メールマガジン労働情報 No.1859

■□――【メールマガジン労働情報/No.1859】

技能実習制度の廃止と新制度の創設を提起/法務省有識者会議 ほか

―2023年4月12日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】技能実習制度の廃止と新制度の創設を提起/法務省有識者会議 ほか
【統計】景気の現状判断DIは53.3、前月差1.3ポイントの上昇/3月景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】加重平均1万1,114円・3.70%に/連合の第3回回答集計 ほか
【動向】2022年度の全国企業倒産は6,880件、3年ぶりに前年度を上回る/民間調査 ほか
【企業】人材確保・定着に向けた取り組み/小田急電鉄 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー23-03『縮む日本の中間層:『国民生活基礎調査』を用いた中間所得層に関する分析』

 本研究では、日本の中間層の割合の推移を確認するとともに、その変化の背景にある要因を
明らかにし、中間層割合の上昇に資する政策について検討することを目的として、厚生労働省
「国民生活基礎調査」個票データを用いた集計を行いました。その結果、1985~2018年の間に
日本の中間層の割合は低下しており、特に1985年から2000年までの低下が大きく、2003年以降、
割合は安定的に推移していることなどがわかりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2023/23-03.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆2023年度・第72回東京労働大学講座 総合講座(5月開講、オンライン開催)受講者募集中!

 「人事管理・労働経済」「労働法」の2部門で、現代の労働問題を学習するのに
最適なトピックス31課目を精選して開講します。講師陣には当該分野の第一人者を
網羅し、各学問分野の理論・視点から労働市場の現状や課題、労働問題などについて
講義します。

開講期間:2023年5月9日(火曜)~8月31日(木曜)(31講義日、2試験日)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
     オンデマンド受講ではありません。各講義1回だけの配信となります。
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

☆『労働関係法規集2023年版』 発売中!

 主要な労働関係法規を持ち運びに便利な分量・判型に収めたコンパクトサイズの
法規集です。2023年版では、「公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を
超えて勤務させる場合等の基準を定める政令」「女性の職業生活における活躍の推進
に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令」等を新たに収録するとともに、
「職業安定法」「職業能力開発促進法」「障害者の雇用の促進等に関する法律」
「雇用保険法」等の改正法令を収録しています。
【B6判変型 1,188頁 定価1,980円(本体1,800円)3月27日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/houkishu.html

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【行政】
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●技能実習制度の廃止と新制度の創設を提起/法務省有識者会議

 法務省出入国在留管理庁は10日、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」を開催し、
技能実習制度の廃止などを内容とする「中間報告書(たたき台)」を検討した。「たたき台」は
技能実習制度について、国際貢献等の制度目的と運用実態が乖離していることなどから廃止し、
人材確保と育成を目的とする新制度を創設すること、新制度の職種は、特定技能制度の分野に
そろえること、転籍制限は技能実習制度における人権侵害等も踏まえ、限定的なものにすること、
監理団体は要件を厳格化して支援能力の向上を図ること、悪質な送り出し機関の排除のため
二国間協定などの取組を強化すること、などを提起している。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00063.html
(たたき台概要)
https://www.moj.go.jp/isa/content/001394237.pdf

●最低賃金の目安ランクを3区分に再編することを決定/中央最賃審

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は6日、最低賃金改定の目安のランクを3区分へ
再編する「目安制度の在り方に関する全員協議会報告」を了承した。中央最賃審が
地方最賃審に提示する目安のランクは、地域間格差の拡大抑制、適用労働者数の偏り
の是正を図る等の観点から、4区分を3区分に再編する。新Aランクの6都府県
(東京、大阪等)は従来と変わらないが、新Bランクは、現Bの11県に、現Cの
14道県(北海道、宮城等)、現Dの3県(福島、島根、愛媛)を加えた28道県
とし、新Cランクは現Dのうちの青森、岩手、鹿児島、沖縄等13県とする。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32565.html
(全員協議会報告)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001086133.pdf
(報告・別紙3)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/images/20230412siryo.pdf

