メールマガジン労働情報 No.1879

■□――【メールマガジン労働情報/No.1879】

正社員、パートタイム労働者とも不足超過が続く/労働経済動向調査 ほか

―2023年6月28日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】石綿労災保険給付1,078件、前年度よりやや増加/厚労省 ほか
【統計】正社員、パートタイム労働者とも不足超過が続く/労働経済動向調査 ほか
【労使】賃上げは単純平均で6,678円、2.55%に/国民春闘共闘の春闘中間総括 ほか
【動向】開店前納品の慣行を見直し、ドライバー不足解消を目指す/日本百貨店協会 ほか
【企業】最大18週間の有給休暇で育児・看護をサポート/グラクソ・スミスクライン ほか
【イベント】「ハラスメント防止コンサルタント養成講座」/21世紀職業財団

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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.270『特定技能1号外国人の受け入れ・活用に関するヒアリング調査』

 深刻な人手不足への対応を目的とした特定技能1号外国人の人数は増加しており、2023
年3月末時点で15 万人を超える規模となっていますが、現場レベルでの制度の運用、受け
入れと活用実態については明らかではありません。本調査では、受け入れ企業にヒアリン
グを行い、受け入れ方法や雇用管理等の実態を明らかにしました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2023/270.html

◇労働政策研究報告書No.227
 『第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2023/0227.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『日本労働研究雑誌』2023年7月号を刊行しました!
 特集「選抜をめぐる労働問題」

 労働問題にかかわる多くの局面には、採用、昇進、また労働市場の手前の入試、就職
時の学校推薦などさまざまな選抜があります。選抜の公平さ、手法の適切さや選抜方
法の変化とその帰結、経済環境や制度の変化が選抜方法に与える影響など、本号では
企業内を中心に、大学入試における選抜も含め、検討しています。
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/07/index.html

◇『ビジネス・レーバー・トレンド』2023年7月号を公開しました!
 女性の就業支援のあり方とは―途切れないキャリア形成と能力発揮に向けて

 出産後も働き続ける女性が増え、女性の年齢別労働力率を示す、いわゆる「M字カー
ブ」は解消されつつありますが、女性の年齢別の正規雇用比率は20歳台後半をピークに
低下する「L字カーブ」を描いています。本号では、女性の就業をテーマとした労働政
策フォーラム、業界団体・企業モニター特別調査の結果や、政府の女性活躍・男女共同
参画推進策などを紹介し、女性就業支援の「これから」を考えます。
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2023/07/index.html

☆第72回東京労働大学講座 総合講座「労働法」部門 申込受付中!
 2023年7月11日(火曜)~8月31日(木曜)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

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【行政】
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●石綿労災保険給付1,078件、前年度よりやや増加/厚労省

 厚生労働省は21日、2022年度の「石綿による疾病に関する労災保険給付などの
請求・決定状況」の速報値を公表した。労災保険給付の請求件数は1,361件(石綿
肺を除く、前年度比83件・6.5%増)、支給決定件数は1,078件(同66件・6.5%増)。
死亡労働者の遺族のうち、時効(5年)により遺族補償給付を受けることができない
遺族を対象とする「特別遺族給付金」の支給決定件数は170件(同139件・448.4%増)
だった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33558.html
(別添資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001107940.pdf

●価格転嫁率は平均47.6%、転嫁できる割合の二極化進む/中小企業庁調査

 中小企業庁は20日、「価格交渉促進月間(2023年3月)のフォローアップ調査」
結果を公表した。同庁は毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」に設定し、中小企
業が、原材料費・エネルギー価格・労務費等の上昇分を発注側企業に適切に価格転
嫁しやすい環境を整備するための取組を進めている。
 調査結果によると、価格転嫁率(コスト上昇分を価格転嫁できた割合)は平均47.6%
で前回調査(46.9%)より微増。価格転嫁率が高い(7~10割)企業が増加(35.6%
→39.3%)した一方、「全く転嫁できない」「減額された」割合も増加(20.2%→
23.5%)しており、二極化の進行を指摘している。
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230620002/20230620002.html
(調査結果)
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230620002/20230620002-1.pdf

●中小企業・小規模事業者の人材活用ガイドラインと事例集を公表/中小企業庁

 中小企業庁は22日、中小企業・小規模事業者の経営課題に関連する中核人材の採用・
育成、業務人材の採用・育成の課題への対応策・支援策をまとめた「ガイドライン」と、
経営課題に対応する取り組みにより成果をあげた企業の事例集を公表した。事例集は、
製造、建設、医療・福祉、情報通信、サービス、運輸、卸売の7業種、50企業について、
採用、育成、環境整備についての取り組み内容を紹介している。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/hitodebusoku/guideline.html
(ガイドライン)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/hitodebusoku/guideline/guideline.pdf
(事例集)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/hitodebusoku/guideline/jirei.pdf

