メールマガジン労働情報 No.1877

■□――【メールマガジン労働情報/No.1877】

「骨太の方針2023」決定、三位一体の労働市場改革で構造的賃上げ目指す/政府会議 ほか

―2023年6月21日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】「骨太の方針2023」決定、三位一体の労働市場改革で構造的賃上げ目指す/政府会議 ほか
【統計】4月の生産指数、前月比0.7%上昇/鉱工業指数確報 ほか
【動向】図書館で働く非正規職員の処遇改善を自治体へ要望/日本図書館協会 ほか
【企業】「禁煙宣言」の制定とAI予測による保健指導を実施/日本郵政グループ ほか
【海外】雇用の回復と社会的保護から取り残される低所得国―ILOモニター第11版/ILO
【法令】労働関係法令一覧(2023年4月公布分)
【イベント】フォーラム「『助けて』といえる社会をつくる~社会正義の実現に向けて」 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇労働政策研究報告書No.227
 『第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査』

 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等について調査を実施し、過去4回
の調査結果との経年変化を分析しました。その結果、キャリアコンサルタントは
50代が中心であること、60代以上が増加し、30~40代の減少が著しいことが示
されました。また、年齢が高いほど各種オンラインのツールを用いる比率が低く、
成長産業と目されているIT及びデジタル分野への対応が難しいという課題など
を指摘しています。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2023/0227.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆第72回東京労働大学講座 総合講座「労働法」部門 申込受付中!
 2023年7月11日(火曜)~8月31日(木曜)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

☆『労働関係法規集2023年版』 発売中!
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

☆第4期プロジェクト研究シリーズ 発売中!

No.4『介護離職の構造―育児・介護休業法と両立支援ニーズ』
https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/04/index.html

No.6『雇用流動化と日本経済―ホワイトカラーの採用と転職』
https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/06/index.html

No.7『働き方改革、働き過ぎの、「今」―課題解消の手掛かりを求めて』
https://www.jil.go.jp/institute/project/series/2022/07/index.html

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【行政】
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●「骨太の方針2023」決定、三位一体の労働市場改革で構造的賃上げ目指す/政府会議

 政府は16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)および「新しい資本
主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」を決定した。骨太方針の副題は「加速す
る新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」。
 「リ・スキリングによる能力向上支援」「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」「成
長分野への労働移動の円滑化」という「三位一体の労働市場改革」により客観性、透明性、
公平性が確保される雇用システムへの転換を図ることで構造的に賃金が上昇する仕組みを作
っていくとしている。
(骨太の方針)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2023/2023_basicpolicies_ja.pdf
(新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2023.pdf
(総理発言)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202306/16keizai_shihon.html
(連合事務局長談話)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=1252
(経団連会長コメント)
https://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2023/0616.html

●「昭和モデル」から「令和モデル」の切替えを/男女共同参画白書

 政府は16日、令和5年版男女共同参画白書を閣議決定した。白書は、近年、若い世代
の理想とする生き方・働き方は変わってきており、それを実現できる社会を作ることが、
今後の男女共同参画社会の形成促進において重要と指摘。
 今こそ、固定的性別役割分担を前提とした長時間労働等の慣行を見直し、「男性は仕
事」「女性は家庭」の「昭和モデル」から、全ての人が希望に応じて、家庭でも仕事で
も活躍できる社会、「令和モデル」に切り替える時であるとしている。
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r05/gaiyou/pdf/r05_gaiyou.pdf
(本文)
https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r05/zentai/pdfban.html

●介護従事者の処遇状況調査結果について議論/厚労省分科会

 厚生労働省は16日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、「介護従事者の処遇
状況等の調査」結果(案)について議論した。同調査は、賃上げ効果の継続に資する取組
として創設された「介護職員処遇改善支援補助金」及び「介護職員等ベースアップ等支
援加算」の影響評価を目的として2022年12月に実施。7,284の介護事業所から回答を得た。
 取組効果を見るため、介護職員の基本給等の変化に着目。処遇改善支援補助金を交付
された事業所の介護職員(月給・常勤)の基本給等は、交付の前後を比較すると9,210円
(4.0%)増加。ベースアップ等支援加算を取得した事業所では、1万60円(4.4%)増
加したことなどが分かった。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33650.html

