調査シリーズNo.136
正社員の労働負荷と職場の現状に関する調査
概要
研究の目的
近年、若年の非正規雇用比率の上昇のなかで、正規雇用であっても若者を長期で育成しようとせず、いわば「使い捨て」にするつもりで雇用しているのではないかと思われる例も散見されるとの指摘がある。本研究では、正規雇用の若者の早期離職につながりかねない雇用管理の実態、若年雇用者の意識、離職傾向などについて分析する。
研究の方法
インターネットによるモニターアンケート調査
主な事実発見
ここでは特に、調査対象者が働く職場が「大量離職と大量採用が繰り返されている」(以下、「大量離職大量採用」)、「苛烈に働かされ、使い捨てにされる」(以下「使い捨て」)、「入社から3年でほぼ全員離職する」(以下、「早期離職」)に該当しているものについて、その様相を述べる。なお、「大量離職大量採用」の職場で働く者の全体に占める割合は7.1%、「使い捨て」は5.8%、「早期離職」は3.3%である。
「大量離職大量採用」、「使い捨て」および「早期離職」の状況にある職場で働く労働者は共通して、現在の労働条件は募集採用時に提示された労働条件よりも悪いと答えている。(下記図表1、2、本文図表2-15、2-17)
※上位5位までの項目に網。
職場の目標管理についてみると、「大量離職大量採用」の職場では、「売上目標が設定されている」「利益目標が設定されている」「成果物の数の目標が設定されている」など、数値目標である割合が高い(本文図表5-4)。進捗管理の頻度については、「早期離職」の状況にある職場では進捗管理の頻度が増す。「入社から約3年ではほとんど辞めない」職場では進捗管理が「毎日」「週に1度」の合計割合が24.3%であるのに対し、「早期離職」の職場では48.8%と20ポイント以上高くなっている(本文図表5-6)。また、「大量離職大量採用」と「使い捨て」の状況にある職場でも進捗管理が頻繁に行われている状況がみられる(本文図表5-7)。
残業の状況についてみると、「大量離職大量採用」や「早期離職」である職場に働く者の残業時間は、それ以外の職場に比べて長く(本文図表7-2)、また、持ち帰り残業の割合も高い(本文図表7-6)。しかし、残業申請率は低い状況にある(本文図表7-3、7-4)。また、年休の取得日数については、「大量離職大量採用」「使い捨て」「早期離職」である職場で働く者は「年3日以下」の割合が高く、年休が十分に取得出来ていない状況にある(本文図表8-1)。
賃金については、「大量離職大量採用」「早期離職」である職場で働く者の年収は「300万円未満」である割合が高く、他に比べて低い状況にある(本文図表9-2)。
本文
全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。
- 表紙・まえがき・調査研究担当者・目次(PDF:558KB)
- 第Ⅰ部 調査概要(PDF:4.2MB)
- 第Ⅱ部 資料(調査票)(PDF:1.1MB)
- 第Ⅱ部 資料(付属統計表)基礎項目(PDF:1.9MB)
- 第Ⅱ部 資料(付属統計表)産業別項目(PDF:2.0MB)
研究の区分
プロジェクト研究「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究」
サブテーマ「正規・非正規の多様な働き方に関する調査研究」
研究期間
平成26年度
担当者
- 奥田 栄二
- 労働政策研究・研修機構 主任調査員補佐
- 小野 晶子
- 労働政策研究・研修機構 主任研究員
データ・アーカイブ
本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.92)。