●障害者の就職件数、コロナ禍以前に近い水準まで改善/厚労省

 厚生労働省は5月31日、2022年度「障害者の職業紹介状況等」を公表した。
ハローワークを通じた障害者の就職件数は10万2,537件、前年度比6.6%増となり、
コロナ禍以前の2019年度(10万3,163件)に近い水準まで改善した。就職件数の
増加要因は、前年度に続き新規求職申込件数の増加とともに、障害者の就職先と
して割合の高い「医療、福祉」、「製造業」などで求人数が引き続き増加し、
特に「卸売業,小売業」で求人数の増加幅が拡大したことによるものとしている。
ハローワークに届出のあった障害者の解雇者数は1,605人で、前年度(1,656人)を
下回った。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33335.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001101527.pdf

●災害時の分散帰宅など「一斉帰宅抑制推進企業」を募集/東京都

 東京都では、災害時の一斉帰宅の危険性や72時間待機後の分散帰宅の必要性を呼
びかけており、6月20日から9月29日までの間、「一斉帰宅抑制推進企業」を募集
している。HPには、2022年度までに認定したモデル企業と推進企業の取組事例が
掲載されている。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/kitaku_portal/1000048/1006510/index.html

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【統計】
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●正社員、パートタイム労働者とも不足超過が続く/労働経済動向調査

 厚生労働省は23日、「労働経済動向調査(2023年5月)」結果を公表した。
労働者の過不足判断D.I.(不足-過剰、5月1日現在・産業計)は、正社員等労働
者プラス44ポイント、パートタイム労働者プラス28ポイントで、それぞれ48期、55期
連続の不足超過。正社員等労働者では、「運輸業、郵便業」、「建設業」、「医療、福
祉」、パートタイム労働者では、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス
業、娯楽業」、「サービス業(他に分類されないもの)」で人手不足感が高い。
 生産・売上額等判断D.I.(増加-減少、4~6月実績見込)は産業計プラス8ポイン
ト、「宿泊業、飲食サービス業」(プラス43ポイント)、「運輸業、郵便業」(プラス14
ポイント)、「生活関連サービス業,娯楽業」(プラス13ポイント)などでプラスとなった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2305/
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2305/dl/7siryo.pdf
(概況)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2305/dl/8roudoukeizaidouko.pdf

●基調判断「改善を示している」で上方修正/4月・景気動向指数の改訂状況

 内閣府は26日、2023年4月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は、前月と変わらず97.3(速報値は99.4)。基調判断は、
「景気動向指数(CI一致指数)は、改善を示している」で速報から上方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202304rsummary.pdf
(統計表)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html

●民営事業所数は約515万事業所、従業者数は5,795万人/経済センサス活動調査

 総務省及び経済産業省は27日、「2021年経済センサス活動調査」の産業横断的集計
「事業所に関する集計・企業等に関する集計」結果を公表した。21年6月1日現在の
民営事業所数は515万6,063事業所、従業者数は5,795万人。産業大分類別に従業員数を
みると、「卸売業,小売業」(全産業の20.0%)が最多、次いで「製造業」(同15.2%)、
「医療,福祉」(同14.1%)など。同調査は、国内全ての事業所・企業を対象として、
日本の全産業分野の売上(収入)金額や費用等の経理事項を取りまとめたもの。
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230627001/20230627001.html
(結果の概要)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/census/r3result/pdf/r03_kakuho_giy.pdf

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【労使】
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●賃上げは単純平均で6,678円、2.55%に/国民春闘共闘の春闘中間総括

 全労連や純中立労組懇などで構成する国民春闘共闘委員会は6月22日、都内でオン
ラインを併用して第2回単産・地方代表者会議を開き、2023年春闘の中間総括を確認
した。5月25日時点の賃上げ集計では、回答引き出し組合の単純平均が6,678円、
2.55%。中間総括は、「物価高騰を上回る賃上げには至らず、不十分な妥結水準」と
しながらも、ストライキ等の闘争戦術の活用で「『労働組合で声を上げれば変えられ
る』とのビジョンを労働者に示した」ことを評価している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230628.html

