資料シリーズ No.95
雇用創出指標・雇用消失指標

平成23年10月21日

概要

研究の目的と方法

本書は、雇用創出と雇用消失の指標の試算に関する報告である。現在、我が国には、事業所において創出された雇用及び消失した雇用の総量を示す公的統計は存在せず、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成21年3月13日閣議決定)において、「事業所の開設及び廃止による雇用増減への影響を把握するため、諸外国で整備されている雇用創出及び消失指標を我が国においても整備する。」とされたところである。そこで、厚生労働省「雇用動向調査」の調査票及び雇用保険適用事業所に関するデータを用いて、事業所新設、廃止に伴う雇用増と雇用減の総数、雇用を増やした事業所における雇用増の総数、減らした事業所における雇用減の総数の推計を試みた。

主な事実発見

平成20年においては、事業所新設による雇用創出が101.8万人、存続事業所における雇用創出が154.3万人、計256.2万人の雇用創出があった。同じ間に、事業所廃止による雇用消失が97.7万人、存続事業所における雇用消失が214.2万人、計311.8万人の雇用消失があり、平成20年は、雇用創出と雇用消失の差55.6万人だけ雇用が減った。

平成17年以降各年の状況は、平成20年も含め、次の図のとおりであった。試算は、産業別、企業規模別、地域別に行った。

図表 平成17年~20年各年における雇用創出、消失、雇用純増(減)の大きさ

図表 平成17年~20年各年における雇用創出、消失、雇用純増(減)の大きさ/資料シリーズNo.95

政策的含意

雇用の変動を、事業所新設に伴う雇用増、存続事業所における雇用増、事業所廃止に伴う雇用減、存続事業所における雇用減に分けてとらえる本指標は、従来の雇用統計にも増して、雇用政策に資するものと思われる。例えば、全体の雇用者数が減り始めたとき、従来は産業別に動きをみて、減り方の大きい産業はどこか、などと見ていくことになるが、本指標があれば、さらに雇用の減が、存続事業所における雇用減が増えたためか、それとも雇用消失の程度は例年と特段変わりなく、事業所の新設が減り、雇用創出に勢いがなくなったからなのか、このようなことが識別できるようになる。同じ雇用者数の減でも、雇用情勢の見方が、ひいては雇用対策も変わってくる。

政策への貢献

政策的含意に述べたように、雇用政策のどこに力点をいれるべきかについて判断材料の一つとなる指標である。雇用創出策、雇用消失防止・緩和策のいずれにするか、さらには、事業所新設(起業)促進、既設事業所の雇用促進、雇用維持のいずれにするか、それによって創業支援、人材育成支援、雇用維持の助成金など、具体的な施策内容が変わってくる。また、逆に、政策効果をより的確に見ることのできる指標であるともいえる。

本文

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研究期間

平成22年度

執筆担当者

石原典明
労働政策研究・研修機構 調査・解析部情報統計担当部長
久古谷敏行
高齢・障害・求職者雇用支援機構 研究企画部長
(労働政策研究・研修機構 前調査・解析部長)
中野 諭
労働政策研究・研修機構 研究員

入手方法等

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