調査シリーズNo.212
管理職の働き方に関する調査

2021年7月29日

概要

研究の目的

管理職(事業所で監督及び管理の地位にあり、時間外労働や休日労働に対する割増賃金の対象とならない労働者)の働き方等の実態を把握することを目的とした。なお、2005年に実施されたアンケート調査結果(平成16年厚労省委託研究「管理監督者の実態に関する調査研究報告書」(平成17年3月31日、社団法人日本労務研究会)において結果報告がなされた平成17年2月に実施の「管理監督者に関するアンケート調査」(以下、「平成17年調査」という。))からの経年変化をみることも目的の一つとした。

研究の方法

アンケート調査(事業所調査、管理職調査)結果の分析

調査方法
郵送配布、郵送回収(管理職票は本人が直接返送)
調査時期
2020年10月1日~10月30日(調査時点:10月1日)
調査対象

事業所調査:全国における10人以上規模の1万5,000事業所(農林漁業、公務を除く。)

調査対象事業所

信用調査機関が保有する事業所データベースから、産業・従業員規模別に、以下の通り上場・非上場等の条件も含めて抽出した。なお、調査結果(全数)については、母集団の分布に基づく復元値を使用した。

  • 50人以上規模事業所:1万事業所

    上場企業の事業所と非上場企業の事業所から各5,000事業所を抽出した。なお、上場と非上場の各区分の割付数は、その合計が、母集団(平成28年経済センサス活動調査・事業所集計)の規模・産業比率と合うように調整した(平成17年調査と同様の方法によった。)。

  • 10~49人規模:5,000事業所

    上場企業の事業所と非上場企業の事業所から各2,5000事業所を抽出した。抽出方法は「50人以上規模」と同じ。

管理職調査:計3万名

調査対象事業所で管理職2名(原則、ライン職、スタッフ職各1名)に配布

有効回収状況

事業所票:3,183件(うち50人以上規模2,279件)/有効回収率:21.2%(うち50人以上規模22.8%)

管理職票:4,278件(うち50人以上規模3,140件)/有効回収率:14.3%(うち50人以上規模15.7%)

主な事実発見

※調査票の設計上、各事業所によってはあてはまらない質問事項もあることから、特に断りのない限り、百分率は無回答を除いた母数を用いた。

1 事業所における人事等級制度のタイプ

<職能資格制度は6割弱、職務等級制度は約3割>
  • 事業所における人事等級制度のタイプをみると、職能資格制度は6割弱、職務等級制度は約3割となっている(図表1)。

  • 事業所規模別にみると、「職能資格制度」の割合は、1,000人以上規模では7割強、1,000人未満規模では、5割強から6割弱、「職務等級制度」は1,000人以上規模では1割強、1,000人未満規模では3割程度となっている。

  • 50人以上規模事業所のデータにより平成17年調査と比較すると、大きな変化はみられない。

図表1 人事等級制度のタイプ〔事業所規模別〕(単位:%)

図表1画像

2 事業所における業務・労務管理の運営についての決定権

<管理職調査によれば、社員の地位の根幹及び重要な労働条件を含めて決定プロセスに関与している者が半数以上になっているのは、基本的に課長クラス以上>
  • 事業所調査によれば、事業所の業務・労務管理の運営について半数以上の事業所で決定権があるとしているのは、基本的にライン職では部長クラス以上、スタッフ職では支社長等クラス(ただし、正社員の地位の根幹及び重要な労働条件に関する事項の一部については、ライン職でも支社長等クラス以上)。

    半数以上の事業所で決定プロセスに関与があるとしているのは、基本的にライン職では課長クラス以上、スタッフ職では支社長等クラス(ただし、正社員の地位の根幹及び重要な労働条件に関する事項の一部については、ライン職では基本的に部長クラス以上)。

  • 管理職調査によれば、決定権がある者が半数以上の事項があるのは、支社長等クラスのみ。

    決定プロセスに関与している者が半数以上になっているのは、基本的に、ライン職では課長代理クラス又は係長クラス以上、スタッフ職では課長クラス以上(ただし、事業所の中長期計画、社員の地位の根幹及び重要な労働条件に関する事項の一部については、基本的に、ライン職では課長クラス以上、スタッフ職では部長クラス以上)。