●中小企業の賃上げ7,864円、2.94%アップ/経団連

 経団連は23日、「2023年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況」(第1回集計)
を発表した。調査対象である従業員500人未満の17業種754社のうち、回答が示された
のは17業種288社。うち平均金額が不明等の11社を除く277社の賃上げ回答・妥結水準は、
定期昇給等を含む加重平均で7,864円(前年同期5,219円)、2.94%(同1.97%)のアップ。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/045.pdf

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【動向】
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●開店前納品の慣行を見直し、ドライバー不足解消を目指す/日本百貨店協会

 日本百貨店協会は23日、「2024年問題」に対応するため、百貨店、納品代行事業
者、アパレル・ファッション事業者の総意で、開店前に商品納品を間に合わせる慣
行を見直し、深夜の検品作業や早朝の集荷配送作業の時間を繰り下げることで、ト
ラックドライバーの労働時間等の短縮を図るとしている。また、納品量が多い店舗
については複数のトラックで開店前に納品していたが、1台のトラックによるピス
トン運行に切り替え、ドライバー不足の解消に努めていく方針。
https://www.depart.or.jp/press_release_other/files/20230623JDSAlogistics.pdf

●企業のDXへの取組み、業種別では「銀行」がトップ/民間調査

 帝国データバンクは21日、企業のDXへの取り組みに関する動向調査結果を発表した。
DXへの取組みに「すでに対応している」企業は16.4%、専門部署を置いている企業
は3.5%にとどまっている。「すでに対応している」企業を従業員規模でみると「1,001
人以上」で65.4%と約3分の2を占め、業種別では「銀行」が82.1%と突出して高い。
正社員が「不足」の企業で対応が進むこと、小規模企業は“成長性”、中小企業は
“生産性”が高いほど対応が進むことなども分かった。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230609.html

●論文「わが国におけるフルタイム労働者の異質性と賃金上昇」掲載/日銀

 日本銀行は19日、ホームページに論文「わが国におけるフルタイム労働者の異質
性と賃金上昇-ミクロデータによる実証分析-」を掲載した。日本のフルタイム労
働者を賃金構造の異なる2つのクラス(年功序列型の給与体系を持つ「内部労働市
場」と企業間を移動する「外部労働市場」)に区分し、賃金上昇率の変動要因を分
析している。
https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2023/wp23j06.htm

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【企業】
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●最大18週間の有給休暇で育児・看護をサポート/グラクソ・スミスクライン

 グラクソ・スミスクラインは15日、新しい育児・看護特別有給休暇制度を2023年
4月に導入したと発表した。新制度の育児休暇は、子が2歳になるまでの間に最大
18週間(90営業日)分、看護休暇は、家族の終末期を看取る、もしくは深刻な健康
悪化状態にあって看護する場合に4週間(20営業日)分を取得することができる。
 いずれの休暇も勤続年数に関係なく、同性婚・事実婚は問わず、すべての社員が
対象。すでに同育児休暇を5人、同看護休暇を3人が取得している。
https://jp.gsk.com/ja-jp/news/press-releases/20230615-personnel-system/

●連続休暇「レインボー休暇制度」の支援金を支給/物語コーポレーション

 飲食店を全国展開する物語コーポレーションは19日、連続休暇の取得を支援する
「レインボー休暇制度推進支援金」を導入すると発表した。一般的に、店舗で働く
店長や従業員は、シフト状況で長期休暇取得のハードルが高い傾向にあるが、同社
では2015年より7日間の連続休暇を取得できる制度「レインボー休暇」を運用。
 今回、同制度の取得を推進するため支援金を支給する。支給額は役職により異な
り総額は約1億2,000万円。さらに、2023年7月より「レインボー休暇」を年2回
取得可能な「ダブルレインボー休暇」制度を導入する。
https://www.monogatari.co.jp/news/230619_rainbow/

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【イベント】
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●「ハラスメント防止コンサルタント養成講座」/21世紀職業財団

 (公財)21世紀職業財団は、「ハラスメント防止コンサルタント養成講座」を
オンラインで開催する。受講期間は10月10日~11月9日(オンデマンド方式)。
ハラスメント防止教育や事案解決を行うことのできる人材を養成する。テーマは、
「ハラスメントの基礎知識」、「カウンセリングとメンタルヘルス」、「ハラスメン
トに関する労働法」、「裁判例解説とハラスメント事案解決法」。受講料7万7,000円。
https://www.jiwe.or.jp/harassment/consultant
(2023年度の案内リーフレット)
https://www.jiwe.or.jp/application/files/8416/8248/5953/HC2023_A4.pdf