メールマガジン労働情報 No.1788

■□――【メールマガジン労働情報/No.1788】

民事上の個別労働紛争相談内容、「いじめ・嫌がらせ」が引き続き最多/厚労省 ほか

―2022年7月6日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】民事上の個別労働紛争相談内容、「いじめ・嫌がらせ」が引き続き最多/厚労省 ほか
【統計】5月の完全失業率2.6%、前月比0.1ポイント上昇/労働力調査 ほか
【動向】人流の増加で対面型サービスが改善するも、製造業が停滞/民間調査
【企業】水際対策緩和に伴い諸外国帰省のための特別休暇を付与/メルカリ
【海外】雇用労働者の4人に1人が在宅勤務―連邦統計局調査/ドイツ ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇ディスカッションペーパー 22-10『コロナ禍・中長期における賃金の動向と賃金の上方硬直性に係る論点整理』

 コロナ禍と中長期における賃金の動向を多角的に分析するとともに、賃金の上方硬直性に係る
論点を整理しました。コロナ禍の動きは、2022年前後を境に様相が異なり、一般労働者・パート
労働者ともに「時間当たり賃金」は2020年度中も緩やかに増加したが、21年度に入ると減少し、
その後は一般労働者は横ばい、パート労働者は再び増加したこと、「総実労働時間」は20年5月に
大きく減少し、「賃金総額」を押し下げ、22年1月以降は建設業や医療,福祉などで賃上げに向けた
施策支援等が講じられていることもあり、「時間当たり賃金」が増加していることが分かりました。
また、中長期的な賃金動向については、特に2013年以降の景気回復局面に着目すると、一般労働者・
パート労働者ともに「総実労働時間」の減少がみられた中で、「時間当たり賃金」は増加しましたが、
一般労働者は、1990年代後半と比較すると、抑制的な賃金の上がり方であったと評価でき、賃金に
上方硬直性(上がりにくさ)が生じていることなどが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2022/22-10.html

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【JILPTからのお知らせ】
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☆第121回労働政策フォーラム(オンライン開催)お申込み受付中!

テーマ:転職と中途採用について考える─キャリア採用の取組を中心に
日時:2022年7月22日(金曜)~26日(火曜)
   第1部 研究報告・事例紹介   7月22日~26日(オンデマンド配信)
   第2部 パネルディスカッション 7月26日 14時~15時30分(ライブ配信)
開催方式:オンライン開催(Zoomウェビナー)
参加費:無料(要予約)
定員:1,000名
申込期限:7月21日(木曜)15時まで

 本フォーラムでは、転職経験者を対象に実施したJILPTの調査結果を報告するとともに、
マッチングに携わる人材サービス企業とキャリア採用を導入している企業の取組事例を
交えながら、転職と採用に関する現状や採用後の定着・能力発揮に向けた取組、課題等
について議論します。
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20220726/index.html

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【新型コロナウイルス関連情報】
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▽最近の更新情報(7月5日更新)

 国内統計:賃金
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c10.html

 国内統計:総実労働時間、所定内労働時間、所定外労働時間
 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c11.html

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【行政】
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●民事上の個別労働紛争相談内容、「いじめ・嫌がらせ」が引き続き最多/厚労省

 厚生労働省は1日、2021年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表した。
総合労働相談件数は124万2,579件(前年度比3.7%減)で、14年連続の100万件超。
うち、民事上の個別労働紛争相談件数は28万4,139件(同1.9%増)、相談内容は
「いじめ・嫌がらせ」が8万6,034件(同8.6%増)で、2012年度から連続して最多、
次いで、「自己都合退職」4万501件(同2.5%増)、「解雇」3万3,189件
(同12.3%減)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_00108.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000959370.pdf

●「しなやかな労働市場」の構築に向けた仕組みづくり等を提起/厚労省研究会

 雇用政策研究会は1日、2022年度研究会としての「議論の整理」について検討した。
コロナ禍などの不測の事態、グローバル化やデジタル化による産業構造の変化に柔軟に
対応し、回復力を持つ持続可能な労働市場(「しなやかな労働市場」)の構築に向けて、
労働者のワーク・エンゲージメントと労働生産性の向上、労働者のキャリア形成と企業の
人材育成の促進など4つの仕組みづくりが重要としている。議論の基礎資料ではJILPTの
研究成果が活用されている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_030127159_001_00030.html
(議論の整理・概要版)
https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000959522.pdf
(JILPT研究成果:「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査(JILPT第7回)(一次集計)結果」)
https://www.jil.go.jp/press/documents/20220518a.pdf

