メールマガジン労働情報 No.1866

■□――【メールマガジン労働情報/No.1866】

2023年度の消費者物価見通しを1.8%に引き上げ/日銀「経済・物価情勢の展望」 ほか

―2023年5月12日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】2023年度の消費者物価見通しを1.8%に引き上げ/日銀「経済・物価情勢の展望」 ほか
【統計】実質賃金2.9%減少、12カ月連続のマイナス/毎勤統計調査3月速報値 ほか
【労使】最後の最後まで賃上げにこだわった交渉を/連合系メーデー ほか
【動向】「賃金増加幅より物価上昇幅の方が大きい」との回答が6割超え/連合総研調査
【企業】多様な人財の能力を引き出す新人事制度を導入/SOMPOひまわり生命保険
【海外】最低賃金の分析と展望―WSI・IMK共同研究/ドイツ ほか
【イベント】「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.269『諸外国の失業保険制度のオンライン化に関する調査
―アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、韓国―』

 2022年6月閣議決定された規制改革実施計画では、失業認定を含む雇用保険受給関連
手続きについて、「デジタル技術を活用した行政サービスの見直し」に関する意見も
得たうえで、対応の方向性を検討する方針が示されました。諸外国の失業認定を含む
雇用保険の受給関連手続きのオンライン化の状況について情報収集したところ、
オンライン化の進展度は各国で異なること、コロナ禍により対面での手続きを
電話やオンライン等「非接触型」に切り替える動きが進んだことがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2023/269.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆2023年度・第72回東京労働大学講座 総合講座

「人事管理・労働経済」部門 開講中!
  2023年5月9日(火曜)~7月5日(水曜)
「労働法」部門 受講者募集中!
  2023年7月11日(火曜)~8月31日(木曜)

開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

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【行政】
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●2023年度の消費者物価見通しを1.8%に引き上げ/日銀「経済・物価情勢の展望」(23年4月)

 日本銀行は4月28日、「経済・物価情勢の展望(2023年4月)」を発表した。
日本経済の先行きについて、今年度半ばにかけては資源高などの下押し圧力を受けつつも
ペントアップ需要などにより「緩やかに回復」、その後は「潜在成長率を上回る成長を
続け」るが、見通し期間終盤にかけて「ペース鈍化の可能性が高い」としている。
「政策委員の大勢見通し」では、23年度の実質GDPは前回1月の1.7%から1.4%に
引き下げ、消費者物価指数は1.8%(同1.6%)に引き上げ。雇用者所得については、
「正規・非正規とも雇用が増加し」、「労働需給の引き締まりや物価上昇を反映して
賃金上昇率も高ま」り、「増加を続ける」としている。
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304a.pdf
(全文)
https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304b.pdf

●2023年版「中小企業白書・小規模企業白書」を公表/中小企業庁

 中小企業庁は4月28日、2023年版「中小企業白書・小規模企業白書」を公表した。
同白書では、中小企業・小規模事業者の動向に加えて、中小企業・小規模事業者が
物価高騰や深刻な人手不足など、マクロ経済環境が激変する時代を乗り越えるためには、
価格転嫁に加えて、「国内投資の拡大、イノベーションの加速、賃上げ・所得の向上の
3つの好循環」を実現することが重要との観点等から、企業事例を交えて分析している。
https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230428003/20230428003.html
(報道発表資料)
https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230428003/20230428003-2.pdf
(概要)
https://www.meti.go.jp/press/2023/04/20230428003/20230428003-1.pdf

●産業雇用安定助成金に事業再構築支援コースを創設/厚労省

 厚生労働省は4月1日付けで、産業雇用安定助成金に新たに事業再構築支援コースを
設置した。この助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響等で事業活動の一時的縮小
を余儀なくされた事業主を対象に、新たな事業への進出など、事業再構築に必要な
新たな人材の受入れを支援するもの。労働者1人当たりの年間助成額は、中小企業では
280万円 、中小企業以外では200万円。1事業主あたり5人を上限とする。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/sankokinjigyou-saikouchiku.html
(パンフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001078600.pdf

●労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)を公表/中災防

 中央労働災害防止協会は、「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト(2023年改正版)」
を公表している。過重労働による健康障害防止のため労働者自身が疲労の蓄積をセルフチェック
するツールで、2023年版は「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの見直しに関する
検討委員会」の検討に基づき、勤務状況について、「職場・顧客等の人間関係による負担」や
「終業時刻から次の始業時刻間の休息時間」(勤務間インターバル)等を、自覚症状については
「食欲がないと感ずる」を追加した。
https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202304_02.pdf
(検討委員会報告書)
https://www.jisha.or.jp/research/pdf/202304_01.pdf

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【統計】
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●実質賃金2.9%減少、12カ月連続のマイナス/毎勤統計調査3月速報値

