調査シリーズNo.195
「企業における退職金等の状況や財形貯蓄の活用状況に関する実態調査(企業調査)」および「勤労者の財産形成に関する調査(従業員調査)」

2020年3月13日

概要

研究の目的

我が国における高齢化や職業生活が長期化する中、企業等における退職金制度の実態や勤労者財産形成促進制度の利用状況等について、現状を詳しく把握するために調査した。なお、本調査は厚生労働省雇用環境・均等局勤労者生活課からの要請により実施したものである。

研究の方法

アンケート調査(企業・従業員調査)。調査対象は、平成28年経済センサス・活動調査の企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業情報データベースから産業・規模別に層化無作為抽出した従業員規模10人以上の企業10,000社。および、その企業に勤務する従業員39,421人(企業規模に応じて29人以下の企業には3枚、30~299人の企業には5枚、300人以上の企業には12枚の従業員票を配布)。調査方法は郵送配布、郵送回収。調査期間は令和元年5月17日~6月14日。調査時点は平成31年4月30日現在。

主な事実発見

企業調査によれば、一般財形、年金財形、住宅財形の各財形貯蓄制度のうち、いずれか一つでも導入している企業は全体の35.2%であった。従業員規模別にみると、300人以上の企業では73.3%が導入している一方で、30人未満の企業では24.6%に留まっているなど、従業員規模が大きいほど導入が進んでいる状況にあった。(図表1A

正規雇用従業員の平均年齢別にみると、40代前半の企業において導入が最も進んでいる状況であった(図表1B)。正規雇用従業員の離職率別にみると、離職率が20%を超える企業での導入は15.0%に留まっているが、離職率が10%未満の企業では38.8%が導入しており、離職率が低い企業ほど導入が進んでいる状況にあった(図表1C)。創業年別にみると、2000年以降の企業での導入は14.2%に留まっている一方で、1980年以前の企業では47.3%が導入しており、創業年が古い企業ほど導入が進んでいる状況にあった(図表1D)。

図表1A 財形貯蓄制度の導入率
(従業員規模別、単位:%)

図表1a画像

図表1B 財形貯蓄制度の導入率
(正規雇用従業員の平均年齢別、単位:%)

図表1b画像

図表1C 財形貯蓄制度の導入率
(正規雇用従業員の離職率別、単位:%)

図表1c画像

図表1D 財形貯蓄制度の導入率
(創業年別、単位:%)

図表1d画像

従業員調査によれば、正規雇用社員の年齢別での財形貯蓄制度の利用状況は、40歳未満では明確な傾向はみられなかったが、40歳から60歳にかけては高齢なほど利用したことがある人の割合が高い傾向にあった(図表2)。年齢による利用状況の差異を、更に退職・転職経験の有無によって区分して比較すると、35歳頃までは両者に明確な差異はみられなかったが、35歳以降では退職・転職経験がある人ほど利用経験が低い傾向にあった(図表3)。

図表2 財形貯蓄制度を利用したことがある人の割合(年齢別)

図表2画像

注:図中の記号の大きさは、各年齢でのサンプルサイズの大きさを示している。正規雇用社員を対象に集計。

図表3 財形貯蓄制度を利用したことがある人の割合(年齢別および転職・退職経験の有無別)

図表3画像

注:図中の記号の大きさは、各年齢でのサンプルサイズの大きさを示している。正規雇用社員を対象に集計。

政策的インプリケーション

従業員規模が大きい企業ほど財形貯蓄制度の導入が進んでいる傾向にある。財形貯蓄制度の利用状況は就業形態、年齢、転職・退職経験の有無などによって差異がみられる。財形貯蓄制度を利用する理由として、「給与天引きにより簡単に貯蓄できる」ことを挙げる人が多く、勤労者の容易な貯蓄手段の一つとして機能している。一方、比較的規模の小さい企業や新しい企業、若い従業員の間で普及していない実態がある。特に、企業側・労働者側の双方から、制度利用に際する事務手続きの簡素化を望む声が挙がっており、これらは今後の課題と思われる。

政策への貢献

第20回労働政策審議会勤労者生活分科会で活用。

本文

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研究の区分

情報収集

研究期間

平成30年度~令和元年度

調査担当者

下島 敦
労働政策研究・研修機構 調査部 統計解析担当部長
上村 聡子
労働政策研究・研修機構 調査部 主任調査員
岩田 敏英
労働政策研究・研修機構 調査部 調査員

関連の研究成果

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