●EU諸国のテレワーク規制・改正などを特集/厚労省海外情勢報告


 厚生労働省は15日、ホームページに「2022年 海外情勢報告」を公表した。
欧米・アジア各国の労働施策、社会保障施策の概要と最近の動向を掲載。
 ミニ特集として「テレワーク規制の枠組みと近年の改正」(欧州連合)、
「コロナの労働市場への影響」(アメリカ)、「コロナ禍以降の非労働力人口
の増加と人手不足」(イギリス)、を掲載している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/toukei_hakusho/kaigai23.html

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【統計】
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●4月の生産指数、前月比0.7%上昇/鉱工業指数確報

 経済産業省は20日、4月の「鉱工業指数(生産・出荷・在庫、生産能力・稼働率)」
確報値を公表した。生産指数(季節調整済)は105.5で、前月比0.7%の上昇。
業種別にみると、汎用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業、無機・有機化学
工業が上昇し、生産用機械工業、食料品・たばこ工業等が低下。
出荷は同マイナス0.2%低下、在庫は同マイナス0.1%低下、在庫率は同1.8%上昇。
(2023年4月分確報より、基準年次を2015年から2020年に改定。)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
(概要冊子)
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202304kj.pdf

●労災の死亡者数10.9%減、休業4日以上死傷者数0.9%増/厚労省集計

 厚生労働省は19日、2023年の労働災害発生状況(6月速報値)を公表した。
2023年における死亡災害は、死亡者数が244人で前年同期比10.9%減少。業種別
では、建設業71人(同26.0%減)、第三次産業57人(同14.9%減)、製造業51人
(同17.7%減)など。事故の型別では、「墜落・転落」60人(同31.8%減)が最多。
休業4日以上の死傷者数は4万2,201人で、前年同期比0.9%増加。業種別では、
第三次産業の2万842人(同2.1%増)が最多。事故の型別では、「転倒」12,255人
(同0.5%減)、「墜落・転落」6,616人(同1.7%減)など。
なお、今回公表された数値は、新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を
除いたもの。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/23-06.pdf
(統計表)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/index.html

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【動向】
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●図書館で働く非正規職員の処遇改善を自治体へ要望/日本図書館協会

 日本図書館協会は7日、全国の自治体に宛てた要望書「図書館非正規職員の処遇に
ついてのお願い」をホームページに掲載した。
 同協会の調査によると、国内の公立図書館で働く職員の76%が雇用期間等が限定さ
れた「非正規職員」。要望書では、非正規職員について、専門性の観点からの賃金・
労働条件の改善、雇用更新時の適正な運用(公募でなく勤務実績による能力実証)な
どを求め、低価格競争等による低すぎる委託費は、図書館サービスの質の低下を招く
と警鐘を鳴らしている。
https://www.jla.or.jp/home/news_list/tabid/83/Default.aspx?itemid=7009

●1~5月の「人手不足」倒産、前年同期比2.4倍/民間調査

 東京商工リサーチは13日、「人手不足」関連倒産に関するレポートを発表した。
2023年1~5月の「人手不足」関連倒産は累計56件(前年同期23件)と2.4倍に増加。
1~5月期では調査開始の2013年以降、深刻な人手不足が広がった2019年同期の65件
に次いで2番目に多かった。
 要因別では、56件のうち「求人難」22件、「人件費高騰」21件、「従業員退職」
13件。前年(23件)は「求人難」14件、「従業員退職」9件が占め、「人件費高騰」は
ゼロだった。
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197727_1527.html

●派遣社員のリスキリングについて調査/民間調査

 パーソル総合研究所は14日、「派遣社員のリスキリングに関する定量調査」の結果
を発表した。全国の男女就業者の「派遣社員」1,000人および「無期雇用社員(正規雇
用)」1,000人を対象にインターネット調査を実施。
 学びへの全般的な意欲は派遣社員と無期雇用社員で大きな差は見られないが、「学ぶ
ためのお金の余裕」への課題感が派遣社員で高く、学習行動については、派遣社員の
78.0%が「特に何も行っていない」と回答。学習時間も無期雇用社員のほうが約2倍
多かった。派遣社員は無期雇用社員と比べ、スキルが蓄積されにくく、キャリアへの
不安が全般的に高い傾向がある、などとしている。
https://rc.persol-group.co.jp/news/202306141000.html

