メールマガジン労働情報 No.1924

■□――【メールマガジン労働情報/No.1924】

雇用保険制度の見直しに向け報告素案を提示、週10時間以上へ適用拡大/厚労省 ほか

―2023年12月15日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】雇用保険制度の見直しに向け報告素案を提示、週10時間以上へ適用拡大/厚労省 ほか
【統計】街角景況感、前月差0.0ポイントの横ばい/11月景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】中期の事業上のリスクでは「必要な人材の不足」がトップ/経団連調査
【動向】「70代以降も働きたい人」は14.2%/民間調査
【企業】「セルフケア休暇」を導入/大塚製薬
【海外】外国人の流入削減案―家族の帯同禁止や給与基準の引き上げなど/イギリス ほか
【イベント】セミナー「すべての働く人が知っておきたい職場ハラスメントの解説と対処法」/東京都

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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.233『ものづくり産業のデジタル技術活用と人材確保・育成に関する調査結果』

近年、多様なデジタル技術が様々な場面で幅広く取り入れられています。製造業では、企業の生産性向上や
競争力の強化等につながると考えられますが、対応できる人材の確保や育成が課題となります。
ものづくりの現場でのデジタル化の浸透とそれに対応する働き方や人材確保、育成状況の把握とともに、
今後に向けた課題等を探るため、企業アンケート調査を行いました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2023/233.html

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【JILPTからのお知らせ】
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★労働図書館常設展示「千束屋看板と豊原又男」特別イベント

労働図書館ではこのたび、常設展示「千束屋看板と豊原又男」にちなんだ
特別イベント「入船亭扇治独演会(落語+ミニ講演)」を開催いたします。
 日時:2024年1月16日(火)開演18時30分(開場18時)
 場所:労働政策研究・研修機構大会議室
観覧無料ですが、先着50名様までで、事前のお申し込みが必要です。
労働図書館ホームページのお申し込みフォームから、お申込みください
https://www.jil.go.jp/lib/exhibition/index.html#permanent2023

★「最近の統計調査結果から」(2023年11月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/202311.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2023/documents/202311.pdf

★事務職員(中途・社会人経験者)の募集について

労働政策研究・研修機構では、事務職員(中途・社会人経験者)を募集しています。
リクナビNEXT応募フォームより、必要事項を記入して送信(応募)してください。
チームワークで仕事ができる方、幅広い好奇心・チャレンジ精神をもって仕事に取組み、
新しい分野について貪欲に学び続ける意欲のある方を歓迎します。
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2023/index.html

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【行政】
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●雇用保険制度の見直しに向け報告素案を提示、週10時間以上へ適用拡大/厚労省

厚生労働省は13日、労働政策審議会雇用保険部会を開催し、雇用保険制度等の見直しに向けた部会報告(素案)を示した。
雇用保険制度の適用拡大については、雇用のセーフティネットを拡げる観点から、週の所定労働時間が10時間以上
20時間未満の労働者にも適用すること(2028年度中に施行)、自己都合離職者の給付制限期間(給付開始までの待期期間)
については、現行の2カ月を2025年度から1カ月に短縮すること、「専門実践教育訓練給付金」については、受講前後を比べ
賃金が一定(5%)以上上昇した場合には費用の10%を追加することにともない、「教育訓練給付金」の給付率を
最大で受講費用の80%に引き上げること、育児休業給付金については、両親がともに一定期間以上の育休を
取得した場合には28日間を限度に、休業開始前賃金の80%相当額の給付を支給すること、2歳未満の子を養育する
時短勤務者には、「育児時短就業給付(仮称)」を創設し、給付率は時短勤務中の賃金額の10%とすること、などが盛り込まれた。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36817.html

●雇用調整助成金の見直しの方向性、教育訓練促進の仕組みなど提案/厚労省

厚生労働省は13日、労働政策審議会職業安定分科会を開催し、雇用調整助成金の見直しの方向性の案を示した。
雇用調整助成金を長く受給した場合に、労働者のモチベーションや職業能力、労働移動に影響を与える
といった指摘を踏まえ、「支給日数が30日を超えた場合には、教育訓練を選択することを促進する仕組み」を提示。
具体的に、教育訓練を行う場合と行わない場合に差を設け、教育訓練を一定割合(支給日数の10分の1以上)
実施しない場合には、現行の助成率を大企業は2分の1から4分の1に、中小企業は3分の2から2分の1に引き下げ、
教育訓練を支給日数の5分の1以上実施する場合には、加算額を1,800円に引き上げる、などとした。(資料2、5頁)
分科会ではこの他に、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱を諮問した。主な内容は、60歳~65歳未満の
高年齢雇用継続給付の給付率を2025年4月より賃金の原則15%→10%に縮小するもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_030127159_001_00062.html
▽資料2(雇用調整助成金について)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001178072.pdf