●「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」雇用・労働総合政策パッケージを更新/厚労省

 厚生労働省は11日、令和4年10月28日に策定した「賃上げ・人材活性化・労働市場強化」
雇用・労働総合政策パッケージについて、令和5年度政府予算案の国会での成立を踏まえ
更新したと発表した。新規事業のひとつとして、働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等
対応コース)があり、令和6年4月に上限規制の適用が予定されている業務のうち、特に建設業、
自動車運転業など顕著な長時間労働の実態が認められる業種への更なる支援として、助成を行う
としている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32531.html
(別紙2. 4頁・働き方改革推進支援助成金(適用猶予業種等対応コース)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001086449.pdf

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【統計】
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●景気の現状判断DIは53.3、前月差1.3ポイントの上昇/3月景気ウォッチャー調査

 内閣府は10日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた
2023年3月の「景気ウォッチャー調査」の結果を公表した。現状判断DI
(季節調整済)は、前月差1.3ポイント上昇の53.3となり、2ヵ月連続で上昇した。
家計動向関連、企業動向関連、雇用関連DIは、いずれも上昇した。先行き判断DI
(同)は、同3.3ポイント上昇の54.1。調査結果について、「景気は、持ち直している」とし、
先行きについては、「価格上昇の影響等を懸念しつつも、持ち直しが続くとみている」
としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0410watcher/bassui.html
(調査結果全体版)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0410watcher/watcher1.pdf
(統計表等)
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2023/0410watcher/menu.html

●一致指数の基調判断は「足踏みを示している」で据え置き/2月景気動向指数

 内閣府は7日、2023年2月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状
を示す「一致指数」は99.2で、前月と比較して2.8ポイント上昇し、6か月ぶりの上昇。
「鉱工業用生産財出荷指数」「生産指数(鉱工業)」「耐久消費財出荷指数」などが
プラスに寄与、「有効求人倍率」がマイナスに寄与。一致指数の基調判断は、
「足踏みを示している」で据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
(概要)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202302psummary.pdf

●消費者マインドの基調判断、「持ち直しの動きがみられる」に上方修正/3月消費動向調査

 内閣府は10日、2023年3月の「消費動向調査」結果を公表した。「消費者態度指数
(二人以上の世帯、季節調整値)」は、前月比2.6ポイント上昇し33.9。指数を構成する
各指標について、「暮らし向き」が2.6ポイント上昇し30.3、「耐久消費財の買い時判断」が
3.2ポイント上昇し26.4、「雇用環境」が3.0ポイント上昇し41.3、「収入の増え方」が
1.3ポイント上昇し37.4となった。消費者マインドの基調判断は、「弱い動きが見られる」から
「持ち直しの動きがみられる」に上方修正。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/youten.pdf
(統計表等)
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html

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【労使】
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●加重平均1万1,114円・3.70%に/連合の第3回回答集計

 連合(芳野友子会長)は5日、2023春季生活闘争の第3回回答集計結果(3日17時時点)
をまとめた。平均賃金方式で回答を引き出した2,484組合の定期昇給相当分込みの賃上げ額の
加重平均は1万1,114円で前年同時期比4,795円増。賃上げ率は3.70%で、前年同時期を1.59
ポイント上回った。300人未満の中小組合(1,528組合)の加重平均は、8,554円・3.42%で、
こちらも額・率ともに前年同時期を大きく上回っている。賃上げ率はこの時期の集計結果が
残る2013年闘争以降で最も高く、高水準を維持している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230412a.html

●中小でも回答を受けた約7割の組合が賃金改善分を獲得/3月を終えての金属労協と各加盟産別の賃上げ回答状況

 自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線でつくる金属労協(JCM、金子晃浩議長)は
4日、今次闘争での3月31日現在の賃上げ回答集計をまとめた。それによると、回答を引き出した
組合の約8割、中小組合だけでみても約7割の組合が、ベアや賃金改善などの「賃上げ」を獲得。
「賃上げ」額の平均は5,647円と昨年同時期の1,735円を大幅に上回るとともに、賃上げが
復活した2014年以降での最高水準となっている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230412b.html