●社長の平均年齢60.4歳、過去最高を更新/民間調査

 帝国データバンクは15日、「全国『社長年齢』分調査(2022年)」結果を発表した。
それによると、2022年時点の社長の平均年齢は60.4歳で、32年連続の上昇および過去
最高を更新した。「50歳以上」の社長が8割を上回り、5年間で3ポイント上昇。
業種別では「不動産」(62.5歳)が最も高い。都道府県別では、トップが「秋田県」
(62.4歳)、最も低いのが「三重県」(59.1歳)だった。調査は、同社が保有する企業デ
ータ(約147万社)から抽出・集計・分析したもの。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p230606.html

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【企業】
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●「禁煙宣言」の制定とAI予測による保健指導を実施/日本郵政グループ

 日本郵政グループは13日、健康経営の推進の一環として「禁煙宣言」の制定、及び
ビッグデータを活用したAI予測による保健指導の実施について発表した。
 同グループでは、社員の喫煙率が国の調査結果と比べて非常に高いため、禁煙意識
の醸成や禁煙にチャレンジする社員へのサポート等に取り組むとしている。また、グ
ループ約40万人の健診結果(ビッグデータ)を基に、次回健診でハイリスクになる可
能性が高い社員をAIで予測。該当社員に医療機関への早期受診を促す取組みも行う。
https://www.japanpost.jp/pressrelease/jpn/2023/20230613184010.html

●早期退職優遇制度に78名が応募/カシオ計算機

 カシオ計算機は20日、早期退職優遇制度に78名が応募したと発表した。同社は5月、
開発部門、生産管理部門、サービス部門、物流部門に在籍する勤続10年以上で50歳以上
の社員(マネジャーを除く)を対象に早期退職優遇制度の実施を発表。優遇措置として、
通常の退職金に特別退職金を加算して支給し、希望者には再就職支援を行う。退職日は
2023年8月20日。
https://www.casio.co.jp/content/dam/casio/global/corporate/ir/2023/20230620/20230620.pdf
(早期退職優遇制度の実施について/2023年5月11日)
https://www.casio.co.jp/content/dam/casio/global/corporate/ir/2023/20230511/20230511_2.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<ILO>
▽雇用の回復と社会的保護から取り残される低所得国―ILOモニター第11版

 ILOは5月31日、新型コロナウイルス「COVID-19と仕事の世界(ILOモニター第11版)」
の最新版を発表した。同報告書は、多重危機の状態によって発展途上国の回復が滞り、
高所得国との格差が縮まらないことを示している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/06/ilo_02.html

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【法令】
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●労働関係法令一覧(2023年4月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202304.html

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【イベント】
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●フォーラム「『助けて』といえる社会をつくる~社会正義の実現に向けて」/ILO・ろうきん

 ILO駐日事務所と全国労働金庫協会は、6月30日(金)に、フォーラム「『助けて』と
いえる社会をつくる~社会正義の実現に向けて」を会場(渋谷区)とオンラインで開催
する。生活困窮者の自立支援に取り組むNPOのリーダーを迎え、「助けてといえる社会」
「ひとりも取り残されないまちづくり」に向けた対話を通じ、社会正義の実現、共生
社会に向けた連帯について考える。参加無料。申込フォームから申し込む。先着順、
締切日6月23日(金)。
https://all.rokin.or.jp/association/press/file/20230531_leaflet.pdf
(申込フォーム)
https://forms.gle/vC7JRTyVvDNvvrvAA

●シンポジウム「セーフティネットと集団―新たなつながりを求めて」/連合総研

 連合総研は8月7日(月)にシンポジウム「セーフティネットと集団―新たなつながり
を求めて」をオンライン(ZOOMウェビナー)で開催する。連合総研「with/afterコロナの
雇用・生活のセーフティネットに関する調査研究委員会」が取りまとめた分析・考察に
ついての報告(シンポジウムと同タイトルで今年5月に刊行)し、同委員会に参加・執筆
者をパネリストに討論を行う。受講無料、申込ページより登録する(定員になり次第締切)。
https://www.rengo-soken.or.jp/info/2023/06/151737.html

●「第82回全国産業安全衛生大会 in 名古屋」/中央労働災害防止協会

 中央労働災害防止協会は、9月27日(水)~29日(金)の3日間、「第82回全国産業
安全衛生大会 in 名古屋」を名古屋市で開催する。化学物質管理やDXなどをテーマに、
事業場からの研究発表、専門家の講演など、総数190を超えるプログラムを実施する。
参加費16,500円。
https://jisha-taikai2023.com/