●石綿による疾病に関する労災保険給付、請求件数・支給決定件数とも前年度よりやや増加/厚労省

厚生労働省は13日、「石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況」(確定値)を公表した。
2022年度分の「労災保険給付」(肺がん、中皮腫、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚)の請求件数は
1,361件(対前年度比6.5%増)、支給決定件数は1,079件(同6.6%増)。請求件数、支給決定件数とも
前年度に比べやや増加した。石綿肺の支給決定件数は61件(同4.7%減)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36636.html

●石綿ばく露作業による労災認定等事業場数、建設業725、建設業以外408/厚労省

厚生労働省は13日、「2022年度石綿ばく露作業による労災認定等事業場」を公表した。
石綿ばく露作業による労災認定等事業場は1,133事業所(うち新規公表860事業場)、
建設業は725事業場(同649事業場)、建設業以外の事業場は408事業場(同211事業場)。
事業場で過去に就労していた労働者に、石綿ばく露作業に従事した可能性があることの
注意喚起、事業場周辺住民が自身の健康状態を改めて確認することなどを目的に公表している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36637.html

●2023年度国家公務員採用総合職試験「教養区分」合格者数、423人/人事院

人事院は8日、秋実施の2023年度国家公務員採用総合職試験(大卒程度試験)「教養区分」の合格者を発表した。
申込者数は4,014人(前年度1,656人)、合格者数は423人(同255人)で前年度に比べ65.9%増加。
倍率は9.5倍(前年度11.6倍)。女性の合格者数は138人で、全合格者数の32.6%。今年度の
受験可能年齢の引下げにより受験可能となった19歳の合格者数は43人で10.2%。
23年度の総合職試験全体(春秋計)の合格者数は2,450人、倍率は7.5倍。女性の合格者数は821人、
全合格者数の33.5%で、合格者数・割合とも過去最高。「教養区分」は、専攻分野にとらわれない
広範な見識を有する学生や外国の大学の卒業者など多様な有為の人材確保に資することを目的とした
試験区分で、2023年度総合職試験合格者の17.3%(前年度は11.9%)を占める。
https://www.jinji.go.jp/kisya/2312/2023kyouyougoukaku.html

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【統計】
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●街角景況感、前月差0.0ポイントの横ばい/11月景気ウォッチャー調査

内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2023年11月の「景気ウォッチャー調査」
結果を公表した。現状判断DI(季調値)は、前月差0.0ポイントの49.5。家計動向関連のDIは上昇したが、
企業動向関連、雇用関連のDIが低下したことから、前月に対し横ばいとなった。先行き判断DI(同)は、
前月差1.0ポイント上昇の49.4。今回の結果について、「景気は緩やかな回復基調が続いているものの、
一服感がみられる。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/1208watcher/menu.html

●10月の生産指数、前月比1.3%上昇/鉱工業指数確報

経済産業省は14日、10月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」確報値を公表した。
生産指数(季節調整済)は104.9で前月比1.3%の上昇。出荷(同0.4%)、在庫(同0.6%)は上昇、
在庫率(同マイナス0.3%)は低下した。確報と速報を比べると、生産、出荷は上方修正、在庫、在庫率は下方修正。
生産の上方修正は、医薬品、チューハイ・カクテル等による。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要冊子
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202310kj.pdf

●10月の民間需要の機械受注額、0.7%増/機械受注統計

内閣府は14日、機械受注統計調査報告(2023年10月実績)を公表した。機械受注総額は、前月比7.6%減の
2兆6,544億円(季調値)。民間設備投資の先行指標である「民需(船舶・電力を除く)」は、同0.7%増の
8,587億円。うち船舶・電力を除く製造業は同0.2%増・4,092億円で、非製造業は同1.2%増・4,500億円。
基調判断は「足踏みがみられる」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2023/2310juchu.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2023/2310gaiyou.pdf

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【労使】
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●中期の事業上のリスクでは「必要な人材の不足」がトップ/経団連調査

