調査シリーズ No.94
高年齢者の継続雇用等、就業実態に関する調査

平成24年 3月30日

概要

研究の目的と方法

本書は、厚生労働省からの要請に基づいて緊急に実施した調査の結果報告書である。調査結果を急いで得る必要があったことから、調査は調査会社のモニター(55~69歳の男女。基本的に現在、雇用者である者)を対象とした個人調査として実施した。調査は平成23年8月末から2週間、7,000人を対象として実施され、有効回収数は6,004(有効回答率85.8%)であった。調査票は55~59歳層、60~64歳層および65~69歳層の3つの年齢階層ごとに別々に作成して実施した(一部、共通項目あり)。

主な事実発見

  1. 55 ~59 歳層では、定年到達時に継続雇用を希望するかどうか、まだ決めていない者は33.4%いた。出向制度(慣行)がある企業に働いている者で、出向先で何歳まで働けるか知らない者は15.2%、また60 歳以降の必要生計費がまだわからない者は28.7%いた。
  2. 60 ~ 64 歳層の者で、定年到達時に継続雇用されなかった者(定年経験者全体の31.9%)のうち、継続雇用を希望したのに会社の基準に合致しないと言われた者は9.2%(同2.9%)いた。一方で、基準に合致しないと思い、希望しなかった者も10.4%(同3.3%)いた。
  3. 60 ~ 64 歳層の者は、賃金は定年到達時と比べて大幅に減少しており、公的年金及び高年齢雇用継続給付金を加えた合算額でも、63.6%の者は60 歳当時の賃金水準より少ないとしている。ただし現在の家計の状況は、「定期的な収入では足りないが節約して何とか生活できる」(28.0%)が最も多い。
  4. 60 ~ 64 歳層の者は、いつまで働くかに関しては「65、66 歳で引退するつもり」(34.8%)が最も多いが、「70 歳まで」(12.3%)や「70 歳を超えても働ける限り働きたい」(8.3%)とする者もおり、合わせて2割を超える。
  5. 65 ~ 69 歳層について、定年到達時の会社を退職した者のうち38.8%は再就職(転職)している。2社以上勤務した者もおり、転職回数が多くなった理由として、男性では43.5%の者が「第二の職業人生として自分に合う仕事を探していた」としている。
  6. 65 歳を超えた雇用のあり方について、高齢者自身は加齢とともに拡大する個人差を認める社会の仕組みづくりを最も望んでいる。65 歳を過ぎても企業を支える力になれると考え、そうした社会づくりを望んでいるが、一方で社会を支える方法は仕事でなくても色々あり得ると考えている。

政策への貢献

厚生労働省の労働政策審議会における高年齢者雇用政策に係る議論において、その検討材料として活用されるものと考えている。

図表1 いくつまで働きたいか(60~64歳層)

図表2 65歳を超えた高齢者雇用のあり方に関する考え方(60~69歳層)

本文

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調査実施担当者

梅澤 眞一
労働政策研究・研修機構 統括研究員
浅尾 裕
労働政策研究・研修機構 研究所長

研究期間

平成23年度

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.59)。

入手方法等

入手方法

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