●正社員組合員、短時間組合員ともに結成以降で最高の引き上げ額/UAゼンセンの3月末までの賃上げ回答状況

 UAゼンセン(松浦昭彦会長)は5日、2023労働条件闘争の3月末までの妥結概況を発表した。
賃上げ額は正社員組合員、短時間組合員ともに、UAゼンセン結成後の2013年賃金闘争以降での
最高となっており、正社員の制度昇給込みの妥結額は1万2,350円で、短時間(パートタイム)
組合員が時給で59.2円となっている。短時間組合員の引き上げ率(5.68%)は正社員組合員の
引き上げ率(4.16%)を8年連続で上回った。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20230412c.html

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【動向】
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●2022年度の全国企業倒産は6,880件、3年ぶりに前年度を上回る/民間調査

 東京商工リサーチは10日、2022年度の全国企業倒産状況を発表した。倒産件数
(負債額1,000万円以上)は6,880件(前年度比15.0%増)で3年ぶりに前年度を上回った。
負債総額は、2兆3,243億7,900万円(同99.0%増)で、5年ぶりに前年度を上回った。
産業別では、2008年度以来、14年ぶりに全産業で前年度を上回り、物価高を背景に、
高止まりする燃料代や人手不足が深刻な運輸業が351件(前年度比43.8%増)と大幅に
増加し、円安などで資材価格が高騰した製造業も802件(同24.1%増)と1.2倍に増えた
としている。
https://www.tsr-net.co.jp/news/status/year/FY2022.html

●67.6%が「リスキリング」を実施/民間調査

 転職サイトを運営するビズリーチは4日、サイト会員と経営・採用担当者を対象に
実施したリスキリングに関する調査結果を発表した。リスキリングに取り組む
ビジネスパーソンは、前回調査(2021年10月実施)より12.8ポイント増加し、67.6%
となる一方で、現在リスキリングに取り組んでいると回答した企業は26.3%だった。
また、95.0%のビジネスパーソンが「自身のスキルについて、将来的に新たなスキルを
身につける必要がある」と感じている。個人でリスキリングに取り組むビジネスパーソンが
増加しており、今後も、新たなスキル習得に積極的な挑戦が増えていくことが推測される
としている。
https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2023/0404.html

●新卒看護職員の離職率が10.3%に増加/民間調査

 日本看護協会は3月31日、「2022年病院看護実態調査」結果を発表した。
離職率(2021年度)は、正規雇用看護職員11.6%(対前年比1.0ポイント増)、
新卒採用者10.3%(同2.0ポイント増)、既卒採用者16.8%(同1.9ポイント増)。
新卒採用者の離職率は同手法による2005年調査以降、初めて10%を超えた。
離職率増加の背景には新型コロナウイルス感染症の影響が一定程度あったと
考えられるとしている。調査は、病院看護職員の需給動向や労働状況、看護業務の
実態などの把握を目的として毎年実施している。
https://www.nurse.or.jp/home/assets/20230301_nl04.pdf

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【企業】
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●人材確保・定着に向けた取り組み/小田急電鉄

 小田急電鉄では3日、人材の確保・定着に向けて、2023年度新卒入社者の初任給引き上げと、
一般従業員の賃金引き上げを実施すると発表した。初任給を23万6,600円(大卒総合職)
に引き上げるとともに、若年層を中心とした処遇改善を行い、一般従業員1人平均月額
1万4,000円程度(4.5%程度)の賃金引き上げを実施するとしている。
https://www.odakyu.jp/news/dq40940000001t1e-att/dq40940000001t1l.pdf

●出生時育児休業を100%有給化/野村不動産グループ

 野村不動産グループは4日、グループ5社において、育児・介護休業法で定める「出生時育児休業
(「産後パパ育休」)」における育児休業取得について、2023年4月以降は有給化(最大 28 日間)
すると発表した。育休取得による経済的な不安を緩和して男性社員の育休取得を支援し、男性社員、
女性社員とも継続的に育児参画できる休暇制度の運用を通じて、安心して育児に取り組める環境整備
に努めるとともに、職場の協力体制構築、性別役割分担意識の変化等の波及効果も期待するとしている。
https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2023040402201.pdf