経団連は12日、企業会員1,546社を対象とした「政策要望等に関するアンケート調査」調査結果を公表した。
企業が重要視する事業上のリスクは、短期(1年程度)では、「資源価格の高騰」(47.9%)、
「為替の急激な変動」(33.6%)、「必要な人材の不足」(30.9%)が上位。中期(2~5年程度)では、
「必要な人材の不足」(49.3%)、「従来型ビジネスモデルの陳腐化」(30.9%)が前回調査(2023年春)
に続き上位を占めた。政府が重点的に取り組むべき施策(中期)では、「GX推進への支援」(52.8%)、
「DX推進への支援」(42.1%)が上位。製造業では「サプライチェーン多元化・強靭化への支援」(42.6%)、
非製造業では「少子化への対応」(39.1%)も多くあがった。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/078.pdf

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【動向】
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●「70代以降も働きたい人」は14.2%/民間調査

リクルートマネジメントソリューションズは6日、「一般社員の会社・職場・仕事に関する意識調査」の
70代以降に働くことについての分析結果を発表した。「70代以降も働きたい人」は14.2%。年代別では、
20~24歳の8.2%が最も少なく、55~59歳でも16.7%。70代以降も働きたいと思う人の現状認知の差を
40~50代について調べたところ、 「今の仕事は自分の成長につながると思う」などと回答した人は
70代以降も働きたいと考える傾向がある、としている。調査対象は一般社員、主任・係長クラスの正社員で、有効回答数は3,708名。
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000423/

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【企業】
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●「セルフケア休暇」を導入/大塚製薬

大塚製薬は14日、従業員対象の制度として2024年1月1日より「セルフケア休暇」を導入すると発表した。
これまでも不妊治療や更年期症状の治療時に積立有給休暇制度が利用できたが、理由を明確にしなくても、
全社員が利用しやすい制度として、性別を問わず、不妊治療や更年期症状等の治療、性別適合手術・ホルモン
治療等を受ける場合に年5日まで利用可能。積立有給休暇制度の適用範囲も拡大し、「生理休暇」と
「セルフケア休暇」利用時に使用可能とした。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を経営戦略の一つ
と位置付け、誰もが働きやすい環境を目指した施策の実施や人事制度の導入などの取り組みを推進するとしている。
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2023/20231214_1.html

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【海外】
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<イギリス>
▽外国人の流入削減案―家族の帯同禁止や給与基準の引き上げなど

政府は12月、外国人の入国に関する規制強化案を発表した。このところ急速な増加が見られる
介護労働者に対する家族の帯同禁止や、労働者の受け入れに際して課される給与基準の引き上げ
などで、外国人の流入削減を図る内容だ。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/uk_03.html

▽長期失業者や就労困難者の就労支援策

政府は11月、失業者や低賃金労働者、就労困難者として社会保障給付を受給している層に対する
就労支援策を公表した。長期失業者や低賃金層などに対する就労促進策を強化し、参加拒否等に
対しては、給付の減額・停止などの制裁措置を適用する。一方で、就労困難者の就労促進策としては、
給付受給の権利を保障しつつ試行的に就労することを認める。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/uk_04.html

<ドイツ>
▽労働時間をめぐる労働者の希望と現実―IAB調査

労働市場・職業研究所(IAB)が11月に発表した調査結果によると、2021年にはフルタイムで働く
男性の58%、女性の49%が労働時間の短縮を望んでいた。これまで労働者の希望労働時間は
数十年にわたり安定的に推移してきたが、近年はやや短くなる傾向にある。この傾向は、特に
新型コロナ禍以降、さらに強まっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/germany_01.html

▽父親の育休受給率、43.7%―前年比0.2ポイント増

連邦統計局が2023年に発表した資料によると、2020年の父親の育休手当(両親手当)受給率は、
連邦レベルで43.7%であった。前年より0.2ポイント上昇し、過去最高を記録した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/12/germany_02.html

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【イベント】
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●セミナー「すべての働く人が知っておきたい職場ハラスメントの解説と対処法」/東京都

東京都労働相談情報センターは2024年1月16日(火)・18日(木)に品川区で労働セミナー&相談会
「すべての働く人が知っておきたい職場ハラスメントの解説と対処法」を開催する。
これから働く人や働いている人向けに、ハラスメントの基礎知識、実際にトラブルが起きた場合の
対処法等を解説する。セミナーの後に希望者のみ、相談会を実施。受講無料。定員40名、要事前申込。
https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/seminarform/index/detail?kanri_bango=seminar-zchuo-001434