●裁量労働制の見直し等についての議論の整理骨子(案)を検討/厚労省検討会

 厚生労働省は1日、第15回「これからの労働時間制度に関する検討会」を開催し、
「これまでの議論の整理・骨子案」について検討した。骨子(案)は、裁量労働制
について、労働者が理解・納得した上での適用と裁量の確保、労働者の健康と処遇の確保、
労使コミュニケーションの促進等を通じた運用を軸として見直すべきではないかとした。
事業場外みなし労働時間制、労働時間規制が適用されない管理監督者の範囲、勤務間
インターバル等の労働時間制度の現状と課題についても言及している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26577.html
(議論の整理・骨子(案))
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000959413.pdf

●7月より歯科技工士も労災保険「特別加入」の対象に/厚労省

 厚生労働省は7月1日より、新たに「歯科技工士」を労災保険の特別加入制度の
対象とした。労災保険は、労働者を対象としているが、「特別加入制度」とは、
労働者以外の者でも一定の要件を満たす場合に任意加入ができるもので、仕事中や
通勤中のケガ、病気、障害または死亡等をした場合、補償を受けることが可能となる。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu_r3.4.1_00008.html
(概要・Q&A)
https://www.mhlw.go.jp/content/000923298.pdf

●「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表/厚労省

 厚生労働省は6月30日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」を公表した。
2021年6月1日から2022年5月31日の間に、都道府県労働局が労働基準法、
労働安全衛生法、最低賃金法、労働安全衛生法等の労働基準関係法令違反の疑いで
送検し公表した内容を集約したもの。
https://www.mhlw.go.jp/content/000958620.pdf
(長時間労働削減に向けた取組)
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html

●ポータルサイト「広域関東de人材シェア!」のお知らせ/経済産業省関東経済産業局

 関東経済産業局は、広域関東圏内に事業所を持つ中小企業等の人材のシェアマッチングを
支援することを目的とした、在籍型出向による受入希望企業の紹介や在籍型出向による
送出希望企業の募集などを実施するポータルサイト「広域関東de人材シェア!」を公開している。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、事業の一時的な縮小等を行う企業と、人材不足等の
企業を在籍型出向により一時的に結びつけるため、管内都県、労働局、産業雇用安定センター等と
連携し運営している。
(「広域関東de人材シェア!」ポータルサイト)
https://kanto-share.meti.go.jp/
(チラシ)
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/jinzai/data/r4tirasi_kouikikanntoudejinnzaishare.pdf

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【統計】
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●5月の完全失業率2.6%、前月比0.1ポイント上昇/労働力調査

 総務省は1日、2022年5月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。
完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月に比べ0.1ポイントの上昇。
完全失業者数は191万人(前年同月比22万人減)で、11カ月連続の減少。
就業者数は6,730万人(同17万人増)で、2カ月連続の増加、雇用者数は
6,036万人(同42万人増)で、3カ月連続の増加。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
(概要)
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

●5月の現金給与総額、前年同月比1.0%増/毎勤統計速報値

 厚生労働省は5日、5月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)
を公表した。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比1.0%増の27万7,016円、
うち一般労働者が同1.2%増の35万7,047円、パートタイム労働者が同1.9%増の
9万7,600円。総実労働時間は同0.8%増の131.1時間。うち、所定内労働時間は
同0.5%増の121.4時間、所定外労働時間は同5.2%増の9.7時間。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2205p/dl/pdf2205p.pdf
(統計表等)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r04/2205p/2205p.html

●5月の新規求人、「宿泊業・飲食サービス業」は前年同月比54%増/一般職業紹介状況

 厚生労働省は1日、「一般職業紹介状況」を公表した。2022年5月の
有効求人倍率(季節調整値)は1.24倍で、前月比0.01ポイント上昇。
新規求人倍率(同)は2.27倍で、同0.08ポイント上昇。新規求人(原数値)は、
前年同月比で17.2%増。産業別では、宿泊業・飲食サービス業(54.3%増)、
製造業(23.9%増)、学術研究、専門・技術サービス業(18.4%増)、
サービス業(他に分類されないもの)(18.4%増)などで増加。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26279.html
(報道発表資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000955477.pdf