3 管理職の月間総実労働時間数

<管理職の月間総実労働時間の分布は、「150時間以上170時間未満」が約3割と最も高い割合>
  • 管理職の月間総実労働時間の分布をみると、「150時間以上170時間未満」の占める割合が約3割、次いで「170時間以上190時間未満」の3割弱、「190時間以上220時間未満」の2割強の順、「220時間以上」は約1割となっている。総実労働時間数は、177.4時間であった(図表2)。

  • 役職クラス別にみると、支社長等クラス及び課長代理クラスでは、「220時間以上」の割合が1割超となっている。総実労働時間数は、支社長等クラス(180.5時間)が最も長くなっている。

  • 50人以上規模事業所のデータにより平成17年調査と比較すると、平成17年調査では、全体では、「190時間以上220時間未満」(30.5%)の割合が最も高くなっていたが、令和2年調査では「150時間以上170時間未満」(30.2%)の割合が最も高くなっており、労働時間の分布は、短くなる方向に移動する傾向にある。また、「220時間以上」の割合は、全体で平成17年調査の17.5%から令和2年調査の9.4%へと8.1ポイント低下した。

図表2 月間総実労働時間数の分布(単位:%、時間)

4 管理職の深夜労働に対する割増賃金の取扱い

<深夜労働の割増賃金については、管理職の約7割が支払われていると回答。管理職の深夜労働に対する割増賃金制度の必要性については、管理職の約9割が必要と回答>
  • 事業所調査においては、管理職の深夜労働に対する割増賃金の支払の有無については、約7割の事業所で支払っていると回答し、管理職の深夜労働に対して割増賃金を支払う制度の必要性について、9割弱の事業所が必要と回答(図表3、図表4)。

  • 50人以上規模事業所(事業所調査)のデータにより平成17年調査と比較すると、管理職の深夜労働に対する割増賃金を支払っている事業所の割合は、平成17年調査の4割強(41.7%)から令和2年調査の8割弱(75.9%)へと3割強(34.2ポイント)高まった。管理職の深夜労働に対して割増賃金を支払う制度は必要であるとする事業所の割合は、平成17年調査の約5割(50.4%)から令和2年調査の9割弱(88.2%)へと4割弱(37.8%)高まった。

図表3 管理職の深夜労働に対する割増賃金の支払の有無〔事業所調査〕(単位:%)

図表3画像

図表4 監督または管理の地位にあるものに対する深夜労働の割増賃金制度は必要か〔事業所調査〕(単位:%)

図表4画像

  • 一方、管理職調査においては、管理職の深夜労働に対する割増賃金の支払の有無については、管理職の約7割が支払われていると回答し、管理職の深夜労働に対して割増賃金を支払う制度の必要性について、管理職の約9割が必要と回答(図表5、図表6)。

  • 50人以上規模事業所(管理職調査)のデータにより平成17年調査と比較すると、管理職の深夜労働に対する割増賃金が支払われている管理職の割合は、平成17年調査の約5割(50.4%)から令和2年調査の約7割(70.6%)へと約2割(20.2%)高まった。管理職の深夜労働に対して割増賃金を支払う制度は必要であるとする管理職の割合は、平成17年調査の6割強(64.5%)から約9割(89.3%)へと2割強(24.8%)高まった。

図表5 管理職に対する深夜労働の割増賃金が支払われているか〔管理職調査〕(単位:%)

図表5画像

図表6 監督または管理の地位にあるものに対する深夜労働の割増賃金制度は必要か〔管理職調査〕(単位:%)

政策的インプリケーション

  • 管理職の事業所の業務・労務管理の運営についての決定権と決定プロセスへの関与の度合いをみると、管理職自身は、自己の担当分野における決定権を有するというよりも、当該分野における決定プロセスへの関与をもって、経営者と一体の立場で事業主の経営に関する決定に参画していると認識しているとみることができる。

  • 事業所の中長期計画や社員の地位の根幹及び重要な労働条件等も含めて決定プロセスに関与していると認識している管理職の割合が半数以上となっている役職クラス(ライン職)は、基本的に課長クラス以上となっている。

  • 管理職の深夜労働に対して割増賃金を支払う制度の必要性については、事業所及び管理職ともに必要とする割合は9割程度となっており、その必要性についての認識度は高い水準にあるといえる。

政策への貢献

厚生労働省において、管理監督者の雇用管理等の在り方の検討の基礎資料として活用されるほか、必要に応じた対策を講じるための参考資料として活用されることが見込まれる。

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

緊急調査

研究期間

令和2~3年度

担当者

松淵 厚樹
労働政策研究・研修機構 統括研究員

入手方法等

入手方法

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成果普及課 03(5903)6263

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