 厚生労働省は9日、3月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比0.8%増の29万1,081円、
うち一般労働者が同1.3%増の38万82円、パートタイム労働者が同2.1%増の
10万1,038円。一方、現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金では、
前年同月比2.9%減。実質賃金の減少は12か月連続となった。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2303p/dl/pdf2303p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r05/2303p/2303p.html

●景気の現状判断DIは54.6、前月差1.3ポイントの上昇/4月景気ウォッチャー調査

 内閣府は11日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた
2023年4月の「景気ウォッチャー調査」の結果を公表した。現状判断DI
(季節調整済)は、前月差1.3ポイント上昇の54.6となり、3カ月連続で上昇した。
家計動向関連、企業動向関連、雇用関連DIは、いずれも上昇した。先行き判断DI
(同)は、同1.6ポイント上昇の55.7。調査結果について、「景気は、持ち直している」
とし、先行きについては、「価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しが続くと
みている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0511watcher/bassui.html
(調査結果全体版)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0511watcher/watcher1.pdf
(統計表等)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0511watcher/menu.html

●一致指数の基調判断は「足踏みを示している」で据え置き/3月景気動向指数

 内閣府は10日、2023年3月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状
を示す「一致指数」は98.7で、前月と比較して横ばい。「耐久消費財出荷指数」
「生産指数(鉱工業)」などがプラスに寄与、「有効求人倍率」「商業販売額
(卸売業)」がマイナスに寄与。一致指数の基調判断は「足踏みを示している」で
据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
(概要)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202303psummary.pdf

●二人以上世帯の消費支出、前年同月比1.9%減/3月家計調査報告

 総務省は9日、3月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯
当たりの消費支出は、実質で前年同月比1.9%減、前月比(季節調整値)0.8%減
の31万2,758円。支出項目別でのマイナス寄与は、諸雑費などの「その他の消費支出」
(マイナス2.53%)、授業料、補習教育などの「教育」(マイナス0.70%)など。
プラス寄与は「教養娯楽」(0.95%)など。勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、
1世帯当たり実質で49万8,581円(前年同月比4.5%減)。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
(報道発表資料)
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

●消費者マインドの基調判断、「持ち直している」に上方修正/4月消費動向調査

 内閣府は1日、2023年4月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数
(二人以上の世帯、季節調整値)」は、前月比1.5ポイント上昇し35.4。指数を構成する
各指標について、「耐久消費財の買い時判断」が 2.8 ポイント上昇し 29.2、
「暮らし向き」が 1.9 ポイント上昇し 32.2となった。「収入の増え方」が38.1、
「雇用環境」が42.0となり、ともに 0.7 ポイントの上昇。消費者マインドの基調判断は、
「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に上方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
(統計表等)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

●こどもの数は1,435万人、42年連続の減少/総務省統計局推計

 総務省は4日、5月5日の「こどもの日」にちなんで、2023年4月1日現在のこどもの
数(15歳未満人口)の推計を発表した。それによると、こどもの数は1,435万人で
42年連続の減少。こどもの割合は11.5%で49年連続の低下。都道府県別では、こどもの
割合は沖縄県(16.3%)が最も高く、秋田県(9.3%)が最も低くなっている。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukei03_01000113.html

●生活保護の申請件数、前年同月比20.5%増/2月被保護者調査

 厚生労働省は10日、生活保護法に基づく「被保護者調査」(2023年2月分概数)
結果を公表した。保護の申請件数は1万9,321件で、前年同月比3,291件(20.5%)増。
保護開始世帯数は1万7,300世帯で、同2,067世帯(13.6%)増。被保護世帯は
164万2,915世帯で、同1,271世帯(0.1%)増。被保護実人員は202万1,614人で、
同1万2,614人(0.6%)減。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2022/02.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/hihogosya/m2023/dl/02-01.pdf

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【労使】
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●最後の最後まで賃上げにこだわった交渉を/連合系メーデー

 連合などのメーデー中央大会実行委員会は4月29日、東京都渋谷区の代々木公園で
第94回メーデー中央大会を開いた。今年は2019年までのコロナ禍前と同様、参加者数に
上限を設けない形で開催。2万8,500人(主催者発表)が参加した。
また、岸田文雄・首相が現職首相として9年ぶりに出席。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230512a.html
(連合ニュース)
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1970
(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202304/29meidei.html

●大幅賃上げや均等待遇などの実現に向けた運動の推進を/全労連系メーデー

 全労連などの中央メーデー実行委員会は5月1日、第94回中央メーデーを東京都渋谷区の
代々木公園で開いた。You Tube 配信も併用しつつ4年ぶりにコロナ禍以前の制限のない
開催形式のメーデーに戻し、約1万5,000人(主催者発表)が参加した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230512b.html
(第94回メーデー宣言)
https://www.zenroren.gr.jp/jp/zenroren_mayday/wp-content/uploads/2023/04/230421_01.pdf

●誰ひとり取り残されない社会の実現を/全労協系の日比谷メーデー

 全労協など日比谷メーデー実行委員会は5月1日、第94回日比谷メーデーを
東京都千代田区の日比谷公園で開催した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230512c.html

