調査シリーズNo.186
過半数労働組合および過半数代表者に関する調査

平成30年12月27日

概要

研究の目的

近年、労働組合組織率の低下傾向が続く一方、労働関係法令上の「過半数代表」(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)の役割が拡大してきている。本調査は、事業場における「過半数代表」の選出状況や過半数代表者の選出方法等の実態を把握するため実施するものである。

研究の方法

事業所に対するアンケート調査

※全国の常用雇用者2人以上の(農林漁業、公務を除く)2万事業所を対象に調査票を配付し、7,299事業所の有効票を回収。有効回収率36.5%。なおウェイトバック集計後の本調査の集計対象は6,458事業所である。

主な事実発見

労働組合の状況

  • 事業所における労働組合の状況は、「労働組合がある」が12.6%(「労働組合が1つある」11.9%+「労働組合が2つ以上ある」0.8%)、「労働組合はない」が82.8%、「わからない」が2.3%、「無回答」が2.3%だった。
  • 労働組合がある事業所のうち、1つあるのが9割以上(93.8%)を占め、2つ以上あるのは6.1%である。
  • 労働組合がある事業所のうち、「過半数労働組合がある」割合は65.5%であり、全体の8.3%を占める。(図表1

図表1 労働組合の有無、過半数労働組合の有無(%)

図表1画像

「過半数代表」の状況

  • 過去3年間に、「過半数代表者を選出したことがある」事業所は43.1%、「過半数代表者を選出したことがない」事業所は36.0%、「不明(選出したことがあるか分からない)」が10.1%、「無回答」が2.5%だった。
  • 「過半数代表(事業場における過半数労働組合または過半数代表者)」が「いる」のは全体の51.4%、 「いない」が36.0%などとなった(図表2)。
  • 事業所規模別にみると、「過半数代表」がいる割合は、「9人以下」35.7%、「10~29人」69.5%、 「30~99人」85.5%、「100~299人」92.7%、「300~999人」94.3%など、事業所や企業規模が大きくなるほど高くなる。

図表2 「過半数代表」の選出状況(n=6,458,%)

図表2画像

過半数代表者の選出方法・選出頻度・職位

  • 過半数代表者を選出したことがある事業所に選出方法を尋ねたところ、「投票や挙手」30.9%、「信任」22.0%、「話し合い」17.9%、「親睦会の代表者等、特定の者が自動的になる」6.2%、「使用者(事業主や会社)が指名」21.4%、「その他」0.3%、「無回答」1.3%となった。
  • 過半数代表者を選出したことがある事業所に選出の頻度を尋ねたところ、「過半数代表者が必要な都度」が76.2%、「任期を決めて選出」が18.9%、「その他」3.5%、「無回答」1.4%であり、4分の3以上が「必要な都度」、過半数代表者を選出している。
  • 過半数代表者を選出したことがある事業所に過半数代表者の職位を尋ねたところ、「一般の従業員」が49.4%、「係長・主任・職長・班長クラス」が33.5%、「課長クラス」が5.9%、「部長クラス」が2.9%、「工場長、支店長クラス」が4.6%、「非正社員」が1.5%などとなった。

「過半数代表」を利用した制度

  • 図表3に記載されている様々な制度の手続きにおいて、過去3年間に「過半数代表」と労使協定を締結したり、「過半数代表」から意見聴取等をしたことがあるか否かを尋ねたところ、54.1%が「手続きを行ったことがある」と回答。「手続きを行ったことがない」は36.3%、「無回答」は9.7%だった。
  • 「手続きを行ったことがある」と回答した具体的な手続き(複数回答)は、「時間外および休日労働(いわゆる36協定)」(44.1%)が最も高く、「就業規則の作成または変更(意見聴取)」(33.2%)、「変形労働時間の導入(労使協定)」(16.6%)、「育児・介護休業をすることができない労働者に関する定め等、育児・介護休業法に基づくもの(労使協定)」(12.6%)、「年次有給休暇の時間単位・計画的付与(労使協定)」(9.2%)などの順だった。

図表3 「過半数代表」を利用した制度・事業所規模別(n=6,458,%)

図表3画像画像クリックで拡大表示

政策的インプリケーション

2018年には働き方改革関連法案が成立し、引き続き様々な場面において労使の十分な話し合いの必要性が高まっている。労働組合組織率は低下しているが、労働組合がある事業所では、その約3分の2が過半数労働組合である。また、「過半数代表」の選出状況や「過半数代表」を利用した労使協定の締結等の状況は、事業所規模や所属企業規模の違いにより大きく異なることが明らかとなった。過半数代表者の選出方法・職位については、使用者が指名、課長・部長クラス等の問題なものが一定数あり、適正な選出に向けた対応が求められている。

政策への貢献

政策検討の基礎資料として活用予定。

本文

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研究の区分

情報収集

研究期間

平成29~30年度

担当者

松沢 典子
労働政策研究・研修機構 調査部主任調査員
新井 栄三
労働政策研究・研修機構 調査部主任調査員
渡辺 木綿子
労働政策研究・研修機構 調査部主任調査員補佐
小此木 裕二
労働政策研究・研修機構 研究調整部研究調整課長

※肩書は調査時点(2017年11月)

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.107)。

入手方法等

入手方法

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