●業況判断DI、大企業製造業で3月調査比5ポイント低下/日銀6月短観

 日本銀行は1日、6月の「全国企業短期経済観測調査」(短観)結果を公表した。
業況判断DI(「良い」-「悪い」)は、大企業製造業でプラス9(3月調査比
5ポイント低下)、非製造業でプラス13(同4ポイント上昇)。全産業・規模計で2
(同2ポイント上昇)。雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全産業・規模計で
マイナス24(同横ばい)。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan06b.htm/
(要旨)
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk2206.htm/
(概要)
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2206.pdf

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【動向】
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●人流の増加で対面型サービスが改善するも、製造業が停滞/民間調査

 帝国データバンクは5日、TDB景気動向調査(2022年6月調査)結果を発表した。
景気DIは前月比0.2ポイント増の41.4で、4か月連続の改善。新型コロナウイルスの
感染が落ち着き、人流が復調するなか対面型サービスを中心に上向いた。他方、
サプライチェーンで部品の調達難が継続し、自動車産業を中心とした生産活動の
停滞や原材料価格の高騰が下押し要因となった。国内景気については、「プラスと
マイナスの要因が交錯するなか、業種・地域間で景況感の方向性が分かれ、
4か月連続で改善するも小幅な変動にとどまった」とし、「今後は、物価上昇の
勢いが懸念材料ながらも、緩やかに上向いていくとみられる」としている。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/k220701.html
(詳細)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/202207_jp.pdf

●5割の企業が直近半年間でアルバイトの給与を「上げた」/民間調査

 マイナビは6月27日、「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査」
結果を発表した。直近半年間でアルバイトの給与を「上げた」企業の割合は
50.8%(前年比10.8ポイント増)。業種別では、「ホテル・旅館」(64.0%)
が最多で、同28.2ポイント増。次いで「飲食・フード」(58.8%)で
同17.6ポイント増。給与を上げた理由は「人材確保が難しくなったため」
(42.1%)が最多。コロナ禍が落ち着きはじめ、経済活動再開に向けて
飲食・宿泊業界で人材確保のための給与引き上げが行われたとしている。
https://www.mynavi.jp/news/2022/06/post_34389.html

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【企業】
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●水際対策緩和に伴い諸外国帰省のための特別休暇を付与/メルカリ

 株式会社メルカリは6月27日、水際対策の緩和に伴い諸外国への帰省のための
特別休暇を付与すると発表した。2020年12月下旬から現在まで母国や家族
(配偶者やパートナー、子供、両親、祖父母、兄弟姉妹など)のいる諸外国へ
帰省できなかった社員に対し、2023年6月末までの期間限定で、帰省のための
特別有給休暇を最大10日付与するとしている。
https://about.mercari.com/press/news/articles/20220627_support/

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<ドイツ>
▽雇用労働者の4人に1人が在宅勤務―連邦統計局調査

 連邦統計局が6月14日に発表した資料によると、コロナ禍により在宅勤務者の
割合が倍増し、2021年は4人に1人が自宅等で働いていた。感染症予防法に基づき、
雇用主に課された在宅勤務義務(業務遂行上可能な場合、雇用主が労働者を在宅勤務
させる義務)による影響が大きいと見られるが、22年3月20日に厳しい行動制限が
大幅に緩和され、在宅勤務義務も撤廃された。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/07/germany_01.html

<アメリカ>
▽アップルストアで労組結成へ

 アップル社が運営するメリーランド州のアップルストアで6月15~18日、
労働組合結成の是非を問う従業員投票が行なわれ、賛成多数で可決された。
同社での労組結成は全米で初めて。2021年12月のスターバックス社(ニューヨーク州)、
22年4月のアマゾン社(ニューヨーク市の倉庫)、とこれまで労働組合のなかった
大手企業での組織化が続いている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/07/usa_01.html

▽「10年間で100万人の組織化を」―AFL-CIO大会でシューラー会長

 AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産別会議)は6月12~15日、ペンシルベニア州
フィラデルフィアで定期大会を開いた。エリザベス(リズ)・シューラー会長、
フレッド・レドモンド財務担当書記らの執行部をあらためて選出。労働者の組織化に
優先して取り組む決議などを採択した。シューラー会長は「今後10年間で100万人の
労働者を組織化する」との目標を発表している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2022/07/usa_02.html