調査シリーズNo.135
60代の雇用・生活調査

平成27年 7月31日

記者発表「60代の雇用・生活調査」結果 (PDF:350KB)

概要

研究の目的

日本が人口減少社会に突入し、労働力人口も減少していくことが見込まれる中、高年齢者の活用に注目が集まっている。本調査では、60代の高年齢者を対象に雇用・生活の全般を質問し、今後の高年齢者雇用のヒントを得ようとするものである。

研究の方法

60-69歳の5,000人を調査(住民基本台帳から層化二段階抽出)

主な事実発見

60代の不就業者のうち26.0%が就業を希望しており、特に、60代前半層の男性の不就業者のうち42.9%が就業を希望している(図表1)。将来の労働力人口の確保が求められる中、就業を希望している60代の高年齢者が多数存在していることが確認されたので、就業希望者に対するマッチング機能の一層の強化が重要であろう。

図表1 高年齢者の就業状況(平成26年6月)

図表2画像

高年齢者の定年到達後の仕事の内容の変化については、「変わっていない」49.0%(継続雇用者50.7%)が最も多い(本文図表2-60)。一方、高年齢者の定年後の賃金額については、「減少した」41.9%(継続雇用者80.3%)が最も多く、その減少幅は「41~50%」19.1%(継続雇用者24.2%)が最も多くなっている(図表2、本文図表2-63)。このような状況に対し、賃金が下がったことについての考えを尋ねたところ(複数回答)、「賃金の低下は仕方がない・やむを得ない」とする人(是認派)は72.6%(継続雇用者68.1%)である一方、「賃金を下げるのはおかしい・下がりすぎだ」という人(否認派)は58.2%(継続雇用者83.1%)と、是認派と否認派が拮抗した状況となっている(本文図表2-65)。

将来の労働力人口減少を踏まえ、高年齢者に納得して働いてもらうためには、各企業において高年齢者の賃金制度の在り方を再検討する時期に来ているのではないか。

図表2 定年に到達した直後の賃金額の変化
(55歳当時雇用者で定年年齢または60歳以降も仕事をした人を対象)

図表1画像

政策的インプリケーション

就業を希望する高年齢者の活用や、高齢者に納得して働いてもらう賃金制度の構築が重要。

政策への貢献

「生涯現役社会の実現に向けた雇用・就業環境の整備に関する検討会(厚生労働省)」において活用された。今後も高齢者雇用対策の検討に活用される予定。

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

お知らせ
  • 本文30ページの図表2-58、2-59について、「総数(千人)」の桁数に誤記がありました。2019年1月24日に修正し、HPに掲載の本文PDFには、訂正が反映されています。
  • 本文38ページの冒頭に、「調査対象者全員に、」とありますが、正しくは「調査対象者(55歳当時に雇われていた会社などを定年前に退職しそのまま引退した人を除く)に、」です。2019年1月24日に修正し、HPに掲載の本文PDFには、訂正が反映されています。

研究の区分

プロジェクト研究 「我が国を取り巻く経済・社会環境の変化に応じた雇用・労働のあり方についての調査研究」
サブテーマ「労働力需給構造の変化と雇用・労働プロジェクト」

研究期間

平成26年度

執筆担当者

田原 孝明
JILPT 統括研究員
鎌倉 哲史
労働政策研究・研修機構 アシスタント・フェロー

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.78)。

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