表した。
経団連は、「製造業中心に多くの大手企業で昨年を大きく上回る水準の回答が出たことは嬉しく、安堵感を覚える。
他の大手企業や中小企業に賃金引上げのモメンタムの波及を期待する、とりわけ中小企業の賃上げには適切な
価格転嫁の実行が重要との認識が必要」とした。
日本商工会議所は、「大手各社の大幅賃上げ回答を歓迎。経済の好循環と底上げの実現へ、地方を含む中小・小規模事業者に
賃上げの動きが広がることを強く期待。原資確保に、社会全体で労務費を含む価格転嫁を進めなければならない」とした。
経済同友会は、「多くの企業が昨年よりも高い水準での賃上げ回答したことは歓迎する。継続的な賃金上昇実現には労務費を
含む価格転嫁が不可欠で、政府に対し状況調査と対策を期待する」とした。
▽経団連/会長コメント
https://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2024/0313.html
▽日商/会頭コメント
https://www.jcci.or.jp/news/2024/0313174500.html
▽同友会/代表幹事コメント
https://www.doyukai.or.jp/chairmansmsg/comment/2023/240313.html

●ヤマ場の回答引き出し状況に対するコメント/連合

連合は14日、先行組合の回答引き出しのヤマ場とする12日から14日の回答状況を踏まえ、芳野会長・中央闘争委員の
コメントを発表した。多くの組合が2014年以降、最高となる賃上げを獲得したことについて、物価高の家計への影響、
人手不足による現場の負担増などを踏まえ、産業・企業、日本経済の成長につながる「人への投資」について、
中長期的視点を持って交渉した結果とし、先行組合が引き出した回答を中小組合、組合のない職場へと、高い水準での
相場波及に総力をあげる、としている。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/houshin/data/tosokakunin_appeal.pdf?1465
▽回答速報、3月13日
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2024/yokyu_kaito/sokuho/kaito_no06.pdf?1990

●昨年を上回る高水準での妥結相次ぐ/UAゼンセン

繊維、流通、サービス産業等の組合で作られるUAゼンセンは14日、「各加盟組合の粘り強い交渉の結果、
昨年を上回る高水準での妥結が相次いだ」と発表した。「物価上昇に負けない賃上げに関して一定の成果を
得られた。今後も多くの組合が交渉するが、この成果をしっかりと生かしていきたい」としている。
3月14日集計による妥結総合計は、加重平均で正社員組合員1万8,198円(5.91%)、短時間組合員70.8円(6.45%)。
https://uazensen.jp/2024/03/14/97203/

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【企業】
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●65歳へ定年延長、役割に応じた処遇制度の導入/パナソニック インダストリー

パナソニック インダストリーは8日、2025年4月1日より定年年齢を65歳まで引き上げると発表した。
役割の大きさに応じ65歳まで正社員としての賃金体系・福利厚生含めた労働条件を継続し、適切な処遇反映を行い、
現行の60歳以降の再雇用制度適用者についても、同様の処遇水準見直しを行う。専門的知識・スキルと貢献意欲の
ある社員がモチベーション高く働き続ける環境を整備し、後進育成強化するためとしている。
https://news.panasonic.com/jp/press/jn240308-9

●人事制度を全面的に刷新/スズキ

スズキは8日、社員が能力を最大限に発揮できる環境整備のため、4月から人事制度を全面的に刷新すると
発表した。ポイントは、各職系・階層ごとの役割と社員一人ひとりの職務遂行に必要な能力要件を明確化した
職能資格制度の導入、業績と職務能力の向上は別々に評価し、短期の業績は賞与に、職務能力は昇給・昇格に
反映する評価制度、60歳以降も、体力等問題なければ、60歳時点の業務と給与を維持する60歳以降の働き方の
見直しなど。また、初任給を引き上げ、若年層からの賃金カーブの立ち上がりを改善する。4月以降の
新卒初任給は、大学卒で22万円から14.1%引き上げて25万1千円とする。
https://www.suzuki.co.jp/release/d/2024/0308/

●初任給を引き上げ/全日空

全日空は12日、2024年4月以降の新卒社員の初任給を全職掌対象に最大1万6千円引き上げると発表した。
客室乗務職は、学歴を問わず一律1万6千円の引き上げで、大学卒では21万221円(職務調整手当3万円含む)、
引き上げ率8.2%。グローバルスタッフ職は、採用競争力の強化のため、2025年も初任給を引き上げて、25年度入社は大学卒で25万円。
https://www.anahd.co.jp/group/pr/202403/20240312.html?_gl=1

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<アメリカ>
▽「労働組合と中間層」―連邦財務省報告、既存研究論文を幅広く紹介

連邦財務省は2023年8月28日に「労働組合と中間層」と題する報告書を発表した。既存研究論文や統計データ
などを引用・紹介する形で、労働組合が中間層形成に果たす役割や効果を検証。労働組合員の賃金は
非組合員より10~15%ほど高いといった「組合賃金プレミアム」や、平等の推進、職場の安全衛生の改善、
生産性向上との関連性を含め、幅広く論じている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/03/usa_01.html

<フランス>
▽最近のストライキの特徴と動向―鉄道、教育部門などで大規模な紛争

2023年には年金改革をめぐり全国的な抗議デモが行われた。改革法案の具体的な内容が明らかとなった23年1月
から国会で法案が可決した3月を経て、6月までの間に、全国的なストライキおよびデモが14回実施された。
とりわけ3月7日には128万人(内務省発表)が参加する大規模なストライキとなった。年金改革以後も
ストライキは散発している。フランスでは一定の条件に該当する企業は少なくとも4年に1回労使で交渉する
義務があるが、ストライキに発展する場合も少なくない。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/03/france_01.html

●フォーカス/JILPT

<米・英・独・仏・韓国>
▽「諸外国はストの嵐?―最近の労働運動を追う」

最近、海外に旅行したという人から、ストに遭遇したという話をよく聞く。ヨーロッパでは鉄道など
公共部門をはじめとし各地でストが頻発している。アメリカでも自動車産業の大幅な賃上げ交渉が先ごろ
話題を集めた。韓国では国の教育計画に反発した研修医の8割が辞表を提出し、医療現場が混乱した。
他方、わが国ではごく一部を除いてストの話はほとんど聞かない。いま各地で繰り広げられている労働運動
とはどのようなものなのか。日本とはどう違うのか。各国の個別事情を背景とした現在の労働運動の実態を紹介する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2024/03/western.html

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【イベント】
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●「給与計算の基礎実務講座」/神奈川県労働福祉協会

神奈川県労働福祉協会は4月19日(金)、「給与計算の基礎実務講座」をオンラインで開催する。
2024年度税制改正に対応し、総務、人事労務、給与計算担当者を対象とした基礎実務講座で、
実務担当者が必ず知っておくべき必須知識と実務上の重要ポイントやイレギュラーなケースなどを
解説する。オンデマンド配信による受講も有り。受講料15,000円。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/payroll.html