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【動向】
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●「賃金増加幅より物価上昇幅の方が大きい」との回答が6割超え/連合総研調査

 連合総研は4月28日、第45回勤労者短観「勤労者の仕事と暮らしに関する
アンケート」調査結果を発表した。1年前と比べた景気認識DI値はマイナス33.3で、
前回調査(2022年10月)比13.9ポイントの改善。1年後のDI値はマイナス23.2と、
前回調査(マイナス34.3)から改善するとの認識が強まっている。物価認識DI値は
プラス68.1と過去最高を更新、前回調査に続き物価は上昇しているとの認識が
極めて強く、今後も上昇するとの認識が高い水準で続いており、賃金の増加幅よりも
物価上昇幅の方が大きいと回答した割合は、61.2%としている。なお、今回調査では
「リスキリング」や「在宅勤務・テレワーク」など4つのトピック調査の結果も
盛り込んでいる。
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2023/04/281154.html
(報道発表資料)
https://www.rengo-soken.or.jp/work/6258aaaf2b319362e0375a46386febf11683062b.pdf

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【企業】
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●多様な人財の能力を引き出す新人事制度を導入/SOMPOひまわり生命保険

 SOMPOひまわり生命保険は4月28日、多様な人財の能力を引き出すため新たな人事制度を
導入したと発表した。主な内容は、(1)同性パートナーを配偶者とみなす「パートナー
シップ・ファミリーシップ制度」、(2)各種資格取得のための勉強やキャリアコンサルタント
との面談など、自律的なキャリア形成に資する取組みに充当する時間・機会として2日間
付与する「キャリア休暇」、(3)所定の疾病に罹患した社員が治療しながら安心して働き
続けることができるよう、短時間やシフト勤務、週4勤務などを盛り込んだ両立支援制度。
https://www.himawari-life.co.jp/-/media/himawari/files/company/news/2023/a-01-2023-04-28.pdf

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<ドイツ>
▽最低賃金の分析と展望―WSI・IMK共同研究

 ハンスベックラー財団所属の経済社会研究所(WSI)とマクロ経済景気動向研究所(IMK)
は2023年3月、最低賃金の分析と今後の展望に関する共同研究結果を発表した。それによると、
22年10月に政治主導で引き上げられた最低賃金(時給12ユーロ)は、約600万人に恩恵を
もたらしたものの、現時点では賃金中央値の53.2%相当に過ぎず、EUが求める「60%以上」の
水準を下回っていた。今後この水準を達成するためには、少なくとも時給13.16~13.53ユーロ
に引上げる必要があると分析している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/05/germany_01.html

▽公共分野の賃金交渉が妥結

 連邦政府や地方自治体に従事する約250万人の労働者が影響を受ける公共分野の賃金交渉が
4月22日、妥結した。これまで、物価高騰や地方自治体の逼迫した予算状況等を背景に
労使の折合いがつかず、各地で警告ストライキが頻発していた。今後は妥結の可否を問う
組合員投票を経て、23年1月から遡及適用される見込みである。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/05/germany_02.html

<中国>
▽「偽装雇用」を厳禁―公共サービスの民間委託

 中国政府は2023年3月31日、「公共サービスの民間委託(政府調達)改革についての通知を
発表した(以下:「通知」)。公共サービスの民間委託の重要分野として、雇用サービス支援、
教育・医療・保健サービス、コミュニティの社会保障サービスなどを挙げ、サービスの質の
向上や管理の強化、「偽装雇用」の厳禁などの方針を示している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2023/05/china_01.html

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【イベント】
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●「派遣先事業主・責任者研修会」/東京労働局

 東京労働局は5月17日、「派遣先事業主・責任者研修会」を港区で開催する。
男女雇用機会均等法等の派遣労働者への適用、派遣労働者と労働基準法等の適用、
外国人在留支援センターの紹介など、労働者派遣にかかわる様々なルールを説明
する。対象は主に、派遣労働者を受け入れている事業主。受講無料。定員50名。
申込期間は5月15日まで。次回は7月19日に同内容で開催予定。
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/news_topics/jyukyuuchousei_050517.html

●初めて労働法を学ぶ方に!「労働法基礎講座」Zoom&WEBオンデマンド/神奈川県労働福祉協会

 神奈川県労働福祉協会は6月に「基礎からよく分かる!労働法基礎講座」を
Zoomライブ&WEBオンデマンドで開催する。新任の人事労務担当者、労働組合員、
基礎知識の再確認をしたい方を主な対象とした基礎講座。日程は、
1)Zoomライブ講義 6月15日(火)・6月20日(木)14時 ~ 17時 (講義3h×2日)
2)オンデマンド配信  講義翌々日~7月21日(金) まで、期間中は繰返し視聴可能。
受講料15,000円。定員無し。団体申込は割引あり。
https://www.zai-roudoufukushi-kanagawa.or.jp/roudou-basic.html